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ミドルウェア

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競争力強化に向けてDWH(データウェアハウス)システムを構築。
「DataStage(R)」の導入で、柔軟な情報活用を実現

千葉興業銀行(以下、ちば興銀)では、2004年10月から、地銀共同センターの利用を開始する。勘定系処理に地銀共同センターのサービスを利用することでコストを削減するのと同時に、最新IT環境のもとで情報を自在に活用して、競争力を強化するのがねらいだ。情報活用の要は、ちば興銀内に構築される基幹データベースと呼ばれるデータウェアハウス(DWH)である。3万5千ものデータ項目で構成される膨大な基幹データベースの情報を柔軟に活用するために、日立のデータ統合のための情報資産管理基盤「DataStage」を使って、データマートを構築。幅広いエンドユーザーが、自分の業務にデータを自在に活用して、競争力強化を図れる環境を実現した。

勘定系は共同センターを利用 差別化の要は情報活用の深さ

飯高 克己氏の写真
千葉興業銀行
参事 総合事務部
担当部長兼システムセンター所長
飯高 克己氏

ちば興銀は、「少数精鋭・高収益で地域に信頼されるコアバンク」を目標に掲げ、収益力強化と経費削減を経営改革の基本コンセプトとして推進してきた。システム面では、地銀共同センターへの参加を決定。システムコストを大幅に削減すると同時に、最新IT技術を駆使して情報分析やCRMを推進し、競争力強化・収益力強化を目指す方針を打ち出した。

ちば興銀が参加する地銀共同センターは、NTTデータの次世代バンキングアプリケーションであるBeSTA(R)(ベスタ)を使用した金融機関向け共同利用型システムで、すでに10行が参加を表明している。

地銀共同センター利用によって、情報の流れは大きく変わる。

「従来は、勘定系システムのデータが磁気テープの中にあり、データを一元管理する基幹データベースが存在しなかったというのが現実です。過去にさかのぼった情報を活用するために、エンドユーザーの要望に沿って用途を定めた目的別データベースを150以上も作っていました」と、ちば興銀参事総合事務部担当部長兼システムセンター所長 飯高 克己氏は言う。

2004年10月以降は、地銀共同センターから日次データが送信され、ちば興銀内のUNIXサーバに設ける基幹データベースで一元管理する仕組みに変わる。

「一番画期的なことは、すべての情報を一元管理する基幹データベースが構築できることです。欲しいデータは全てこのDWHにあるわけですから、もう150以上もの目的別データベースを事前に用意しておく必要はありません。これまでより自由かつスピーディに情報活用ができるようになります」と飯高氏は意欲的に語る。

データマートをETLツールで構築。DWHを使いこなす

伊藤 和行氏の写真
千葉興業銀行
総合事務部システムセンター
上席調査役
伊藤 和行氏

基幹データベースを構築し、企画部門のみならず、コールセンターや営業店の担当者までが、必要なデータを必要なときに必要な形で取り出せる環境が整った。しかし実際には、3万5千ものデータ項目で構成される複雑で膨大なDWHを自在に扱えるエンドユーザーはほとんどいない。特に、収益管理システムやALM(資産負債管理)システムなど、日常業務で最新情報を有効活用するためには、予算データベースや帳票データベースなど、目的別のデータベース構築が不可欠だ。DWHを使いこなし、柔軟なデータ活用を推進できるかどうかは、このデータマートの構築にかかっていると言っても過言ではない。

ちば興銀は、データマート構築のために、日立の情報資産管理基盤「DataStage」を利用することにした。

DataStageは、国内でも170社での導入実績をもつETL(Extraction, Transformation and Loading)ツールであり、既存システムからデータを抽出し、マージ/変換/集約などを行った上で、ターゲットとなるデータベースにローディングする。DataStageは特に、GUI環境でのビジュアル開発に優れており、データの流れを定義してパラメータを設定すれば、データ統合のためのプログラムを自動生成する。部品を組み合わせたり、一度作成した処理を再利用することで、開発時間も大幅に短縮できる。企業内に散在する膨大かつ多種多様な情報資産を、業務に使える情報へと再構築するためのデータ統合管理基盤なのである。ちば興銀では、開発時間短縮と情報活用促進の両面の目的で、DataStage採用に踏み切った。

「今までの情報系システムは、メインフレーム上の開発言語であるPL/1を使って開発してきました。しかし、基幹データベースをUNIXサーバ上に設けたため、新しい情報系システムではCOBOLやC言語を使わなければなりません。PL/1を使いこなしてきた開発者が、これからCOBOLやC言語を学び、実務に使うまでには膨大な時間と教育コストがかかってしまうのです」と、ちば興銀総合事務部システムセンター上席調査役 伊藤 和行氏は言う。しかも、カットオーバーの日が決まっており、勘定系と情報系の再構築を同時に進めなければならない。

「PL/1で蓄積してきた人的ノウハウもプログラム資産も流用できない状況において、限られた人数で決められた期限に間に合わせるには、データ整備には、生産性の高いツールを使うことが最善であると判断しました」と伊藤氏は語る。

もうひとつ、これからのシステム開発は発想を根本から変えなければならないという強い思いもあった。

「従来のシステム部門は、データを整備して渡すことに力の9割を使い果たしていました」と飯高氏は言う。それほどに、データをメンテナンスして、150以上の目的別データベースを提供し続けることには大変な労力がかかっていた。

「これからは、データの使いこなしや戦略的なアプローチの提案にこそ、9割の力を注いでいかなければなりません」と飯高氏は言う。データ整備を1割の力でこなせるETLツールが、競争力強化に役立つシステム部門に生まれ変わるために不可欠だったのである。

「DataStageを使えば、いろいろな切り口でシミュレーションしたり、影響分析したりすることが簡単にできます。しかも、勘定系データベースをそのまま使って試行錯誤ができます。開発のやりかたが変わり、情報活用のやりかたが大きく変わるのです」と伊藤氏は強調する。

DataStageを中核に統合ソリューションを提供した日立

DataStageは日立が日本語版の開発、品質確保などを行っているうえに、日立の豊富なミドルウェア製品と連携するためのアドオン部品を開発して、統合ソリューションとして提供している。

ちば興銀の次期システムでは、日次データは1日数十回のネットワーク経由の通信で、月次データは磁気テープで共同センターから届く。これらを蓄積する参照専用の基幹データベースは、日立のスケーラブルデータベース「HiRDB」上に構築した。HiRDBはHA構成になっており、DWHの総容量は1.8テラバイト。データは店群単位で6つに分割して登録し、HiRDBならではの並列アクセス機能を駆使することで、高速なデータ参照を可能にしている。

DataStageは簡単なGUI操作だけでデータマートを構築できる。UNIX環境で動くHiRDBから、Windows(R)環境で動くデータマートへ、OS間のデータ連携も極めてスムーズだ。データ更新や再抽出のバッチ処理は、統合システム運用管理ソフトウェア「JP1」のジョブ管理機能を使って自動運用する。また、データベースからネットワークまで徹底して二重化を施し、情報系システムながら高度な可用性を追求した。

「バッチプロセスを組み込めるなど、メインフレーム開発の考えかたを踏襲できるのがDataStageの特長。メインフレームしか知らない開発者が、1週間で使いこなせるようになりました」と飯高氏は言う。

エンドユーザーは、普段使い慣れているMicrosoft(R) ExcelやMicrosoft Access(R)を使って、データマートあるいはDWHに直接アクセスする。全体は日立の統合ソリューションとして構築されているため、ミドルウェア間の連携は密接で、安定稼働が大いに期待できる。

ちば興銀ではすでに、20ほどのデータマートを構築してDataStageの開発生産性と柔軟性を確認。次には、コールセンターや営業店のシステム開発において、基幹データベースのデータをうまく取り込む部分で利用する。さらに今後は、情報系システムのインフラとしてDataStageを活用していきたいと考えている。

「基幹系システムが各行共通となった今、競争力の源泉は情報系システムに移りました。システム部門も、情報系システムにシフトした情報活用に力を入れていきます」と飯高氏は力強く語る。

ちば興銀は、共同センター利用によってコスト削減を実現したうえに、情報活用による顧客サービス向上と収益力向上に向けて、大きな一歩を踏み出したのである。

ちば興銀の戦略情報系 システム概要図

USER PROFILE

千葉興業銀行

[本社] 千葉市美浜区幸町2-1-2
[設立] 1952年1月18日
[資本金] 579億4,189万円
[経常収益] 483億2,200万円(2004年3月期)
[従業員数] 1,199名

千葉県内を中心に71店舗を展開する地方銀行。エリア営業体制を核に、地域に密着した積極的な営業活動を推進中。「少数精鋭・高収益で地域に信頼されるコアバンク」を目標に、さらなる経費削減と収益力向上に取り組む。

特記事項

  • この記事は、日経コンピュータ2004年9月6日号に掲載されたものです。
  • DataStageHiRDBの詳細は、製品ホームページでご覧ください。
  • BeSTAは(株)NTTデータの登録商標です。
  • DataStageは、Ascential Software,Corp.またはその関連会社の、米国またはその他の国における登録商標です。
  • Windowsは、米国およびその他の国における米国Microsoft Corporationの登録商標です。
  • その他記載されている会社名、製品名は、各社の商標もしくは登録商標です。
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