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2019年10月、東京国際フォーラムにおいて「Hitachi Social Innovation Forum 2019 TOKYO」が開催され、大勢のご来場者に、社会のさまざまな課題を解決する社会イノベーション事業の最新の事例や取り組みなどをご紹介しました。ここでは、会場にお越しになれなかった方のために、編集部が会場でキーパーソンにインタビューした、お客さまとの取り組み事例や経営課題解決につながるヒントなどをご紹介します。


企業間データ連携について日立製作所 社会システム事業部の蒲生弘郷さんに伺いました。

積水ハウス、KDDIと 「スマートキーを使った」賃貸内覧予約を共同検証

データを介して様々なサービス・産業がつながり、ひとつの分野だけでは達成できない規模の効率改善や高度化によって社会課題解決を実現するSociety5.0の到来に向け、日立を含む8社は企業間情報連携基盤を実現するために協創を進めており、異業種データを掛け合わせた新サービスの創出をめざしています。

2019年4月に開始した、積水ハウス、KDDI、日立の3社による不動産賃貸物件の内覧から入居までの申込みの利便性を向上する共同検証の詳細と、新たな参画会社を含めた企業間情報連携基盤の今後の展望について、蒲生さんに伺いました。

よろしくお願いします。
もともとは、賃貸物件の内覧〜入居までをスマート化しようというところから始まったプロジェクトです。
KDDIと積水ハウスとわれわれ日立が、情報連携基盤を提供して新サービスを創出しようという取り組みで、今回は、内覧スマート化部分の実現イメージを展示しています。

今まで賃貸物件の内覧をするためには、実際に不動産屋に行って鍵を借りたり、本人確認をしたり、対象物件に行くにも不動産屋の営業担当者についてきてもらうなど、とても手間と時間を取られていました。それを旅行予約と同じようにスマートフォン上でできれば、街中で見かけた良さそうな物件を気軽に見ることができると考えました。また、不動産屋側としても気軽に見てもらうことは成約率向上に寄与することであり、来店されずとも本人確認できる方法があれば、ご本人一人で物件を見ていただいてもよいと考えられます。

そこで本人確認の情報を得るためにKDDIの「au ID」を使っています。ご本人の同意のもとに、ブロックチェーンでセキュアに情報連携する基盤を確立することができました。

最初から積水ハウス、KDDIと一緒に取り組まれたのですか。
そうです。積水ハウスは不動産契約情報、KDDIは通信契約情報を持っており、情報を補完できることに加え、何より新しいサービスを生み出したいという強い思いを持っていたこともあり、当初は3社で取り組んできました。この賃貸契約のソリューションが、最初の検証事例として具体的な形として結実しました。

さらに、この検証を行っていく中で、いろいろなアイデアが生まれてきました。例えば部屋に入居する際には、損害保険会社さまとの契約や電気、ガスの開通作業など、どれも本人確認が必要になります。ですから、企業間での情報をセキュアにやりとりする基盤を確立すれば、いろいろな会社に参加してもらうことができ、利用価値がどんどん高まると考えています。

企業間情報連携基盤として商用化し、異業種も含めたサービスのエコシステムの実現へ

すでに他の企業にもお声をかけられたのですか。
損害保険ジャパン日本興亜、東京海上ホールディングス、三井住友海上火災保険といった損害保険会社に加え、大阪ガス、東邦ガスも、このプロジェクトにも賛同して、今後検証を一緒に進めていくことになっています。現在、日立を含めて8社が参画しており、これからさらに増えていく見込みですので、将来的には大きなビジネスになると思っています。

【ニュースリリース】賃貸契約を効率化する企業間情報連携基盤の商用化に向け協創を加速
アイデア次第でいくらでも広がっていきますね。
そうですね。今は賃貸とか不動産関連の会社とプロジェクトを組んでいますが、まったく違う業種のお客さまの間でも個人情報に限らず、情報をセキュアにやりとりをしたいという需要があると思います。情報連携基盤を活用したエコシステムに、今後さまざまな企業に参画していただきたいと考えています。

基盤技術にブロックチェーンを採用

このソリューションの基盤技術にブロックチェーンを使われようと思われたのはどうしてだったのでしょうか。
個人情報のやりとりは非常にセンシティブです。例えば改ざんされた情報や、信頼できない情報が飛んでしまうことは、企業にとって大きなリスクがあります。

ブロックチェーンの基本的な特徴としては改ざんができない手法だということです。情報連携の過程でブロックチェーンに書き込みを行っていくことで、改ざんできない、信頼性の高い情報を保持できることから、ブロックチェーン技術を採用しました。削除や訂正する必要のある個人情報の部分はオフチェーンで記録し、情報提供に対するやり取りの記録は改ざんできないようにブロックチェーンで保持し、関係者間で確認できるようにしています。

ブロックチェーンというと、少し前までは仮想通貨で話題になることが多かったのですが、今はもう、基盤技術のひとつとしてお使いになっているということですね。
ブロックチェーンという技術は、要素技術のひとつとしてかなり期待されています。今回の事例では、個人情報のセキュアなやりとりをする必要がありましたので、ブロックチェーンを要素技術として適用しました。少なくとも今やっている3社の間では、どこがブロックチェーンの強みであってどういうところに適用しにくいのかというところまでも含めて、検討できています。
ブロックチェーンの技術は今後も応用範囲が広がっていくのでしょうか。
そうですね、ブロックチェーンと何か他の技術との組み合わせという点で、このプロジェクトは、いろいろテーマを考えながら、特許も取りながら進めていく予定です。

スマートキーのデモンストレーション

スマートキーについて日立製作所 社会システム事業部の小池泰輔さんにデモンストレーションをしていただきました。

実際に賃貸物件の内覧の手続きはどのように行うのでしょうか。
不動産屋さんで紹介している物件情報から、内覧をしたい物件のチラシに載っているQRコードを自分のスマートフォンで撮影します。そうすると予約画面に遷移します。

KDDIユーザーなら、au IDとパスワードを入力すれば、「積水ハウスに情報提供しますか」という許諾画面が出てきて、それでよければOKをクリックします。これだけで完了です。
本当に簡単ですね。
今、何が起きているかというと、まずKDDI側のブロックチェーンに、私の契約情報が書き込まれ、同時にブロックチェーンの中で情報が同期されます。そして、積水ハウス側のブロックチェーンに契約情報が同期されます。

あとはこの情報で間違いなければOKして、希望時間を入力して予約完了です。なお、このデモでは、ブロックチェーンの活用性の検証を目的としており、契約情報はオフチェーンではなくブロックチェーンに書いています。
次は、実際に予約時間に賃貸物件に行くわけですね。
はい。予約した時間に物件に行きますと、部屋の鍵はスマートロックになっています。

その鍵に貼られたQRコードを撮影すると、これを開けるためのパスワードが表示されます。その番号を入力すると、このように自動で解錠されます。

自由に物件を下見して、終わったら部屋を出て、扉閉めて、鍵のボタンを押すと自動的に閉まります。これでお客さまの内覧は、無事に終わりました。
不動産の管理会社にも下見したという記録が伝えられるわけですね。
そうです。管理会社や積水ハウスさんは、予約した人が実際に物件を見に来たのかどうかを管理画面で確認できます。訪問者名と、何時何分から何時何分まで訪問したという情報が出てきます。

ありがとうございました。
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auは、KDDI株式会社の登録商標です。
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QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
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積水ハウス株式会社の会社名、ロゴは積水ハウス株式会社の商標または登録商標です。
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KDDI株式会社の会社名、ロゴはKDDI株式会社の商標または登録商標です。



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