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健診業務に日立総合健診システム「Hellseher」を活用。
帳票システム構築支援ソフトウェア「EUR」を使って、
受診者にわかりやすい受診報告書の作成・印刷を実現

医療法人鉄蕉会(てっしょうかい)亀田総合病院附属幕張クリニック(以下、幕張クリニック)は、健診業務におけるデータ管理および受診報告書作成を支援するシステムとして、株式会社日立メディコ(以下、日立メディコ)と日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社(以下、日立ソフト)が共同開発した総合健診システム「Hellseher(ヘルゼア)」を活用している。
さらに、日立の帳票システム構築支援ソフトウェア「EUR(イーユーアール)」をHellseherと組み合わせて使うことで、受診報告などで必要になるさまざまな帳票を、院内で容易にカスタマイズしたり、新規に作成することのできる環境を実現。各健康保険組合の要望に沿った個別帳票をすばやく提供するなど、エンドユーザー・レポーティングを実践している。

柔軟性と拡張性を評価し「Hellseher」を導入

岡田 実氏の写真
医療法人
鉄蕉会
幕張事業部
管理部長/
保健師
岡田 実 氏

千葉県・幕張新都心の医療機関として、人間ドックと企業健診を中心に行っているのが、幕張クリニックである。「ドック健診は、豊かな人間設計、Quality of life(生活の質)の重要な要素」であるというのが、同院のポリシーだ。

「各種ガン検診にも積極的に取り組んでいます。人間ドックで、オプションではなく基本検査項目として、大腸内視鏡検査を行っているのは、当院の大きな特徴です」と岡田氏は紹介する。

経験豊富で技術力が高く、受診者に負担感なく内視鏡検査が受けられることから、人間ドックの受診者は増え続けており、2007年度は約1万9千人に達した。

日本総合健診医学会認定のドック・健診施設では、検査したその日のうちに結果を出して「即日説明」をすることが義務づけられている。したがって、健診業務を効率よく行うには、レントゲン装置や内視鏡をはじめとする各種検査機器とネットワーク接続して計測データを自動取得したうえで、各種報告書の作成を支援するシステムが不可欠である。

そこで、幕張クリニックでは、日立メディコと日立ソフトが共同開発した総合健診システム「Hellseher」を活用している。

「Hellseherを選定したのは、パッケージ製品でありながら、柔軟性と拡張性が高く、必要であればカスタマイズすることもできるためです。また、当院では健診結果を誤解なく、わかりやすく伝えることを重要視しており、その手段となる報告書にも創意工夫を凝らしています。これらを実現できたのがHellseherでした。そして、この創意工夫を行う上で、90年のオフコン以来、一緒に検討を重ねてきた日立を信頼して、Hellseherを導入しました」と岡田氏は言う。

その創意工夫のひとつが検査結果のコメントを表記する機能である。

たとえば、肥満であり、血圧も血糖値も高い方の場合、「(1)肥満を認めます (2)高血圧を認めます (3)糖尿病の疑いがあります」と羅列表記するのではなく、「高血圧および血糖高値は肥満の影響と思われます」という文章を自動生成するしくみを作ったのである。受診者にわかりやすいコメントを自動作成し、さらに、そのコメントをよりわかりやすく変更することも可能なのだ。

更新頻度の高い各種帳票を 院内で容易にカスタマイズ

山下巧一 氏の写真
医療法人
鉄蕉会
亀田総合病院附属
幕張クリニック
室長/
臨床検査技師
山下巧一 氏

受診報告書などの帳票の作成についても、日立の帳票システム構築支援ソフトウェア「EUR」を用いて、院内で容易に作成・修正などのカスタマイズできる環境を実現している。

EURは、帳票レイアウトの作成をマウス操作で簡単に行うことができ、表示するデータとの関連付けもドラッグ&ドロップ操作だけで容易に行える。プログラミングに関する知識、経験がなくとも、本格的な帳票作成が行えるため、エンドユーザー・レポーティングを実践できるのである。

幕張クリニックで使う帳票には、健康保険組合に提出するもの、受診者本人に渡すもののほか、院内で使うものがあるが、特に健康保険組合に提出する書類は、年度ごとや提出先ごとに、記載項目の追加や変更が頻繁に発生する。しかし、EURを使うことで、システム構築を担当した日立メディコと日立ソフトに依頼しなくても、院内で必要に応じてすばやく帳票を作成できるようになった。

「前回検査と比較するとか、基本項目だけに絞ってシンプルにまとめるとか、挿絵をいれるなど、基本の帳票フォーマットを作り直し、『これでどうですか』と業務担当者とやりとりできるので便利。業務担当者の要望を満たす帳票に、短時間で到達することができます」と山下氏は語る。

EURは幅広いプリンタにも対応しており、3枚複写用紙などへのラインプリンタ出力も行っている。逆に、複写用紙に印字していた帳票を、レーザープリンタ出力に変えたものもある。フォーマット変更の要求が頻繁に発生するため、プレ印刷した複写用紙の在庫量を気にすることなく、変更に対応できる体制を整えるためだ。また、ペーパーレスにして、必要なときだけ印刷することにした帳票もある。

さらに、検診の順番をわかりやく記した受診伝票を用意することにより、検査時間の短縮や効率化にも役立っている。

エンドユーザー・レポーティングができることで、帳票の使い方や情報の利用形態まで自由に工夫・改善できるようになったのである。


帳票類見本
幕張クリニックの院内で内製化されている帳票類。

わかりやすいレポートが 健康への取り組みを後押し

及川達也 氏の写真
株式会社
日立メディコ
メディカルIT
事業部
システム本部
画像・健診システム部
健診システム課
主任技師
及川達也 氏

原田嘉則 氏の写真
日立
ソフトウェア
エンジニアリング株式会社
第2公共システム本部
第4システム部
第3グループ
課長
原田嘉則 氏

ドラッグ&ドロップ操作などで、直感的に使えることが、EURの大きな特長だ。

「クリニックにはIT専門の部署はなく、帳票フォーマットの変更作業も、健診の各分野の専門家たちが自分でやっています。みんな時間をやりくりして取り組んでいるからこそ、マニュアルをひもとく必要のない、使いやすいツールはありがたい」と岡田氏は言う。

しかも、EURはとっつきやすいだけでなく、機能の奥が深い。

「お客さまにとって使いやすいツールは、システムインテグレータにとっても使いやすいのです。Hellseherを開発したときにも、開発者がEURを活用しました。従来は不可欠だった帳票の設計図作成の工程が不要になり、プログラマでなくてもフォーマットが作れるため、大変助かりました」と日立ソフトの原田氏は明かす。

「システムを構築の際、お客さまからの要望は、入力画面と出力帳票に関するものが一番多いのですが、EURをパッケージと一緒に納入することで、こうした入出力に関する開発負荷を軽減して早期納入ができます。しかも、納入した後も、お客さまの手元でシステムが成長を続け、お客さまの満足度が増していくのです。エンドユーザー・レポーティングは、医療システムに限らず、幅広いシステム開発で不可欠な要素になっていくでしょう」と日立メディコの及川氏は続ける。

「今後も帳票は、大きな視点で見直して、もっとわかりやすく説明しやすいレポート体系を作っていきたい。自動コメントの設定もさらに充実させていきます。健康づくりに向けて受診者がもう一歩前に踏み出すきっかけになるのは、何といっても、受診結果のレポートであり、そこに書かれているコメントなのですから」と岡田氏は語る。

受診者の健康により貢献しようと取り組む幕張クリニック。その意欲的な活動を側面から支援しているのが、HellseherとEURなのである。

USER PROFILE

医療法人鉄蕉会 亀田総合病院附属幕張クリニックのロゴと院内風景

医療法人鉄蕉会 亀田総合病院附属幕張クリニック

[所在地] 千葉県千葉市美浜区中瀬1-3 CD2
[開設] 1990年10月1日
[診療科目] 人間ドック、企業健診、外来診療

千葉県鴨川市の亀田総合病院を本院として、その健診部門を担う。亀田総合病院は、350年の歴史を持つ千葉県南部の基幹病院であると同時に、世界に先駆けて電子カルテシステムの本格運用を開始し、医療における徹底した情報活用を推進する病院として知られる。

PARTNER PROFILE

株式会社日立メディコ

[本社] 東京都千代田区外神田4-14-1
[設立] 1949年5月9日
[資本金] 138億8,400万円
[従業員数] 2,384名

医療機器・医療情報システムの研究・開発から製造・販売までを一貫して手がける総合医療機器メーカー。 MRイメージング装置、診断用超音波装置などの画像診断機器を提供するとともに、医療情報システムやサービスなどのソリューションビジネスにも注力している。

PARTNER PROFILE

日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社

[本社] 東京都品川区東品川4-12-7
[設立] 1970年9月21日
[資本金] 3億円
[従業員数] 5,227名

ソフトウェア開発大手。日立グループを支え牽引する要として、日本の基幹産業、社会インフラのコアシステムを開発し、医療分野でも多彩なソリューションを提供してきた。

特記事項

  • この記事は、「日経ソリューションビジネス 2008年5月15日号」に掲載されたものです。
  • EURCosminexusの詳細については、ホームページをご覧ください。
  • 記載されている会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。
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