IT運用自動化ツール「JP1/Automatic Operation」で
クラウド環境の運用負担を大幅に軽減
株式会社 日立インフォメーションアカデミーは、Amazon Web Services ™(以下、AWS)のクラウドサービスを利用した「マシン演習付きeラー二ング」を提供している。
従来はインスタンス*1の生成・削除といった定型作業が大きな負担だったが、日立製作所のIT運用自動化ツール「JP1/Automatic Operation」(以下、JP1/AO)の適用で作業時聞を約1/30に低減。JP1/AOは業務の標準化と今後のビジネス拡大を支えるコアツールとなりつつある。
株式会社 日立インフォメーションアカデミー
研修開発部
担当部長
馬込 由美子 氏
株式会社 日立インフォメーションアカデミー
研修開発部
技師
大長 勉 氏
日立インフォメーションアカデミーは、日立製作所 情報通信部門の研修機関として、急速に変化するITトレンドを踏まえた研修を含め、人財育成のためのさまざまなメニューを提供するトータルソリユーション企業として発展を続けている。
提供するIT関連の研修コースは多岐にわたるが、近年、特に受講者数を増やしているのがクラウド環境を利用した「マシン演習付きeラ一二ング」だという。 「従来なら全国にある研修会場でPCを使いながら数日間の研修コースで学んでいただく形が一般的でした。しかし“業務が忙しくて研修会場に通えない” “自分のペースでマシン演習を進めたい”といった要望が年々多くなってきたため、講義教材をオンデマンドで配信する通常のeラ一二ングに加え、2012年12月から自宅や職場のPCで、自分の都合のよい時聞に実機演習が行えるマシン演習付きeラー二ングを開設しました」と研修開発部 担当部長の馬込由美子氏は語る。
ミドルウェアの操作研修や、Windows®、COBOLなどの技術研修もラインアップした同コースは、AWSの環境上に各研修で必要なソフトウェアをインストールしたインスタンスを受講者一人ひとりに用意。そこに受講者がインターネット経由でアクセスし、教材コンテンツを見ながらマシン演習を行う仕組みとなっている。本マシン演習環境の構築は、株式会社日立ソリユーションズのコンサルにより、Hitachi CloudとAWSを連携させ、社内・社外のネットワークからセキュアに利用できる環境を実現している。
「サーバ間での通信や設定確認を行う演習では、1人で複数台の仮想ホストを使用するため、コース開始時に大量のインスタンスを生成する必要があります。当初は講師が自ら作業をしていましたが、受講者数が増えるに従って作業時聞が膨大になり、設定ミスで生成をやり直すケースも多くなってきました。環境構築の負担を減らし、このマシン演習付きeラー二ングのさらなるビジネス拡大を図るには、こうした業務の自動化が急務だったのです」と研修開発部 技師の大長勉氏は振り返る。
そこで採用されたのがJP1/AOだった。JP1/AOは、あらかじめ定義した作業手順を自動実行できる機能を持つ。豊富に用意された作業手順テンプレートをそのまま適用したり、GUIを使ってテンプレートをカスタマイズしたりすることで、自社の運用に即した作業手順やノウハウの可視化、標準化をスピーディーに実現することが可能だ。
「同様の機能を持つ他社製ツールも検討しましたが、コスト面が課題となっていました。JP1/AOは当社の用途に十分な機能を持ちながら約1/10のコストで導入できるため、迷わす選択しました」と大長氏は言う。また馬込氏も「JP1/AOでは今回適用したインスタンス以外でもAWS関連の標準部品の拡充が予定されており、将来より幅広い業務を自動化できる拡張性の高さも決め手となりました」と付け加える。
JP1/AOの導入を支援した株式会社日立システムズは、学習管理システムの情報をベースに、コースごとに異なるインスタンスの構成やネットワーク定義などをJP1/AOの入力情報にマッピングさせるカスタマイズを実施。各コースの受講者数・開催日・終了日に合わせてインスタンスの生成・開始・停止・削除を自動実行できる環境を構築した。これにより、これまで100台のインスタンス生成に要していた1000分(手作業の延べ時間)が30分にまで激減。約1/30という大幅な作業効率の向上と作業品質の均一化を実現した。
「これまで環境構築はAWSのスキルを持った講師に作業が集中しがちでしたが、JP1/AOによって業務が標準化されたため、設定ミスを起こす心配もなく、誰もが容易に環境構築を担えるようになりました。受講者やコースの増加にも余裕を持って対応できるため、ビジネスの拡大に寄与しています」と馬込氏は喜ぶ。
大長氏も「従来は受講者に提供する前のテストや生成・削除も含めて、手作業での作業が続いていました。そのため、多くの環境を生成する場合、すべてを把握しきれずにテスト環境の削除を忘れてしまうと、その間AWSの時間課金が発生してしまいます。しかし、今後は自動化することによってこの問題は解消され、コスト低減にもつながると期待しています」と語る。
今後は、まだ手作業に頼っている演習環境のマスター作りの自動化やJP1/AOが対応しているWebアプリケーションインタフェース「REST-API」*2 を使った社内システムやクラウドとの連携、運用自動化にも取り組んでいきたいと意欲をみせる二人。その先には、さらなるビジネス拡大への構想がある。
「将来的にはeラー二ングだけでなく、集合研修の環境もすべてクラウド化できないかと考えています。例えば、当社が全国の研修会場に配備しているPCは、現状では1台1台、各時間の演習内容に合わせて事前にソフトウェアのインストールや設定作業を行う必要があります。これをシンクライアント端末に置き換え、演習環境はすべてAWSで構築すれば、事前準備の手間や時間、PC更改のコストなどを低減することができます。またミドルウェア製品のお試し環境をクラウド上に作り、IT研修と連動した形で提供すれば、今までにない新ビジネスが生まれる可能性もあります」と力を込める馬込氏。
複雑なIT運用の自動化は、効率向上やコスト低減に加え、ビジネスチャンスの拡大にもつながる。JP1/AOは、さまざまな分野においての新たな事業戦略に必要不可欠な基盤となっていくはずだ。
株式会社 日立インフォメーションアカデミー
日立インフォメーションアカデミーは、研修の提供だけでなく、研修に至るまでの人財育成コンサルテイングや、研修と連携した職場への学びの定着支援、人財育成施策の運用までをワンストップで支援する「人財育成のトータルソリューション」企業へと進化を続けている。
[本社] 東京都品川区南大井6-26-3 大森ペルポートD館 13階
[設立] 1995年4月3日
[資本金] 1億円
[事業内容]
人財育成コンサルティング、人財育成研修、人財育成運用など