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24時間稼働が求められる、地上デジタル放送を支える情報システム。
その安定稼働を支える「JP1」と「SANRISE」

株式会社フジテレビジョン(以下、フジテレビ)は、メインフレームで稼働していた基幹システムである営業放送システムを、地上デジタル放送時代に合わせてオープンシステムで再構築した。24時間365日稼働が求められる新システムのストレージとして、日立のディスクアレイサブシステム「SANRISE」を選択。日立のバックアップ管理ソフトウェア「JP1/VERITAS NetBackup」とSANRISEの併用によって、サービスを止めない、オンライン・バックアップを実現した。さらに、ネットワーク監視、サーバ監視、ジョブ自動運用についても、統合システム運用管理ソフトウェア「JP1」を採用。JP1は、地上デジタル放送時代のライフラインである多数のシステムの安定稼働を、トータルに支えている。

地上デジタル放送に合わせて「営業放送システム」を再構築

森本 理 氏の写真
株式会社フジテレビジョン
情報システム部
システム企画部
専任部長
森本 理 氏

2003年12月1日、地上デジタル放送がスタートした。地上波を使ったデジタル放送はカラーテレビ以来の放送革命と言われ、多チャンネル放送やデータ放送など、多彩なサービスの可能性が期待されている。

フジテレビは、「第二の開局」という意気込みで、デジタル放送時代への準備を進めてきた。2002年、営業放送システムを作り直したのも、その準備作業の一環だ。営業放送システムとは、番組やCMのスケジュール情報を管理し、さらに、放送送出システムに受け渡すという、民放テレビ局における基幹業務システムである。

「新しい営業放送システムの最大のポイントは、24時間365日、サービスを停止しないシステムを作り上げたことです」と、株式会社フジテレビジョン 情報システム局 システム企画部 専任部長 森本 理氏は語る。

地上デジタル放送では、放送送出システムと営業放送システムがより深く連携しているため、システムの停止が許されない状況になったのである。

SANRISEとJP1/VERITAS NetBackupでSAN環境のオンライン・バックアップを実現

伊藤 春男 氏の写真
株式会社フジテレビジョン
情報システム部
システム企画部
専任部長
伊藤 春男 氏

新しい営業放送システムは、メインフレームで稼働する旧システムを再構築し、先進のオープン環境のもとで24時間365日稼働することが必須になった。

「将来性を重視して、Webアプリケーションサーバ、.NETなど最新技術を取り込んだ3階層システムを開発しました。この環境に合わせて選択したストレージが、日立の『SANRISEシリーズ』です」と株式会社フジテレビジョン 情報システム局 システム企画部 専任部長 伊藤 春男氏は先進性を強調する。

フジテレビでは、オープン系システムが10年以上前から増え始め、その結果各サーバに分散したデータの運用管理が問題になっていた。そこで業界に先駆けてSAN(Storage Area Network)を構築。分散していたデータを統合することができた。

そして、オープン環境で稼働する営業放送システムは、この標準化されたSAN環境へ接続されることになる。また、オンラインサービスを停止することなく、バックアップを実現する機能も不可欠となった。

そこで注目したのが、日立のディスクアレイサブシステム「SANRISEシリーズ」だ。SANRISEは、論理ボリュームのレプリカを作成する「Hitachi ShadowImage」という機能を備えている。この機能により、正ボリュームをオンラインサービスで使用し続けながら、副ボリュームはバックアップ用途で使用できるため、業務に影響を与えることのない無停止オンライン・バックアップシステムを実現できたのである。

さらにフジテレビは、SANRISEの効率的な管理を行うため、統合システム運用管理ソフトウェア「JP1」のストレージ管理製品を採用した。ストレージエリア管理には「JP1/HiCommandシリーズ」を、またバックアップ管理には「JP1/VERITAS NetBackup」を導入し、SANRISEと組み合わせることで、サービスを停止せずに、効率よくLANフリーバックアップを実施する仕組みを構築したのである。

JP1/VERITAS NetBackupは、AIX、Solaris、Windows、Linux、NetAppに至るマルチプラットフォームに対応できることも大きな魅力だった。またSANRISEにより、AIX上で、データベース静止化機能と連携してノンストップ・バックアップを実現できるしくみも高く評価されている。

「バックアップするデータの量に依存することなく、常に数秒でバックアップ作業が完了しますから、ユーザーが意識することはありません。営業放送システムを停止させることなく、ノンストップで瞬時にバックアップできるようになりました」と、フジテレビのシステム構築/運用を担当する株式会社フジミック 放送システム部 副課長職 橘 太郎氏は言う。

ネットワーク/サーバ監視から1日25,000以上のジョブ運用までJP1で統合運用管理

松原 宏幸 氏の写真
株式会社フジテレビジョン
情報システム部
システム企画部
副部長
松原 宏幸 氏

久保田 有造 氏の写真
株式会社フジミック
放送システム部
副課長
久保田 有造 氏

橘 太郎 氏の写真
株式会社フジミック
放送システム部
副課長職
橘 太郎 氏

フジテレビでは、オープン系の業務システム全体を安定稼働させるためにも、「JP1」を活用している。

システム構築/運用について、フジテレビは「自動化」「最新技術の採用」など、いくつかのポリシーのもとにマルチベンダー化してきた。特定のベンダーにシステムを丸ごと任せてしまうのではなく、マルチベンダーを自社でコントロールしながら、常に最新で最適な技術を利用すること、そして、自動化/無人化を追求して人手をゼロに近づけることなどを追求してきたのである。

システム運用管理ソフトウェアとしてJP1を選んだのは、マルチベンダー対応であること、日立の強力なサポートにより最新技術を速いテンポで取り入れられること、ジョブ管理機能に優れていて自動化/無人化を推進できるといった特長を高く評価したためだ。つまり、フジテレビのシステム構築/運用についての3つのポリシーを十分に満たすことのできる製品だったのである。

「高信頼性、高可用性に対する日立の真剣な取り組みは、ハードウェア/ソフトウェア両面で高く評価しています」と、株式会社フジテレビジョン 情報システム局 システム企画部 副部長 松原 宏幸氏は言う。

現在フジテレビではストレージ管理製品以外にも、ジョブ管理、ネットワーク監視、サーバ稼働監視にJP1を利用している。特にジョブ管理では、毎日25,000〜30,000ものジョブが運用されており、JP1はその運用の自動化/無人化を推進する役割を担っている。

JP1を利用してきて高く評価しているのは、第1に、統合コンソール「JP1/Integrated Manager(JP1/IM)」の機能である。ネットワークの現状から、サーバの稼働状況、CPU使用率、さらにはジョブ自動運用の状況まで、統合コンソール画面で集中管理できる。

「JP1の統合コンソールは、メインフレームの集中監視を行ってきたオペレータにも仕組みが理解しやすいため、導入/移行がスムーズでした」と株式会社フジミック 放送システム部 副課長 久保田 有造氏は言う。

第2に、プロフェッショナル仕様であることも管理者から評価されている。 「JP1の良さは、使う人が一番よくわかります」と橘氏は言う。ほとんどの機能をコマンドラインから実行できたり、SDK(Software Development Kit)を利用することでユーザープログラムからも制御できるなど、運用管理のプロが欲しい機能もきちんと備えているのだ。

第3に、幅広い製品に対応していることも、使いやすさのポイントだ。デファクト製品であるだけに、代表的なベンダーの製品がJP1対応になっているため、ハードウェアやソフトウェアを自由に選べるのである。

フジテレビ営業放送システム 統合運用管理およびLANフリーバックアップ概念図

JP1の活用により運用の省力化と高可用性を両立

フジテレビは20年前より運用の自動化を行ってきている。新しい営業放送システムの構築に際しても同様の自動化が必須であった。このような要件を満たし、JP1は既存の自動運用システムと連携、運用管理の省力化と可用性向上を実現している。オープン系システムが増えるなかで、運用管理人員が増えていないことでも、省力効果は明らかだ。

さらに、システム全体で何が起こっているのかをJP1/IMで一元管理できるので、万一問題が発生しても迅速な対応が可能となり、システムの高可用性を実現できている。営業放送システムの領域が放送設備に限りなく近づき、さらなるミッションクリティカル性が要求される中で、システムの安定稼働を支えているのがJP1なのである。

「テレビはこれからも、最大最強最速のメディアであり続けたい。そのためにも、『きっかけはフジテレビが作った』と言われるように、優れた技術を業界に先駆けて積極的に取り入れていきます」と森本氏は力強く語った。

USER PROFILE

株式会社フジテレビジョン

[本社] 東京都港区台場2-4-8
[設立] 1957年11月18日
[放送開始] 1959年3月1日
[資本金] 597億6,435万円
[売上高] 4,290億400万円(連結、2003年3月期)
[従業員数] 1,381名(2003年9月30日現在)

テレビ放送事業者(フジテレビ系列のキー局)。若年/女性層に強く、「きっかけはフジテレビ」を合言葉に、次々と新しい話題を視聴者に提供。2003年は、「トリビアの泉〜素晴らしきムダ知識〜」が高視聴率を記録。「へぇ〜」が現代用語の基礎知識選「2003新語・流行語大賞」のトップテンに選ばれるなど社会現象にもなった。また、映画「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」は、興行収入160億円を超え、国内実写映画の興行収入記録を20年ぶりに更新した。

特記事項

  • この記事は、「日経コンピュータ」 2004年3月8日号 に掲載されたものです。
  • JP1の詳細については,ホームページをご覧ください。
  • AIXは、米国における米国International Business Machines Corp.の登録商標です。
  • Linuxは、Linus Torvaldsの米国およびその他の国における登録商標あるいは商標です。
  • NetAppは、米国およびその他の国におけるNetwork Appliance, Inc.の登録商標です。
  • Solarisは、米国およびその他の国におけるSun Microsystems, Inc.の商標または登録商標です。
  • UNIXは、X/Open Company Limited が独占的にライセンスしている米国ならびに他の国における登録商標です。
  • Windowsは、米国およびその他の国における米国Microsoft Corporationの登録商標です。
  • その他記載されている会社名、製品名は、各社の商標もしくは登録商標です。
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