本文へジャンプ

ミドルウェア

uVALUE 実業×IT

Hitachi

合併に伴うシステム統合を早く、効率的に実現。
システムの連携・統合を運用面で支える「JP1」

2004年7月1日、株式会社J-オイルミルズ(以下、J-オイルミルズ)は、長い歴史を持つ株式会社ホーネンコーポレーション、味の素製油株式会社、吉原製油株式会社(以下、ホーネンコーポレーション、味の素製油、吉原製油)と日本大豆製油株式会社(以下、日本大豆製油)を吸収合併し、ひとつの事業会社として新たなスタートを切った。企業合併は異種システム統合という課題を伴うが、J-オイルミルズは、EAIツールと日立の統合システム運用管理「JP1」を活用してスムーズなシステム統合に成功した。会計・油脂製販物流・生産原価系という3つの異なるシステムを連携させ、160にのぼるインタフェースを柔軟に制御しているのは、JP1のジョブ管理機能である。既存システムを連携させることで早期開発を実現した新・統合システムは安定した稼働を続けて、新会社の業務をがっちりと支えている。

今あるものを連携させることで基幹系システムの開発期間を短縮

鳴釜 良夫氏の写真
株式会社
J-オイルミルズ
システム推進部
部長
鳴釜 良夫氏

生産販売・物流・原料調達などの業務を効率化し競争力をさらに高めるため、ホーネンコーポレーション、味の素製油、吉原製油に日本大豆製油を加え、ひとつの事業会社として新たなスタートを切ったJ-オイルミルズ。

「業務効率を向上させるための合併ですから、業務を融合させることが先決。『システム統合なくして業務統合なし』というトップの強い意志のもと、合併の重要な前提条件としてシステム統合をすすめました」と鳴釜氏は説明する。

J-オイルミルズの基幹系システムの構築方針は、「お客さまにご迷惑をかけないように、システムを早く確実に連携・統合する」ということであった。

1日でも早いシステム稼働が必要な中で、すべてを新規開発しては間に合わない。そこで会計システムおよび将来の基盤プラットフォームとしてERPパッケージ「SAP® R/3®」を採用。しかし、食用油業界はビジネスプロセスが独特であり、販売・物流・資材購買などを短期間にパッケージで実現することは困難だった。

「ちょうど、ホーネンコーポレーションは販売物流システム、味の素製油は生産原価系システムを数年前に刷新したところでした。今あるよいものを選んで活用し、それらを互いにつなぐことで、システム統合を早期かつ効率的に実現する道を選んだのです」と鳴釜氏は言う。

3つの異なるシステムをEAIツールとJP1で連携

宮前 重幸氏の写真
株式会社
J-オイルミルズ
システム推進部
課長
宮前 重幸氏

しかし、「今あるシステム」を連携させることは容易ではなかった。最大の壁は、プラットフォームが多岐にわたることだ。会計システムは、Windows®サーバ「HA8000」で稼働する。油脂製販物流は、AS/400上で作り込まれたシステムである。生産原価系は、Windows®サーバ上で、アプリケーションパッケージを相当にカスタマイズして開発したシステムであった。

そこで、J-オイルミルズは、日立をプライム・システムインテグレータに選び、二人三脚で統合を進めることにした。

「日立は、SAP® R/3®の導入実績が豊富であるうえ、ミドルウェアも幅広く提供する総合力を持っています。複数のベンダー間で調整をとり、全体の親和性を強めることも期待できました」と鳴釜氏は言う。

日立が提案したのは、EAIツールを用いて、会計・油脂製販物流・生産原価系の3つの異なるシステムを結ぶ方法である。各システムとEAIツール間のデータ転送のタイミング、転送完了のチェックとエラー時の再送などは、JP1で管理する。

「各システム間のインタフェースの数は約160もあります。しかしビジュアルで使いやすく柔軟性の高いJP1のおかげで、各システムのデータを多種多様なスケジュールにあわせて、きちんと処理をすることができます」と宮前氏は言う。

バッチジョブの数は膨大で、それらを体系的に管理するJP1のジョブネットの数は1,800にのぼる。これだけの複雑なデータ連携を正しく実行し、統合システムの稼働開始からシステムの安定稼働を実現しているのが、JP1のジョブ管理の底力である。

ストレージのオンラインバックアップや統合監視でもJP1を駆使

塚原 晃勇氏の写真
株式会社
J-オイルミルズ
システム推進部
塚原 晃勇氏

システムの統合監視でも、JP1を活用している。監視業務そのものは、日立の運用監視サービスを利用してアウトソーシングしている。監視対象は、経理システムのWindows®サーバと、工場・支社・支店のファイルサーバ(ともにHA8000)で、合わせて数十台。監視内容は、ジョブ監視、ノード監視、ハードウェア障害、リソースとプロセスの監視などである。

「基幹系システムのデータ連携のエラーから遠隔地の工場のサーバの状況まで、統合コンソールを見ればすべて把握できて非常に便利。カラー表示もわかりやすい。アウトソーシングしていることもあり、社内に専任者なしで運用管理を行っています」と塚原氏は言う。

運用監視センタは、問題が起きたときの連絡体制が整備されているため、もれなく迅速に連絡がもらえるという。
もうひとつ、JP1を活用しているのがストレージ管理である。

SAP® R/3®システムは、ハードウェアに高いオンライン性能、バッチ性能を要求する。また、基幹系システムであるだけに、障害による停止は許されない。そこで、性能と信頼性を重視し、ストレージには日立のディスクアレイサブシステム「SANRISE」を導入した。1日1回のバックアップは、JP1とSANRISEの連携により、サービスを止めずにオンラインのままで行う。SAP® R/3®のデータベースは非常に大容量であるが、夜間バッチ処理時間帯はもちろん、昼間のオンラインサービス時間帯にも影響を与えずに、バックアップを実現している。

さらにJP1は、SANRISEの入出力パスの負荷分散、障害時のパス切替えの自動化、システム性能と容量の監視なども行い、アクセス性能向上、可用性向上、ボトルネックの事前回避なども実現している。

スムーズな合併成功で新会社はさらなる成長へ

J-オイルミルズでは、第1期の開発で会計と油脂製販物流のシステム統合を行い、2004年7月、合併を実現した。第2期開発では、生産原価系システムの統合など内部管理の充実に取り組み、2005年10月でシステム統合は完了する。

「大きな混乱もなくシステム統合を進めることができたのが一番の成果。『今あるものをつなぐ』という方法を選択して良かった」と鳴釜氏は言う。複雑な業務ロジックを綿密に作り込んである既存システムを連携させたため、短期間で、品質の高いシステムを作り上げることができた。また、合併でビジネスの規模が増大したにもかかわらず、少数のシステム要員で安定稼働を続けている。

「合併というのは、システムの向こう側にある業務、そして業務の前面にいらっしゃるお客さまにいかに支障なく遂行するかが重要です。総合的にサポートしてくれた日立のおかげで、統合時の業務混乱はありましたが、お客さまに多大なご迷惑をかけることなく、システム統合を果たせました。今後は合併によるシナジー効果を発揮し、企業価値の拡大に取り組んでいきます」と鳴釜氏は強調した。

J-オイルミルズ 統合システム概要
J-オイルミルズ 統合システム概要


左から順にキャノーラ油(16.5kg缶)、AJINOMOTO 健康サララ(600g)
AJINOMOTO さらさらキャノーラ油健康プラス(1,000g)

USER PROFILE (2004年3月現在)

株式会社 J-オイルミルズのロゴ

株式会社 J-オイルミルズ

[本社] 東京都中央区明石町8-1 聖路加タワー
[設立] 2002年4月1日
[資本金] 100億円
[従業員数] 1,200名

搾油業を基盤に、油脂・油糧を中心とした食品事業、また、関連する周辺事業をグループ各社とともに展開している。

特記事項

  • この記事は、「日経コンピュータ」2005年10月31日号に掲載されたものです。
  • SAP、R/3は、SAP AGのドイツおよびその他の国における登録商標または商標です。
  • Windowsは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における商標、または登録商標です。
  • その他記載されている会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。
Adobe Readerのダウンロード
PDF形式のファイルをご覧になるには、Adobe Systems Incorporated (アドビシステムズ社)のAdobe® Reader®が必要です。