オープン系システムの安定稼働をJP1が支援
〜20を超える業務システムの効果的な監視を実現〜
近畿日本鉄道株式会社(以下、近鉄)の情報システム構築・運用を担う
近鉄情報システム株式会社(以下、近鉄情報システム)は、
オープンシステムの急増にともなう統合監視の効率化とサービスレベル向上を図るため、
日立の統合システム運用管理「JP1」を採用。
その導入をトータルに支援した株式会社 アシスト(以下、アシスト)からのスキル・トランスファーにより、
20を超える業務システムの安定稼働を実現しています。
近鉄情報システム株式会社
運営部
北野 祐嗣 氏
株式会社アシスト西日本支社
営業1部
井本 俊男 氏
株式会社アシスト西日本支社
システム基盤技術部
課長
坂 哲也 氏
大阪、奈良、京都、三重、愛知にまたがる営業路線網を持ち、JR グループを除く日本の鉄道事業者の中では最長の路線ネットワー クを誇る近鉄。2009年3月には大阪難波まで延伸開業した阪神な んば線との相互直通運転により、実質的な沿線をさらに拡大させ、 乗客の利便性を一段と向上させました。
同社の情報システム部門を分社化する形で2000年に設立され た近鉄情報システムは、鉄道業務を支える各種システムだけでな く、経理や人事などの基幹系システム、Web系/オープン系のフロ ントエンドのシステムまで、グループ内のシステム企画から設計・開 発・保守・運用などをトータルに担う存在として、幅広い事業展開を 行っています。
近鉄情報システムが運用するシステムは、もともとはすべてがメ インフレームで、オペレーターが24時間監視する形で運用されてい ました。しかし2002年頃から徐々にオープン系システムへの移行 が始まり、年を経るごとにサーバ数が増加。2005年に経理システム をオープン系で再構築した際にはサーバ数が100台を超えたこと から、「『このまま人手によるシステム監視を継続すると、立ち行か なくなるだろう』と予測したのです」と振り返るのは、近鉄情報シス テム 運営部の北野 祐嗣氏。当時は、ひとたびシステム障害が起 きると、真夜中でも担当者に連絡が入る状況が続き、「もはや限ら れた人的リソースだけでは対応できない」と判断。「基幹系の一 翼を担うオープン系システムのトラブルを未然に防ぎ、システム運 用の効率化とスタッフの負担軽減を図るため、運用管理ソフトを導 入することにしたのです」と北野氏は説明します。
近鉄情報システムがJP1を選択した理由について北野氏は、「製 品としての信頼性や実績だけでなく、その導入と運用をしっかりとサ ポートしてくれるアシストさんの存在も非常に大きな要素でした」と語 ります。「各システムがさらに大規模化し、JP1を社内で横展開する ことを想定した場合、自社内でしっかりとしたノウハウを持っていなけ れば、システムが増えるたびにサポートも頼る結果になってしまいます。 そのため、製品としてのサポート力、運用面でのサポート力、双方を 兼ね備えるJP1を導入することにしたのです」と北野氏は語ります。
今回、近鉄情報システムへのJP1導入をサポートしたアシストは、 幅広いパッケージ・ソフトウェアの販売と、教育/サポートサービス、 コンサルティングサービスなどを通し、お客さまの企業力強化を支 援する日本有数のソフトウェアベンダーです。同社は2006年、近鉄 情報システムからの依頼に基づき、定型業務の自動化を実現す る「ジョブ管理(JP1/AJS2 (*1) )」、Pingによるサーバ機器の障害監 視を行う「ネットワーク管理(JP1/Cm2/NNM (*2) )」、すべての障 害イベントを一元管理する「統合管理(JP1/IM (*3) )」などJP1の各 製品群の導入を支援。「JP1を使ったシステム運用の効率化や問 題解決能力の向上を図っていただくため、当社が培ったシステム 構築手法やノウハウを、スキル・トランスファーする形で導入・構築 支援を行いました」と、アシスト 西日本支社 システム基盤技術部 課長の坂 哲也氏は説明します。
これに対し北野氏は、「JP1/AJS2のジョブとして実行するバッチファ イルの作成ノウハウや、JP1/Cm2/NNM監視ノードの監視/非監視 の時間による切り替えなど、アシストさんからの細かなノウハウの提供 が非常に役立ちました。さまざまな問い合わせに対し、常に正確な 回答を返してくれるヘルプデスクとしての信頼性も高いですね」と評 価。構築当初、OS関連のログやアプリケーションレベルのログでそれ ぞれ何を監視すべきかの判別は、各業務システムやOS仕様にも依 存するため、かなり苦労したとのことですが、それぞれのベンダーや メーカーからの情報をもとに監視可能な対象をピックアップすることで、 「ほぼ期待どおりのJP1監視設計を行うことができました」と語ります。
統合監視コンソールに表示されるメッセージについても、最低限 必要なものを選定し、管理者が見やすい表示レベルへと調整。ど こで障害が発生しても、パトランプ点灯と同時にコンソールにエラー が表示され、障害個所の切り分けが即座に行えるようになり、迅速 な対応が可能になりました。
「JP1/AJS2は、複数のサーバにまたがってジョブを実行するシ ステムや、基幹系のバッチジョブ、バックアップの自動化などに重点 的に適用しています。ジョブの自動実行で人為的なミスが低減でき、 業務の正確性が高まること、そして担当者への教育がほとんど必 要ないほどジョブネットがわかりやすい点などが気に入っています」 と語る北野氏。ネットワーク管理のJP1/Cm2/NNMについても、監 視対象ノードの障害監視のみならず、各サーバのCPUやメモリー、 ディスクの使用率などを定期的に監視できる機能が「トラブルを未 然に防ぐ予兆監視には非常に有効です」と続けます。
またJP1/IMでは、統合監視コンソールに表示されるさまざまなメッ セージが、メインフレームの監視に慣れたスタッフからも「違和感な く状況を把握できる」と好評。現在もメインフレームとオープン系双 方の監視を並行して行っている近鉄情報システムにとって、操作 面での思考の切り替えが少なくてすむ点が、「担当者へのスキル 移転にも大いに役立ちました」と振り返ります。
2006年のJP1稼働後も、メインフレームからオープン系システム への業務移行は継続的に進んでおり、2009年現在、JP1の監視 対象となるシステムは、ICカードシステムなど大規模システムを含 め約20システムに達しました。しかし近鉄情報システムのシステム 運用部門のスタッフ数は従来のまま推移しており、JP1が同社の 運用管理の効率化や幅広いコスト低減に、いかに寄与している かが推察できます。
この4年の間に近鉄情報システムでは、担当者にJP1監視シス テムの基本構成を理解させ、みずから新システムへJP1を実装で きるまでの教育を徹底する一方、設定内容の標準化、障害対応 手順の標準化など、トータルなシステム運用の標準化作業を進め てきました。これにより、導入当初からの目標であった社内でのJP1 の横展開が可能になったほか、システム障害の検知率についても、 期待どおりの効果を達成。「致命的な障害の芽を事前に確実に 摘み取ることで、システムの安定運用が実現できました」と北野氏 は笑顔を見せます。
今後は、統合監視コンソールのみでの障害検知率を100%に近 づけること、そしてサービスレベルを維持したまま、いかにIT投資の 最適化を図っていくかが重要な課題だと語る北野氏。そのために は「例えば、監視面でのPDCA (*4) サイクルを確立させるなど、今以 上に迅速・正確な障害対応ができるような体制づくりを進めていく ことが必要です」と説明します。これに対し、JP1によるシステム運 用管理の強化を一貫してサポートしてきたアシスト 西日本支社 営 業1部の井本 俊男氏は、「JP1にはこれらの要望を支援する、さま ざまな製品群がそろっています。われわれは今後も、近鉄情報シス テムさまにJP1活用の幅を広げる提案と充実したサポート力で、運 用の標準化とサービスレベルの向上を継続的に支援していきます」 と語ります。
こうした期待に応えるため、今後も日立はアシストとの緊密なパー トナーシップのもと、近鉄情報システムの企業価値向上を支援する JP1製品群のさらなる進化を図っていきます。
近鉄情報システムにおけるJP1の動作イメージ
PARTNER PROFILE
株式会社アシスト
[本社] 東京都千代田区九段北4-2-1 市ヶ谷東急ビル
[西日本支社] 大阪市北区中崎西 2-4-12 梅田センタービル28F
[設立] 1972年3月
[資本金] 1,000万円
[従業員数] 800名(2009年4月現在)
[事業内容] コンピュータ用パッケージ・ソフトウェアの販売、技術サポート、教育およびコンサルティング
USER PROFILE
近鉄情報システム株式会社
[本社] 大阪市天王寺区上本町6-1-55 近畿日本鉄道本社ビル
[設立] 2000年8月
[資本金] 1億円(近畿日本鉄道株式会社100%出資)
[従業員数] 124名(2009年2月現在)
[事業内容] 情報通信システムの運営管理業務の受託/
情報通信システムのソフトウェアの企画、設計、開発、保守/
情報通信システムのコンサルティングなど