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日立の総合力で数十億円単位の削減効果に期待
VMware製品をフルスタックで活用
コスト効果、運用負荷軽減を最大化

2023年に創業100周年を迎える富国生命。次の100年に向けて保険業務を支えるITインフラの整備に着手した。サイロ化を解消しコスト削減、運用負荷軽減を図るべく、VMware製品をフルスタックで活用した仮想基盤を導入。300台近い物理サーバーの更新を伴う構築パートナーにVMwareとの強固なパートナーシップ、総合力を評価し日立製作所(以降、日立)を選択。数十億円単位のコスト削減を見込む。

300台近い物理サーバーのリプレース
先進技術を駆使した仮想基盤に集約


富国生命保険相互会社
事務企画部 部長
小宮 秀泉 氏

富国生命は、相互扶助の精神に基づく相互会社だ。「ご契約者の利益擁護」を第一に、個人保険分野の増配は2021年度で10年連続となる。同社は長期経営ビジョン「お客さま満足度No.1の生保会社となる」を実現するべく、「事業変革を図るための基盤固め」と「多様化する社会課題を解決する取り組み」を中期経営計画の重点テーマとして取り組む。

次の100年に向け、経営基盤の強化において急務だったのがITインフラの整備だ。従来の課題について、富国生命保険 事務企画部 部長 小宮秀泉氏は振り返る。「保険設計書や給付金など保険業務関連システムは、個別最適によりサイロ化し、運用の複雑化、運用コストの増大を招いていました。2023年1月に300台近い物理サーバーが保守切れを迎えます。従来型の個別最適によるリプレースでは、とても対応できません。今を乗り切るだけでなく、この機会にコスト削減、運用管理負荷の軽減を図るべく、仮想基盤の導入を決断。全体最適の観点でシステムを集約する方針を立てました」。

同社は標準化と自動化の推進を目的に、VMware製品をフルスタックで活用し、サーバーはもとよりストレージ、ネットワークを仮想化する次世代仮想基盤の構築に挑んだ。

VMwareとの強固なパートナーシップ
運用を含む総合評価で日立を採用

2019年、同社は保険業務を支える仮想基盤の導入検討を開始。「VMwareのプロフェッショナルサービス本部(PSO)の支援のもと方向性を綿密に練り上げ、180項目に及ぶ評価項目を含むRFP(提案依頼書)を数社に提出しました」(小宮氏)。2019年12月、同社が導入ベンダーとして採用したのが日立だ。その理由について小宮氏は説明する。

「先進技術を駆使した仮想基盤の構築に向けて、RFPの評価において高得点であったことはもちろんのこととして、VMwareとの強固なパートナーシップを築く日立に信頼を寄せていました。運用負荷を軽減して要員余力を生み出すために、仮想基盤の運用をワンストップでアウトソースできることも重要でした。導入から構築、運用・保守まで、総合的な観点から日立を選択しました」

同社における次世代仮想基盤は、サーバー仮想化ソフトウェアVMware vSphere、ストレージ仮想化ソフトウェアVMware vSANの使用をベースに、ネットワーク仮想化ソフトウェアVMware NSX、ITサービス提供を自動化するVMware vRealize Automation(現 VMware Aria Automation)といったVMware製品をフルに活用。さらに、統合ハイブリッドクラウドサービスVMware Cloud on AWSにより、オンプレミスの仮想基盤とのシームレスな連携を実現した。「保険業務を担う次世代基盤と位置付け、オンプレミスとクラウドそれぞれの特長を生かすハイブリッドクラウド『フコククラウド』の実現をめざしました」(小宮氏)。

複数分野にわたる仮想技術を組み合わせ、生かし切るのは容易ではない。富国生命のICTを担うフコク情報システム ICTインフラサービス部 ICTインフラ第一グループ 課長 白坂優児氏はこう話す。「富国生命・当社と、VMware、日立の三者が一体となって取り組みました。プロジェクトを進める中で生じた課題を持ち帰った日立が、翌週には解決策を提示。それに対して三者で議論するといった繰り返しが、信頼関係を醸成していきました」。

VMware製品をフル活用した次世代仮想基盤により構築・運用はどう変わるのか。仮想マシンごとに可用性レベルを設定できると白坂氏は話す。「従来、重要度の高いシステムに可用性を合わせていたため、コスト増の傾向にありました。今はVMware vSANとVMware vSphereを使い、仮想マシン上で稼働するシステムの重要度別(最重要、重要、一般)にグループを分けています。最重要グループはFTT=2(RAID6)で二重障害にも耐えられるようにした一方で、ほかの2つのグループはFTT=1(RAID5)にしました。これにより、仮想基盤の余剰な物理リソースを削減できました。また、故障した物理サーバーから別の物理サーバーに仮想マシンを移動するVMware vSphere HAで冗長化し、これに物理ネットワーク機器の機能をソフトウェアで提供するVMware NSXを連動させ、スムーズな切り替えを実現しました」。

ユーザーへの環境提供では標準化、自動化が進む。「VMware vRealize Automation(現 VMware Aria Automation)とオープンソース構成管理ツールAnsibleにより、日立が提供する仮想マシン環境のテンプレートを用いて、ユーザーの要望に応じてカスタマイズされたサーバーを自動的に払い出します。システム設計の標準化により品質の均一化、ガバナンスの強化が図れます」(白坂氏)。

仮想基盤の運用では、運用管理プラットフォームVMware vRealize Operations(現 VMware Aria Operations)により仮想環境全体のリソースを監視。使用していないリソースを把握して適宜回収し、リソースを必要としている他のシステムに割り当てられるようにした。

また様々な監視対象から稼働情報を収集するJP1/Performance Management、運用業務の自動化を図るJP1/Automatic Job Management System 3など日立の運用管理ツールも利用。さらに、ハイブリッドクラウド環境の運用においてVMware vRealize Automation(現 VMware Aria Automation)、VMware vRealize Operations(現 VMware Aria Operations)などにより、オンプレミスとAWSを一元的に利用できるメリットも大きい。

数十億円単位のコスト削減見込む
環境提供期間も4カ月短縮


フコク情報システム株式会社
ICTインフラサービス部 ICTインフラ第一グループ
課長
白坂 優児 氏

「フコククラウド」は2021年1月に本稼働し、2023年の大規模移行に向けて、順調に作業が進む。移行完了時は仮想基盤上で43システム、300台近い仮想マシンが稼働。導入効果で期待されるのがコストの観点だ。ハードウェア導入費、構築・運用・ネットワークSE費、システム集約によるデータセンター費など、合わせて数十億円単位のコスト削減を見込む。またサーバー環境提供に関して、物理的な調達が不要となり、申請ベースとなったことで、4カ月の期間短縮も可能に。「コロナ禍でも迅速な環境の提供が可能になりました。さらにネットワーク仮想化により各種ネットワーク機器の設定も不要となり、スピーディーに利用できます」(白坂氏)。

先進技術を活用したフコククラウドのサポートについて、白坂氏は話す。「システム全体の安定稼働を支える日立サポート360に加え、VMware TAM(Technical Account Manager)を利用し継続的な技術支援を受けることで、万全の体制を整えました」。

今後の展望について小宮氏は話す。「仮想基盤へのさらなるシステム集約、VMware Cloud on AWSの利用促進は今後のテーマです。またメインフレーム等のレガシーからの脱却を考えるうえで、受け皿としてのフコククラウドを検討。その中における課題を整理しています。さらにBCP(事業継続計画)の観点から、災害対策としてのクラウド活用も重要な課題です。今回、担当者数人で先進的な仮想基盤を構築できたのは、日立のサポートが大きかったと思います。今後も、フコククラウドの安定と成長への支援をお願いします」。

「お客さま基点」を大切に、進化を続ける富国生命。これからも日立は、複数分野にわたる仮想化の効果を確かな技術力で底上げし“お客さまとともに歩む”同社を支えていく。


「フコククラウド」ソリューション概念図。
自社DC(データセンター)に日立の運用管理ツールを加え、統合基盤に移行

本社所在地
東京都千代田区内幸町2-2-2
創業
1923年11月
資本金
1280億円
社員数
12987名(2022年3月末現在)
事業内容
個人・企業向けの保険商品の販売と保全サービス、財務貸付・有価証券投資など
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