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組織や場所を横断する「コミュニティ」で自治体に新たな息吹。
日立のコラボレーションポータル「Groupmax Collaboration」が
新生組織風土を作り上げる基盤に

2005年10月に、福井県の武生市と今立町が合併して誕生した越前市。ここでは合併を機に業務システムが日立の統合内部事務ソリューション「GovernmentPartner(ガバメントパートナー)」(新規ウィンドウを開く)で刷新され、その一環として日立のコラボレーションポータル「Groupmax Collaboration(グループマックスコラボレーション)」を導入した。その最大の狙いは組織や場所にとらわれずに職員同士が協働作業をしやすい“コミュニティ”を提供すること。これによって縦割り組織の壁をうち破り、より自由なコミュニケーションを行いながら組織風土を作り上げていこうとしているのだ。2005年9月に運用を開始、その後わずか1カ月間で100近くのコミュニティが自発的にできているという。“予算ありき”ではなく“目的ありき”で動く自治体組織の基盤として、重要な役割を果たしているのである。

基幹システム刷新の一環として「Groupmax Collaboration」を導入

福島 孝之氏の写真
越前市
情報統計課
情報化推進・情報公開グループ
グループリーダ
福島 孝之氏

“日本の組織”といえば、典型的な縦割りの階層型組織構造を想像する読者も少なくないはずだ。しかし最近ではITを活用することで、縦割りの階層型組織の壁を打ち破る自治体も登場している。ここで紹介する越前市は、そのような自治体のひとつだ。同市は“平成の大合併”の流れの中、2005年10月に武生市と今立町が合併して誕生した。

この合併のメリットは大きくふたつある。ひとつは行政の効率化を実現すること。もうひとつは“越前ブランド”の確立と訴求が行いやすくなることだ。しかしそれだけではなく、「システムのあり方を根本から見直すチャンスになったことも大きなメリットです」と指摘する福島氏。

越前市はこの合併を機に、財務会計などの業務システムを一新。日立が提供する「GovernmentPartner」によって再構築しているのである。

「システム刷新の目的は“款・項・目・節(かん・こう・もく・せつ)”といった官公庁独特の予算執行のやり方から脱却すること。これまでの方法では“予算執行が目的となる”という弊害がありましたが、予算を事務・事業レベルから見直せるシステムを構築することで、PDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルを実現することを目指しています」(福島氏)。

その一環として日立のコラボレーションポータル「Groupmax Collaboration」を導入した。これにより、距離や組織を越えた自由なコミュニケーション環境を確立し、「新たな知」を創出しはじめているのだ。

最大の魅力は“コミュニティ”の作りやすさシンプルな操作性も高く評価

竹中 忍氏の写真
越前市
情報統計課
情報化推進・情報公開グループ
竹中 忍氏

神門 弘明氏の写真
越前市
情報統計課
情報化推進・情報公開グループ
神門 弘明氏

「これまでグループウェアは導入されていたのですが、なかなか活用が広がりませんでした」と振り返る竹中氏。その最大の原因は、従来のグループウェアでは、場所や組織が違う職員同士がコミュニケーションできる環境がなかったからだと説明する。

「Groupmax Collaborationでは、距離や組織を意識させずに、職員同士が目的に合わせて気軽に集まれる“コミュニティ”を作ることができます。まさにこういった“コミュニティ”こそが我々が求めていた環境でした。また、コミュニティは、簡単な操作で職員自らが作ることができることも魅力です」(竹中氏)。

また、誰でも簡単に使えるユーザーインタフェースも、活用が広がる重要なポイントだと竹中氏は指摘する。コミュニケーション機能の優位性とユーザビリティに配慮したデザインが高い評価を受け、2005年度グッドデザイン賞を受賞したGroupmax Collaborationは、ユーザーインタフェースでも大きな利点を持っている。

コミュニティの作り方として、管理者主導型(トップダウン型)、現場主導型(ボトムアップ型)、自由参加型(組織横断型)をサポートしており、さまざまな形式のコミュニティに対応することも評価されている。「自治体の組織というとトップダウン型を連想する方も多いと思いますが、実はボトムアップ型の組織や横断的な組織も数多く存在しています」と神門氏。

Groupmax Collaborationは、このように多様なグループにも対応しやすいのだと説明する。

続々生まれる組織を超えた連携自由な風土の醸成に大きな効果

「当初は業務システム刷新の一環として位置づけられたGroupmax Collaborationの導入でしたが、その効果は思っていた以上に大きなものでした」と福島氏。“予算ありき”ではなく“目的ありき”でプロジェクトを進めていくという組織風土を作り上げる上で、極めて大きな貢献を果たしているという。

また、さまざまなノウハウをもった職員同士のコミュニケーションにより、職員の発想がこれまで以上に自由になるという効果も見られるという。

越前市では庁内システムのポータルサイトとして「えちぜん@ゆう.ねっと」を用意しているが、「コラボレーション」は現在、そのメニューのトップに位置づけられている。

それでは具体的にどのようなグループが生まれ、どのような成果を上げているのか。福島氏は2つのコミュニティを挙げた。

まず、市の児童福祉課と保育園の共同コミュニティでは、保護者と保育園との距離がよりいっそう縮まるように、手段や方法について活発に話し合われていた。その成果として、保育園の児童の様子をデジカメで撮影し、パソコンに格納、児童を迎えに来た保護者にその写真を見てもらうという取り組みを行っている。これが「保育園での子供達の様子がわかりやすい」と保護者に評判なのだ。この取り組みは新聞でも取り上げられ、大きな注目を集めているという。

次に消防署と学校、市の情報統計課が連携した「消防ネットワーク」と呼ばれるコミュニティも作られている。

災害時には消防署と市が緊密に連携する必要がある上、避難場所としての学校も重要な役割を果たす。ところが、これまでは電話やFAXで情報をやり取りしていたため、必ずしも効率的な連携ができていなかった。

しかし「消防ネットワーク」コミュニティによって防災のための情報交換・情報共有ができるので、このような問題を根本から解決できると期待されているのである。


庁内システムへの入り口である「えちぜん@ゆう.ねっと」の画面。
「コラボレーション」がメニュートップに位置づけられていることがわかる。
越前市ではGroupmax Collaborationが、縦割り組織を超える基盤として位置づけられている

“できたらいいな”を“できる”に変えていく

越前市ではこのように、市役所の中だけにとどまらず、市中の多様な組織が自発的に参加する形で、さまざまなコミュニティが形成されている。Groupmax Collaborationの試行運用が始まったのは2005年9月だが、そのわずか1カ月後には100近くのグループが活動を行っている。

今後の目標は廃校になった校舎などの利用・管理もGroupmax Collaborationに集中化し、住民にワンストップで提供できるようにすること。そのための準備にもすでに着手しているという。「シンプルに使えるコラボレーションで、“できたらいいな”が着実に“できる”に変わっていきます」と福島氏。

Groupmax Collaborationは、自治体の変わり行く組織風土を、しっかり支えているのだ。

越前市 新システム概要
越前市 新システム概要

USER PROFILE (2005年12月20日現在)

越前市

2005年10月1日、福井県の武生市と今立町が合併して誕生。県のほぼ中央に位置し、昔は越前国府が置かれ、北陸の中心地として栄えた場所。現在では商工業都市として重要な役割を担っており、電子部品・機械などの工業製品出荷額は県下トップ、ニットアパレル産業は全国トップクラスの出荷額を誇る。越前市の誕生はその“中核都市”としての魅力を、さらに高めるものと期待されている

特記事項

  • この記事は、「日経ガバメントテクノロジー」2005年冬号(12月14日発売号)、 「日経コンピュータ」2005年12月26日号(12月22日発売号)に掲載されたものです。
  • GroupmaxGovernmentPartner(新規ウィンドウを開く)の詳細については,ホームページをご覧ください。
  • 記載されている会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。
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