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「JP1」で各システムを高い信頼性で自動的に連携。
生産計画から発注、納期調整、検収までの
プロセス全体を自動化し、業務効率アップに貢献

樹脂加工メーカーのアロン化成株式会社(以下、アロン化成)は、発注業務を効率化するために、Web-EDIシステムを2つの工場に導入。他システムと高い信頼性で自動的に連携させ、Web-EDIシステム導入による発注業務の効率化を最大のものにするために採用されたのが、日立の統合システム運用管理「JP1」だ。

JP1によるシステム連携によって、生産計画から発注、納期調整、検収までのプロセス全体が自動化され、業務効率アップに貢献。

同社では、2010年1月の稼働を目指し、ERP導入プロジェクトが進行しており、ERPへの全面移行が完了すると、基幹システム全体のシステム連携がJP1で実現される予定だ。

伊藤 克幸氏の写真
アロン化成
株式会社
取締役
伊藤 克幸氏

神山 雅敏氏の写真
アロン化成
株式会社
経営企画部
システムグループ グループリーダー
神山 雅敏氏

妹尾 昭浩氏の写真
アロン化成
株式会社
経営企画部
システム
グループ
妹尾 昭浩氏

小幡 亨氏の写真
アロン化成
株式会社
経営企画部
システム
グループ
小幡 亨氏

将来的なデータ活用に向けて
ERPへ全面移行

1951年の硬質塩化ビニル管(アロンパイプ)製造に始まり、独創的なモノづくりで社会のニーズに応えてきたアロン化成。

現在は、給排水、介護・福祉、エラストマー、環境の4分野をコア事業として、さらなる基盤強化と規模拡大を図っている。

「配管パイプなどの管工機材は、社会に貢献する大切な製品ですが、成熟市場でもあり、売上を大幅に伸ばすようなことは難しく、きめ細かな収益管理が不可欠です」と伊藤氏は語る。

これまで、基幹システムはメインフレーム上で稼働してきた。しかし、25〜30年前に構築したシステムは、将来的なデータ活用に向けた大がかりな改修が困難だった。

そこで、2010年1月までに基幹システムを、ERPへ全面移行することになった。

発注業務の効率化を目指し
Web-EDIシステムを導入

基幹システムのERPへの全面移行と並行して、アロン化成の2つの工場では、発注業務の効率化を目指し、Web-EDIシステムが導入された。

「従来型(JCA手順や全銀手順など)のEDIシステムでは、小規模なお取引先では対応が難しかったのですが、インターネットを利用したWeb-EDIシステムであれば、お取引先の運用負荷やコスト負担を極力抑えた形で導入できます」と神山氏は説明する。

Web-EDIシステムは、シンプルな操作性とわかりやすい画面構成を評価して、株式会社 日立ソリューションズ西日本の「Hi-PerBT(ハイパービーティー) ウェブ購買」を採用。

さらに滋賀工場では、株式会社 日立ソリューションズ東日本の生産計画システム「SynPIX(シンピックス)」も導入。これまで属人的だった生産計画ノウハウがシステム化され、標準化・効率化が進んだ。

「以前の発注業務は、1件ずつ入力した発注データを出力し、発注先ごとにFAX送信するという大変手間のかかる作業でした。しかし、Web-EDIを導入したことで、煩雑だった発注業務を大幅に効率化することができました。
さらに、発注データや検収データ、納期回答データ等を、生産計画システム『SynPIX』と連携させたことで、計画立案から発注、納期調整、検収処理までのプロセス全体を、整合性をとりながら省力化することができました」と小幡氏は説明する。

Web-EDIシステム導入による発注業務の効率化を最大のものにするためには、各システムを高い信頼性で自動的に連携させることが必要だった。

また、サーバ類は外部のデータセンタに設置するため、必要に応じて業務を遠隔から監視・制御できる環境を整えておく必要もあった。Web-EDIシステムと生産計画システム、メインフレーム上の基幹システムとのシステム連携を高信頼で実現し、遠隔監視も可能にするツールとして採用されたのが、日立の統合システム運用管理「JP1」である。

「JP1」によるシステム連携が
業務効率アップに貢献

2008年に生産計画システムとWeb-EDIシステムを導入した滋賀工場では、メインフレームに残っている在庫管理システムと買掛管理システムをJP1によって自動化して大きな成果をあげている。

まず、夜間のうちに生産計画システムが、必要な発注量を計算。翌日、算出された発注データがWeb-EDIシステムに送信され、確認・承認されると発注される。

実際の送信処理は、1日数回の決まった時刻にJP1が自動実行している。同時に、Web-EDIシステムのメール送信機能を利用して、取引先へ発注通知メールを定時送信するのもJP1の役目だ。

取引先から戻ってきた納期回答は、生産計画システムへフィードバックされ、製品の組み立てに間に合うかどうかがシミュレーションされる。

これまでは、発注担当者が納期回答と生産計画を照らし合わせ、手作業で計算したりと煩雑な処理に追われ、取引先や社内生産部門との交渉に集中できなかった。

しかし現在では、材料の納品が間に合わず、製品の組み立てに支障が出る場合は、希望納期と異なっている回答だけが抽出されるので、担当者は問題への対策をいち早く講じることができるようになった。

さらに、Web-EDIシステムで実行した発注データと検収データは、メインフレーム上の基幹システムへフィードバックされる。このメインフレームとの連携にもJP1が一役買っている。

「JP1の導入で、発注データが毎日決まった時刻に取引先へ確実に送信されるようになりました。定時送信が確立したことは、『何時までに発注すれば、何日までに納品する』という取引ルールを徹底させるうえでも役立っています」と妹尾氏は評価する。

万一エラーが発生した場合は、システム管理者へ障害情報のメールをJP1が自動送信する。さらに、バックアップやリブート処理、不要データの削除などもJP1で自動化した。

「エラー発生を知らせるメールが届くと、JP1の画面をチェックし、すぐに対処しています。JP1は、わかりやすいGUIで、どこがエラーになったのかを、すぐに突き止められます。データセンタとの距離を感じさせない、快適な運用管理環境が実現できました」(小幡氏)。

「JP1」で統一して
運用管理機能をさらに強化

JP1によるシステム連携によって、生産計画から発注、納期調整、検収までのプロセス全体が自動化され、精度の高い発注管理を、従来よりもはるかに少ない手間で実行できるようになった。

アロン化成では、2010年1月の稼働を目指し、ERP導入プロジェクトが進行している。ERPへの全面移行が完了すると、基幹システム全体のシステム連携がJP1で統一され、運用管理できる領域が拡大する。

さらに、JP1の他のモジュールを追加導入して、運用管理機能を強化する計画もある。

「Web-EDIシステムや生産計画システムの導入により、業務効率アップに成功しました。ペーパーレス化や内部統制など、副次的な効果も大きい、さらに発注業務が標準化したことで、在庫の回転率や納期短縮にも良い影響が拡大していくでしょう」(伊藤氏)。

今後もアロン化成のさらなる業務効率化を、JP1がサポートしていく。

アロン化成(株)のWeb-EDIシステム概要

USER PROFILE

アロン化成株式会社のロゴ
アロンホール「AHR-R DQシリーズ」(左)と折りたたみシャワーベンチ(右)。

アロン化成株式会社

[本社] 東京都港区西新橋2丁目8番6号
住友不動産日比谷ビル8階
[設立] 1950年8月16日
[資本金] 42億2,000万円
[従業員数] 519名(2020年3月末現在)

硬質塩化ビニル管の製造など、独創的なモノづくりで社会のニーズに応えてきた。近年は、素材を活かしたモノづくりの領域を、介護用品へと拡大。「安寿」ブランドでのライフサポート事業でも知られている。

特記事項

  • この記事は、「日経コンピュータ 7月21日号」に掲載されたものです。
  • JP1の詳細については,ホームページをご覧ください。
  • EDI:Electronic Data Interchange ERP:Enterprise Resource Planning JCA:Japan Chain Stores Association GUI:Graphical User Interface JP1/AJS2:JP1/Automatic Job Management System 2
  • 記載されている会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。
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