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DXへの第一歩 - バックアップ環境のクラウドへの移行をJP1/VERITAS NetBackup で実現
日本で初めてJP1/VERITASとAWS Snowball を使い大容量データを速やかにAmazon S3へ

半導体をはじめとした高機能素材・部材を提供している昭和電工マテリアルズ株式会社では、事業継続の観点から重要な基幹システムを保護するべく、従来のオンプレミスにて構築してきたバックアップ環境をAWSへ移行した。移行に関しては、AWS Snowballを活用して大容量データの速やかな移行を可能にし、日々の運用には高度な重複排除を実現することでバックアップの効率化に寄与するJP1/VERITAS NetBackupを活用している。

クラウド(AWS)を活用した新しいバックアップシステムでBCPの強化を決断

堀江 昌宏 氏

堀江 昌宏 氏、CISSP

日立化成株式会社が母体となり、2020年に昭和電工グループの一員として新たに誕生した昭和電工マテリアルズ株式会社。半導体用素材をはじめとした情報通信領域から樹脂成型品などのモビリティ領域、診断薬の製造・販売などライフサイエンス領域まで、幅広い分野に事業を展開。素材特性を生かした材料設計から機能評価、プロセス技術に至る機能設計力を強みに持つ機能性化学メーカーとして、グローバルに事業を展開している。

そんな同社では、関東・関西双方のデータセンター(以下、DC)を利用し、遠隔地バックアップを行うことでBCPを意識した基幹システム運用を行っており、データの重複排除率が高いハードウェアのバックアップストレージを活用してきた経緯がある。「ストレージが持つ重複排除機能を利用して遠隔地バックアップ環境を運用してきましたが、導入してすでに5年以上が経過したことから、新たな環境への移行を決断したのです」とIOT推進部インフラ企画ユニット 堀江 昌宏氏は説明する。

新たな挑戦 〜BCPの強化、そして、大容量データをどうやってクラウドへ移動するのか〜 Amazon S3とJP1/VERITAS NetBackupを選択

バックアップデータの遠隔地保管例

新たな環境に向けては、従来のBCP対策を強化するべく、データの耐久性が高いAmazon S3上にバックアップ環境を構築するなど、新たな挑戦によってイノベーションを推進するためのプロジェクトを始動。「セキュリティ対策にも有効なバックアップは、企業システムにおける最後の砦(とりで)であり、何としても死守しないといけない領域。大規模災害への備えも考慮し、リージョンごとに分散化されたデータ保存が可能な、耐久性の高いAmazon S3を選択したのです」と堀江氏は力説する。また、初期には数TBに及ぶ大容量データの移行が必要で、ネットワーク経由でのデータ移行は現実的に難しい面も。物理的なデバイスでAWSへの移行を可能にする最新のソリューション「AWS Snowball」が活用できる点もAWSを選択した理由の1つ。

そして、日常的な運用に必要なバックアップツールとして注目したのが、CloudCatalyst(後継、MSDP Cloud)によってAWSへのスムーズな移行が可能なだけでなく、高度な重複排除技術によって効率的なバックアップが実現するJP1/VERITAS NetBackupだった。実は長年にわたってオンプレミス環境でJP1/VERITAS NetBackupを採用しており、信頼性の面はもちろん、運用側にも負担をかけることなく新たなフェーズに移行できる点も重視したという。

そこで、同社のバックアップ環境全体の設計から構築、運用に至る幅広い支援を行ってきた日立製作所を中心に、AWSを提供するアマゾン ウェブ サービス ジャパンおよびバックアップツールを提供するベリタステクノロジーズなど関係者が一丸となって、BCP対策強化につながる最先端のバックアップ環境を整備するプロジェクトがスタートした。

AWS Snowballなど最先端ソリューションでクラウドバックアップ環境を構築、大幅なコスト削減も

現在は、関東DCに設置された基幹システム内にある重要度の高いデータを中心にJP1/VERITAS NetBackupによってバックアップを日々実施し、重複排除したうえで200GBほどのバックアップデータをAWS Direct Connectを経由してAmazon S3 に転送している。今回の構成によって、関西DCのバックアップ環境は全てAWS上に移行し、関東DCに設置されていたバックアップストレージは廃止、コストを圧縮しながら高可用性を確保するなどBCP対策の強化を実現している。なお、優先度が低く遠隔地へバックアップしないデータはLTOテープにて保管するなど、JP1/VERITAS NetBackupによって統合的なバックアップ環境を整備している。

今回のプロジェクトでは、AWS Snowballをはじめ他社に先駆けた先進的な取り組みとなっており、移行テストも含めた検証を念入りに実施した。「プロジェクトメンバー全員がAWS Snowballによるデータ移行は初めての経験で、試行錯誤しながらテストを実施したことで、本番ではスムーズに移行できました」と堀江氏。日立製作所を中心に関係者が一丸となって検証を進めていったことで、Snowball Edge デバイスの輸送遅延など検証段階で顕在化した課題が事前に解消でき、本番移行を成功させることができたという。 

今回バックアップ環境をクラウドへ移行させたことで、関東・関西DC双方に導入されていたストレージやサーバ、ネットワーク機器など1ラックに収められていたバックアップストレージ環境が撤去でき、月額でも数百万円のコスト削減に貢献している。「ハードウェアがなくなれば設置費用や電源費用なども不要になるだけでなく、保守作業そのものもなくなります。月額で見れば30%近くのコスト削減になっていると試算しています」と堀江氏。

運用面では、以前はストレージ及びバックアップツール双方に対してオペレーションが発生していたが、今はバックアップのみならずリストアも含めてJP1/VERITAS NetBackupだけで完結できるようになった。「洗練された1つのGUIに機能が集約できており、さほどバックアップに詳しくないオペレータに対しても指示しやすく、バックアップ初心者でも運用できる点はとても魅力的」と堀江氏は評価する。ツールそのもののバージョンアップも頻繁に実施されるなど機能改善にもつながっていると高評価だ。

JP1/VERITAS NetBackupの機能を駆使してAWSへの移行プロジェクトを支援した日立製作所に対しては、プロジェクト推進力や手厚いサポートに関しての評価が高い。「安定稼働しているJP1/VERITAS NetBackupというツールの良さもありますが、ツールも含めた手厚いサポートがあったことは大きい。AWS Snowballをはじめとした新たなチャレンジに一緒になって苦労していただけましたし、AWS Direct Connectを経由したJP1/VERITAS NetBackupのパラメータ値の設定など初めての挑戦にも、試行錯誤しながら取り組んでいただけました。そのかいもあって、無事に予定通りに移行することができました」と日立製作所の支援について評価する。また、現地でエンジニアが立ち会うなど顧客の要望に応えるための支援をしっかり行ったベリタステクノロジーズに対しても評価の声が寄せられている。

将来ビジョン - 製造業のDXの進化に必要な高度な技術と企業セキュリティの「最後の砦」

今後については、グループ全体の方針に沿って引き続きマルチなクラウド環境へのシフトを推進していく計画となっており、バックアップ環境だけでなく基幹システム含めたクラウドへの移行も視野に検討を進めていきたいという。また、現状はAmazon S3へのデータバックアップを行っているが、アーカイブに適したAmazon S3 Glacierも併用しながらコスト削減できるような環境づくりにも期待を寄せている。

IoTを含めた各種センサーを現場に設置し、ビッグデータ分析を進めることでのDXを推進している製造業が増えつつあるなか、同社でもいずれは現場のデータを収集したうえで活用していくこともあり得るという。「データサイズ次第ですが、いずれクラウドに各種情報を蓄積していく際には、JP1/VERITAS NetBackupが持つ高度な重複排除技術などを駆使しないと難しいはず。将来は製造現場にエッジとなるバックアップサーバを置いて重複排除し、クラウドに送るといった環境も必要になるのでは」と堀江氏。

バックアップについては、従来システムの可用性を高める目的から、ランサムウェア対策などサイバーレジリエンスを高めていく際にも有効だと力説する。「最近のサイバー攻撃は洗練されており攻撃が検出しにくくなってきていますが、最後の砦としてバックアップデータが確実に確保されていれば安心感につながります。そんなシステムの回復力を高めながら、サイバー対抗力の観点でバックアップを考えていきたい」と今後について堀江氏に語っていただいた。

導入製品 JP1/VERITAS NetBackup

チャレンジ

オンプレミスで構築していたバックアップアプライアンスの刷新に向けて、BCPの強化を実現するべくAmazon S3への移行を決断。大容量データの移行を可能にするAWS Snowballの活用によって、円滑な移行を計画。

ソリューション

JP1/VERITAS NetBackupが持つ高度な重複排除技術とAWS連携を可能にするCloudCatalystによって、Amazon S3へのバックアップ環境移行に成功。

ベネフィット

  • オンプレミス環境からクラウドへバックアップ環境の移行に成功
  • 分散化されたデータ保管によってBCP対策の強化を実現
  • AWS Snowballによって大容量データのクラウド移行を円滑に実施
  • JP1/VERITAS NetBackupが持つ高度な重複排除技術を活用
  • CloudCatalystによってAWSへのデータ移行を容易に
  • サイバーレジリエンスな環境づくりにも貢献

USER PROFILE

昭和電工マテリアルズ株式会社 ロゴ昭和電工マテリアルズ株式会社

昭和電工マテリアルズ株式会社

[従業員数] 23421名(連結従業員数、2020年度決算時)
[業  種] 化学
[業務概要]
半導体用素材をはじめとした情報通信領域から樹脂成型品などのモビリティ領域、診断薬の製造・販売などライフサイエンス領域まで、幅広い分野に事業を展開

特記事項

  • HITACHIおよびJP1は、株式会社 日立製作所の商標または登録商標です。
  • Amazon EC2、Amazon S3、AWS Snowball、AWS Direct ConnectおよびAmazon Web Services(AWS)は、米国その他の諸国における、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です。
  • Veritas、およびNetBackup は、米国およびその他の国におけるVeritas Technologies LLCまたはその関連会社の商標または登録商標です。
  • その他記載の会社名、製品名などは、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。