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Hitachi

日立パワーソリューションズが、天然ガス専焼のガスコージェネレーションシステムに追設可能な水素混焼ユニットを開発、実証試験を開始

従来の天然ガスを用いたシステムと比較し年間260トンのCO2削減に貢献

株式会社日立パワーソリューションズ

[画像]水素混焼運転のイメージ
水素混焼運転のイメージ

  株式会社日立パワーソリューションズ(以下、日立パワーソリューションズ)は、発電出力500kW〜1,300kWの中小規模のガスコージェネレーションシステム*1へ容易に追設可能な水素混焼ユニットを開発し、水素混焼運転の実証試験を開始しました。
  このたび開発した水素混焼ユニットは、天然ガス専焼のガスコージェネレーションシステムに追加設置することで、20vol%までの水素との混焼運転*2を可能にします。さらに、コンパクトで、ガスコージェネレーションシステムに大幅な改造を加えることなく容易に設置できる点が特長です。当社製のガスコージェネレーションシステムに本水素混焼ユニットを取り付けることで、水素を20vol%混焼した場合、天然ガス専焼と比較し年間260トンのCO2の削減*3が可能になります。
  実証試験では、2025年2月から3月まで、当社大沼工場に設置している500kWガスコージェネレーションシステムに、開発した水素混焼ユニットを取り付け、水素混焼率20vol%での運転の安定性、水素混焼時におけるシステム効率と適切な制御の追従性および応答性を検証します。実証試験での有効性確認後、当社製ガスコージェネレーションシステムを所有しているお客さまおよび新規のお客さまを対象として、2025年4月の発売をめざします。

*1
ガスエンジンを用いて、天然ガスから電力や熱など複数のエネルギーを同時に得るシステム。
*2
水素を体積比20%までの割合で天然ガスと混焼。
*3
発電出力1,271kWのガスエンジン(J420 50Hz)にて、年間8,000時間20vol%水素混焼運転(発電出力1,144kW)した場合のCO2削減量を自社にて試算。

開発の背景

  日本では2017年に国家戦略として「水素基本戦略」*4が策定されたことを皮切りに、2024年には「水素社会推進法」*5が成立するなど、水素技術の確立と国内での市場創出に向けた取り組みが加速しています。とくに、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、水素は脱炭素化が難しい分野においてGX*6を進めるための重要なエネルギー源として位置づけられ、企業においても、脱炭素化を進める手段として注目されています。
  日立パワーソリューションズは、2004年からオーストリア共和国INNIO Jenbacher(イニオ イェンバッハ)社*7製ガスエンジンの日本国内におけるディストリビューター*8として、お客さまの仕様に合わせたガスコージェネレーションシステムを提案から設計・製作・施工・試運転・保守サービスまで一貫した体制で提供しています。これまでに製造業や流通業、空港ビル設備などさまざまな業種のお客さまに延べ約350台(300MW)*9のガスコージェネレーションシステムを導入してきました。
  この実績を生かして、当社は、社会における水素利活用促進に寄与すべく、早くから水素燃料に着目し、ガスコージェネレーションシステムにおける水素混焼と水素専焼の技術開発を行ってきました。2020年には国内の実証試験プロジェクトに、混焼率50vol%の水素混焼ガスコージェネレーションシステムを導入*10しており、2024年から800kW級の水素専焼ガスコージェネレーションシステムの提供を開始しています。今回開発した水素混焼ユニットは、既存の設備への追設が容易な仕様により、お客さまの水素活用のさらなる推進へ貢献していくことをめざすものです。
  また、この取り組みは、当社がこれまで推進してきた茨城県日立市内に隣接する4事業所を結んだマイクログリッド型エネルギー供給サービスの運用*11や、日立グループ国内初のオフサイトフィジカルコーポレートPPAの運用*12などと同様に、お客さまの脱炭素化を支援する新たなカーボンニュートラルソリューションの提供をめざす事業の一環です。

*4
日本政府が水素社会実現の加速化をめざして策定した戦略。令和5年改訂。
*5
脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律。
*6
グリーントランスフォーメーションの略。化石燃料をできるだけ使わず、クリーンなエネルギーを活用していくための変革やその実現に向けた活動。
*7
再生可能ガス、天然ガス、水素ベースのソリューションおよびサービスを提供するオーストリア共和国のガスエンジン専門メーカー。
*8
メーカーから製品を仕入れ、お客さまに販売する企業。
*9
2025年1月時点。
*10
  安藤ハザマ 次世代エネルギープロジェクトの実証開始−水素社会の到来を見据えた広域的省CO2プロジェクト−ガスコージェネレーションシステムに大幅な改造を加える場合、20vol%以上の水素混焼や水素専焼も可能。今回の水素混焼ユニットは、大幅な改造を行わずに取り付けられるように開発しており、20vol%の制限あり。
*11
  2023年12月4日ニュースリリース「日立が、茨城県日立市の4事業所でマイクログリッド型エネルギー供給サービスの運用を開始、日立パワーソリューションズとエネルギー&ファシリティマネジメントサービス事業を強化」
*12
  2024年8月29日ニュースリリース「日立パワーソリューションズと三菱HCキャピタルエナジーが、CO2排出量約1,100トン削減と脱炭素化モデル構築に向けた取り組みに着手」

実証試験における主な検証内容

  1. 水素混焼率20vol%運転での安定性の確保
    水素と天然ガスを混焼した運転の安定性が確保できるかを検証します。また、運転時のシステム全体の安定性を確認します。
  2. 水素混焼運転におけるシステム効率の検証
    天然ガス専焼での運転と比較して、水素を混焼した際のエネルギー効率や発電出力、排熱回収などの性能がどの程度変わるかを評価し、システム効率に対する影響を明確にします。
  3. 水素混焼時における制御の追従性および応答性の検証
    天然ガス専焼から水素混焼への切り替えなど燃焼状態が変動する条件下で、システムが迅速かつ正確に制御パラメータ*13を調整できるかを確認します。とくに、水素混焼比率の変化や運転条件の変動に対するガスエンジンの応答性が、発電効率や安定性にどのように影響を与えるかを評価します。
*13
  燃焼プロセスにおいて重要な役割を果たす各種の変数や条件のこと。燃料の種類、空燃比、温度、圧力、燃焼速度など。

今後の展開

  本実証試験を基に、2025年4月より、当社製ガスコージェネレーションシステムと水素混焼ユニットのパッケージ販売、および既設・今後設置される当社製ガスコージェネレーションシステム向けに水素混焼ユニットの発売をめざします。日立パワーソリューションズは、今後も水素の社会実装を見据えた技術開発を進めるとともに、水素利活用が可能な製品を市場に投入することで、カーボンニュートラルの実現に貢献します。

ガスコージェネレーションシステムについて

日立パワーソリューションズについて

  日立パワーソリューションズは、エネルギー・インフラ関連分野において、デジタルを活用したサービス事業やグリーン事業を展開し、「サービス」「グリーン」×「デジタル」に関連した事業で蓄積した技術やノウハウを基盤に、エネルギーや社会インフラを支えるとともに、お客さまや社会の課題解決に貢献するソリューションを提供し、カーボンニュートラルの実現に貢献してまいります。

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