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大規模かつ24時間365日止まってはならない
「配電ITシステム」を日立の「Cosminexus」で開発。
お客さまサービスと業務効率の大幅な向上を目指す

九州電力株式会社(以下、九州電力)では、電柱・電線などの設備保守や停電対応など、さま ざまな現場業務を支援する「配電ITシステム」を開発し、2009年から全社へ展開。24時間365日 の活動を行う配電社員約2,800名が利用するシステムであるだけに、システムにも高い信頼性 と高性能であることが強く求められる。

そこで、基幹系Java™アプリケーションの開発基盤として 実績豊富な日立のSOAプラットフォーム「Cosminexus(コズミネクサス)」を採用し、JSFフレームワークのもとで 各種最新技術も駆使しながら、開発生産性と品質を高めた。九州電力は、配電社員の効率的 な活動を通じて、迅速かつきめ細かいお客さまサービスを提供する環境を手に入れたのである。

お客さまサービスの向上を目的に
「配電ITシステム」を開発

守田 寛氏の写真
九州電力
株式会社
情報システム部  配電IT推進グループ
グループ長
守田 寛氏

九州電力は、1997年に「配電工事総合オン ラインシステム」を構築して、業務のIT化を推進。 さらに、2004年からお客さまサービスの向上を 目的に取り組んだのが、「配電ITシステム」だ。

「配電社員が効率的に働くことで、より付 加価値の高いサービスを提供し、さらなるお客 さま満足度の向上を目指しています」と守田氏 は語る。

配電ITシステムは、19のサブシステムで構成 され、幅広い業務をサポートする。

その一例が「巡視システム」だ。

「従来は、配電社員が現場で電柱・電線の 点検を行い、結果を紙にメモし、事務所に戻っ てからシステムに入力していました。これを、 PDAを使って必要な情報を参照しながら現場 で入力する流れに変えて、点検業務の効率化、 精度向上を図っています」と奥田氏は語る。

お客さまサービスを支援する「配電ケータイモ バイル」も、業務革新を大きく進めるシステムだ。

これは、停電などで現場へ行かなければな らないとき、現場に最も近い場所にいる配電 社員に対して、携帯電話経由で直行指示を 伝えるシステムである。バックエンドには、携帯 電話のGPS機能を利用して、配電社員の現在 位置を常に把握できるための「ロケーション システム」が連携して動いている。

こうした配電ITシステムの中核を支えている のは、「配電総合データベース」である。

「システム毎に分散していたデータを一元化 したことで、各種業務の壁を越えて総合的な 評価・分析ができるようになりました。たとえば、 電柱の建設時期と位置情報をリンクさせるこ とで、10年以上経った電柱を地図上で赤色 表示するといったように、ビジュアル的にわかり やすくデータを解析する機能も容易に実現 できるようになりました」と藤原氏は説明する。


「巡視システム」の画面(左)と「ロケーションシステム」の画面(右)。

高い信頼性と大規模システム対応に優れた
「Cosminexus」を採用

奥田義忠氏の写真
九州電力
株式会社
情報システム部  配電IT推進グループ  課長
奥田義忠氏

藤原公郎氏の写真
九州電力
株式会社
情報システム部  配電IT推進グループ  課長
藤原公郎氏

システムを支えるJava開発基盤としては、 日立のSOAプラットフォーム「Cosminexus」 を採用。

求められた最大の要件は、信頼性である。

「『電気を止めないこと』を目標に、配電社 員は24時間365日活動を続けています。この 業務に不可欠なシステムも、24時間365日 止まることは許されません」(奥田氏)。

大規模なシステムを支える性能面も重要だ。

280万本の電柱と13万キロメートルに及ぶ 電線、約740万世帯のお客さま情報を、約 2,800名の配電社員が、いつでも必要なときに 必要な角度から、利用するシステムなのである。

「レスポンスも重要ですし、使いやすく見やす いシステムにすることも大切。また、モバイル端 末を利用していますから、万一の際には本社側 でデータを消去できるようにするなど、セキュ リティ面での配慮も必要です。こうした数々 の要件を詰めていくと、望ましい製品として Cosminexusに行き着きました」(守田氏)。

配電工事総合オンラインシステムの構築を 担当し、システムを維持してきた日立の総合力 に対する信頼も厚かった。

「夜中にシステム障害が発生した場合でも、 迅速に必要な人員をそろえて、スムーズに復 旧作業ができる体制を整えるなど、『システム を止めてはならない』という我々の思いをよく 理解してくれています」(藤原氏)。

高い信頼性と高性能であることが求めら れるシステムだからこそ、ITベンダーとして日立 が、基盤製品としてCosminexusが採用され たのである。

最新技術を組み合わせて
開発効率と品質、操作性を向上

システムの開発にあたっては、開発効率と 品質の向上を図るためにJavaの標準フレーム ワークを用いた。DIとAOPをサポートした軽量 コンテナ「Seasar2(シーサー)」や、JSFベースのWeb アプリケーションフレームワーク「Teeda(ティーダ)」、 O/Rマッピング「DBFlute」などをCosminexusと 連携させて活用することで、開発効率性・保守 性を高めると同時に、品質向上を図った。

また、配電社員の現在位置や作業現場、 関連情報を地図上に表示するシステムは、日立 ソフトウェアエンジニアリング株式会社の地理 情報システム「GeoMation(ジオメーション)」を利用し、HTML やAjaxを組み合わせて、軽快で操作性が高 くなるように開発した。

さらに、配電総合データベースの構築運用 を支えているのが、日立が提供する情報資産 管理基盤「DataStage®(データステージ)」である。

配電総合データベースでは、メインフレームや各種オー プンシステムなどの分散した環境から、大量 のデータを収集、統合することでデータ精度 の高いデータベースを構築することが求めら れる。

この大量データの収集、統合を行う バッチ処理を、DataStageを使用してノンプ ログラミングのGUI操作のみですばやく開発 し、開発効率を向上させた。そして、データ 特性に応じて、日単位や月単位でデータを収 集する1万本以上のバッチ処理は、統合シス テム運用管理「JP1」が的確に管理している。

一元化された情報を活用し
「電気を止めないこと」を追求

配電ITシステムの大部分は開発を完了し、 2008年4月から大分支店での試験運用が始 まった。

2009年4月からは全社展開を開始し、段階 的に配備する予定だ。

大分支店の約250名から約2,800名の全 配電社員へと、ユーザー数が10倍に増える 予定だが、高信頼、高性能のCosminexus で基盤を構築しているため、スムーズな全社 展開が期待できる。

配電ITシステムの開発効果は、九州電力 のお客さまサービスが、さまざまな側面で迅速 かつきめ細かくなることである。

また、配電社員の業務効率も大幅に向上 する。営業所へ戻ることなく、現場から現場 へと直行でき、これまでより短時間で対応 できるようになる。

さらに、一元化された配電総合データベース の情報を分析・活用することで、膨大な設備 の保全が、より効果的にできるようになる。

「エリアごとの脆弱ポイントを分析して、 優先順位をつけて点検することも可能にな ります。PDCAサイクルをすべての業務で より速く回しながら、『電気を止めないこと』 を追求していくために活用していきたい」 (守田氏)。

お客さま満足度の向上や社内業務の効率 化、さらなる改善・改革を支援する配電IT システムを、Cosminexusが支えていく。


USER PROFILE


九州電力株式会社

[本社] 福岡県福岡市中央区渡辺通2-1-82
[設立] 1951年5月1日
[資本金] 2,373億円
[従業員数] 12,466名

九州7県に電力を供給する電力会社。138ヵ所の水力発電所を含 めて合計193ヵ所の発電所を自社で運用。他社発電所と合わせて、 年間2,268.9万キロワットの電力を供給。配電線路は合計13万 4,896キロメートルに及ぶ。

特記事項

  • この記事は、「日経コンピュータ 2009年4月29日号」に掲載されたものです。
  • CosminexusDataStage/QualityStageの詳細については,ホームページをご覧ください。
  • SOA:Service Oriented Architecture JSF:JavaServer Faces PDA:Personal Digital Assistant GPS:Global Positioning System DI:Dependency Injection AOP:Aspect Oriented Programming O/Rマッピング:Object/Relational Mapping Ajax:Asynchronous JavaScript + XML PDCA:Plan-Do-Check-Act
  • Javaは、米国およびその他の国における米国Sun Microsystems, Inc.の商標または登録商標です。
  • その他記載されている会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。
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