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次世代石炭火力発電向け低温作動型シフト触媒を開発
発電効率向上、年間約20万トンのCO2削減効果を実証
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(理事長 : 古川 一夫/以下、NEDO)と株式会社日立製作所(執行役社長 : 中西 宏明/以下、日立)は、開発したCO2回収機能付石炭ガス化複合発電(CCS*1-IGCC*2)向けシフト触媒*3の評価試験をパイロットプラント(EAGLE*4)で実施し、1,000時間の連続試験を通じて新触媒の性能維持を実証しました。本開発触媒をCCS-IGCCシステムに用いることで、シフト反応を従来の3分の2の水蒸気量で効率よく進行させ、CO2を回収しながら発電効率をより高くすることができるようになるため、従来の石炭火力発電に比べCO2排出量の約20万トン/年(100万キロワット級発電所)削減が期待できます。
- 1. 事業概要
本プロジェクトは、NEDO「ゼロエミッション石炭火力技術開発プロジェクト/革新的CO2回収型石炭ガス化技術開発/物理吸収法におけるサワーシフト反応最適化研究」(2011年度から2013年度)のもとで進めています。
シフト反応は低温で反応を行うほど水蒸気量は少なくなるため、運用温度を低温化すれば、理論的には水蒸気量を減らすことが可能となります。一方、一般にシフト触媒の活性は高温ほど高いため、これまでは水蒸気量を増やすことで反応を進めていました。本事業は、日立が開発した低温でも活性が高い触媒を適用することで、反応に使用する水蒸気量を低減し、発電効率の向上をめざしたものです。
2013年1月にEAGLEパイロットプラント内に、石炭ガスで触媒性能を評価可能な試験設備を製作し、その後、電源開発株式会社若松研究所の協力により現地試験を実施しました。
- 2. 開発成果
今回の開発成果は以下の通りです。
- (1) EAGLEパイロットプラントにおいて、実際の石炭ガスを用いて本開発触媒と従来触媒の2種類の触媒を同時に評価し、開発触媒は従来触媒に比べて250℃以下の低温領域でも高いCO転化率*5を有することを確認しました。
- (2) 反応用の水蒸気量を従来の3分の2に低減した条件(H2O/CO=1.2mol/mol)において1,000時間の連続試験を行い、理論転化率*6を維持していることを確認しました。
今回の試験の結果、CCS-IGCCの実用化に向けて、高効率発電を実現しつつ、CO2回収を実現できる可能性を示すことができました。今後は、本技術を通じて、低炭素社会の実現をめざします。
- *1
- CCS : Carbon dioxide Capture and Storageの略。CO2を回収して貯留し、大気中に温室効果ガスであるCO2が排出されることを防止する技術。
- *2
- IGCC : Integrated coal Gasification Combined Cycleの略。石炭を酸素などと反応させてCOとH2を含むガス燃料を生産し、ガスタービンとガスタービン排熱を回収して発生する水蒸気によって駆動される蒸気タービンで発電する複合発電設備。
- *3
- シフト触媒 : 石炭ガスの主成分であるCOを水蒸気と反応させ、CO2に転換するシフト反応で使用する触媒。
- *4
- EAGLE : 多目的石炭ガス製造技術開発(coal Energy Application for Gas, Liquid and Electricity)
- *5
- CO転化率 : 実際の触媒反応におけるCOのCO2への転換率。
- *6
- 理論転化率 : 平衡状態におけるCOのCO2への転換率の理論値。
お問い合わせ先
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
環境部 [担当 : 山本、在間]
〒212-8554 神奈川県川崎市幸区大宮町1310
電話 044-520-5250 (直通)
株式会社日立製作所
日立研究所 企画室 [担当 : 影山]
〒319-1292 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号
電話 0294-52-7508 (直通)
以上