VMware Horizonと日立サーバ&ストレージでサーバOSによる仮想デスクトップ環境を構築。
運用性・性能を大幅に改善し、コスト低減も実現。
東京総合校舎 コクーンタワー
ファッション・美容の「モード学園」、IT・デジタルコンテンツの「HAL」、そして医療・福祉の「医校」「医専」という専門学校を東京、大阪、名古屋で、さらにフランス・パリで「クレアポール」を運営する学校法人日本教育財団。同法人では、2008年から各校共通の業務基盤として、ブレードPC型シンクライアントシステムを活用していました。しかし長期利用に伴う老朽化によって目立つようになったハードウェア障害とそれに伴うメンテナンス負担の増大、さらに性能不足によるレスポンス低下といった問題に直面。これを受けて新たに導入されたHA8000とHitachi Unified Storage 130、そしてVMware HorizonによるサーバOSベースの仮想デスクトップ環境は、同システムの運用性や性能面、コスト面に大きな改善をもたらしています。
導入環境
HAL CG映像学科
1966年の「名古屋モード学園」開校から50年。現在、東京、大阪、名古屋とパリで計10校を運営する学校法人日本教育財団は、“ファッション×IT×医療、即戦力の人材を育成する”というスローガンのもと、知識や技能だけでなく、課題解決に不可欠な創造性を育む独自の人間性教育を通じて、各界に数多くの優秀な人材を送り出しています。
従来の洋裁・和裁技術だけでなく、最先端のファッションデザインまで学べる「モード学園」、CG・映像・カーデザイン・電子工学、情報処理からさらに踏み込んだゲーム開発を学べる「HAL」、そして、超高齢社会の進展などから今後の日本社会に不可欠な医療・福祉の専門家を育成する「医校」と「医専」。世の中の動きや社会的ニーズをいち早く先取りしてきた同法人による3領域の専門学校は、フランスへの海外展開のほか、卒業時に学士同等の「高度専門士」の資格が付与される4年制課程の設置、そしてユニークなCMなど、独自色の強い運営方針で注目を集めてきました。さらに現在、同法人では新たな大学の設立計画も進行中だといいます。
2008年、同法人では、全教職員が日々の業務にPCを活用できるように、東名阪3拠点をカバーする業務クライアントシステムを構築。管理のしやすさやセキュリティ面などを考慮し、約600台のブレードPCと約1,000台の端末によるブレードPC型シンクライアント構成を採用しました。
「稼働後4、5年が経過する頃からでしょうか、各ブレードPCの故障が目立つようになったため、高度なIT技術を有する職員自身でメンテナンスすることになりました。しかし、そのたびにごく少人数でHDD換装などの対応をせざるを得なくなり、アプリケーションの高度化に対してメモリー容量なども不足するようになりレスポンスが低下していました。また、ハード構成の制約で当初設定のWindows® XPからWindows® 7へOSをアップデートできないことも悩みのタネでした」従来システムの課題について、こう振り返るのは同法人の理事で法人本部システム室室長の寺田延生氏。こうした課題の解決を図ろうと、システム室が従来システムを担当したSIerに加え、日立システムズなど数社に提案を依頼したのは、2013年末のことでした。
「従来システムはブレードPCとユーザーがいわば1:1の関係で、障害対応やメンテナンスの際もブレード1枚1枚に対処する必要がありました。各社への依頼にあたって私どもがお願いしたのは、従来検討したものの時期尚早として見送ったデスクトップ仮想化集約を前提にしたシステム提案でした」と話すのは法人本部システム室主任の赤田和隆氏です。
依頼を受けた日立システムズでは、VMware製品に精通した技術者が社内に多数おり、過去に本プロジェクトに適用できる最適な導入事例も豊富にあったことから、VMware Horizonと日立アドバンストサーバHA8000などによる仮想デスクトップ環境の構築を提案。仮想環境のOSをサーバOSにする“サーバVDI”で、一般的なクライアントOSの仮想環境より、ライセンス契約形態の点で大幅なコスト低減が図れることもアピールしました。
これに対して同法人は、提案されたシステムで果たして自分たちが望むことができるのか、特に運用面に関する専門的かつ微細にわたる質問や相談を投げかけ、日立システムズはそのひとつひとつの問いかけに説得力のある回答や提案で対応。その後、VMwareの担当者も参加するようになったこうしたやり取りを1年以上続けた結果、2015年6月に日立システムズによる提案の正式採用が決まりました。
「豊富な実績を誇るVMware製品に対する期待感や、これまでも他のシステムで利用してきた高信頼・高可用なHA8000に対する安心感、そして何よりも、30年以上のお付き合いを通じて、私どもの業務やシステム環境を熟知されている日立への大きな信頼感が採用の決め手でした」と寺田氏。その後のシステム構築とテスト運用を経て、2015年9月、いよいよ新たな仮想デスクトップ環境が本稼働を始めました。
首都医校 臨床工学技士特科
以前のクライアント端末をそのまま活用することで導入コストを抑制できたVMware Horizonによる新たな仮想デスクトップ基盤では、ハードウェアの数も従来システムに比べて大幅に減少。かつて各拠点に2ラック分を占めていたデスクトップ基盤を1ラック分に満たない数のサーバで実現できました。
「これまでPC1台ずつ手作業で対応しなければならなかったソフトウェアのインストールや、処理に時間がかかるため小分けにしていたマスタイメージの配布も自動化してスピードアップが図れました。運用面での時間の自由度が上がってとても助かっています」と、赤田氏はその導入効果について説明します。
さらに、格段に性能向上したサーバの採用などによってシステムのレスポンスが劇的に改善したこと、そして、かつて要望の多かったWindows® 7ベースのWindows Server® 2008環境を利用できるようになったことが特にエンドユーザーである教職員の方々に喜ばれているといいます。また、コスト低減が図れるサーバVDI方式の採用にあたっては、従来クライアントOS上で使っていたアプリケーションの互換性を検証。稼働後もそれまで使っていたすべてのアプリケーションを問題なく使えているそうです。
新たな仮想デスクトップ環境を支えるのは、5年間保証で保守サービスや定期点検サービスをパッケージしたHA8000の「おまかせ安心モデルⅡ」。そして、SANストレージに採用したフラッシュメモリー(SSD)搭載のHitachi Unified Storage 130による高速I/Oは、個々の差分データのみを複製することで仮想デスクトップに必要なストレージ容量を大幅に削減できる「リンククローン方式」による高速化を可能にしています。
「導入後の評価点は、100点満点中120点。運用性と性能面の課題を根本から解決してくれた新たな仮想デスクトップ環境は称賛に値します。
今後も日立システムズやVMwareの力を借りながら、一部の教育用システムの仮想化なども検討していきたいですね」と、今回のプロジェクトを総括した寺田氏は、最後に、将来へ向けた日立とVMwareによるソリューションにも期待を寄せられました。
SSD:Solid State Drive
東京・大阪・名古屋、そしてフランス・パリで、ファッション・美容系、IT・デジタルコンテンツ系、医療・福祉系の専門学校を運営。それぞれの分野における専門知識・技術を習得させるだけでなく、課題の発見とその解決のための「創造力」を育成する人間性教育を実践している。
所在地:〒530-0001 大阪市北区梅田3-3-1
創立:1966年4月
職員数・学生数:教師・職員・講師 1,889名(2016年4月現在)・学生 13,940名(全10校/2016年4月現在)