DXを進化させ
ミッションクリティカルIoTを
実現する
共生進化アーキテクチャ
デジタルの進展による事業環境の変化に加え、気候変動やパンデミックなどにより、ますます社会の不確実性は高まっています。
これまで社会インフラシステムに求められてきたのは、安定稼働や効率化、利便性向上などでした。
情報制御システムもそれらの要件を満たすものとして進化してきました。
今後はこれらに加え、取り巻く不確実性への対応のため、いわゆるダイナミックケイパビリティを備える必要があります。
ダイナミックケイパビリティ※とは、
感知(センシング):脅威や危機を感知する能力
捕捉(シージング):機会を捉え、既存の資産・知識・技術を再構成して競争力を獲得する能力
変容(トランスフォーミング):競争力を持続的なものにするために、組織全体を刷新し、変容する能力
のことで、不確実性の高まる現代において、企業が生き抜くために保有すべき能力とされています。
社会インフラを取り巻く不確実性の例としては、電力分野では脱炭素に向けた電源構成の急激な変化、鉄道分野ではCovid-19による需要の大幅な変動、産業分野ではサプライチェーンの分断による納品リスクの増大、などが挙げられます。
日立は、安定稼働を保証しながら、変化に柔軟に対応できる社会インフラを実現するカギは、所謂CPS(Cyber Physical System)やデジタルツインの具現化となるミッションクリティカルIoTの実現にあると考えます。
従来の情報制御システムは、現場からのデータや基幹ITシステムからのデータを利活用し、業務の効率向上や最適化を行ってきましたが、現場機器を制御する制御システムは、こういったデータ分析の結果を直接反映することは困難でした。
今後、様々な変化を感知・捕捉し、これに柔軟に適応するシステムを構築するためには、現場・基幹ITからの様々なデータをシステム間で共有し、集まったビッグデータをAIなどで分析し、ここで得られた最適解を制御システムにリアルタイムにフィードバックするミッションクリティカルIoTが求められます。
それには、サイバーセキュリティのみではなく、クラウドなどの処理や処理用のAIモデルなどの実効性、信憑性に加え、クラウド処理の入力データ生成から、処理結果のデータが現場に到達するまでに経由する処理や通信路の実効性や信憑性の確認と確保が重要です。
例えば、通信データ個々のコンテキストの情報をオンラインで付記・追記ができるようにし、それらを利用側の処理に伝えるようにしたり、ノード間での処理が正常であるか、経由時間、追加処理の内容、処理に使われたAIモデルの情報など、必要な情報を利用側のノードに伝えることが求められます。
ミッションクリティカルIoTを実現する情報制御システムとは、どのようなものなのでしょうか。
刻々と変化する外部環境や現場状況に対応するシステムの姿を動画でご紹介します。
日立は、ミッションクリティカルIoTを実現するための情報制御システムコンセプトを、新たなアーキテクチャとしてまとめました。
これまで、社会インフラを支えるプラットフォームは、下から制御、基幹IT、クラウドと各レイヤーごとに要件が異なり、個々にアーキテクチャの定義がなされ、開発されてきました。
今後、ミッションクリティカルIoTの実現に向け、信頼、オープン&シームレス、進化を実装していくためには、それぞれのレイヤーのプラットフォームを縦につなぐことが極めて重要になってきます。
例えば、ゼロトラストの環境下においても、レイヤー間のデータ信憑性を担保するためのエッジ〜クラウド間セキュリティ、さまざまな現場のデータをクラウド側で理解し、活用するための仮想データフィールド、オンラインでの機能変更を実現するクラウド〜エッジ連携の制御オーケストレーションなどです。
さらに、主体や目的の異なるシステムを連携・離脱させ、環境の変化に合わせ柔軟にシステムを進化させる横のつながりも重要になります。
このように、エッジからクラウドまでシステム全体で連携することで、社会インフラシステムにおける感知・捕捉・変容を実現することができます。
ミッションクリティカルIoTを実現する共生進化アーキテクチャによるシステム構築を行うために、日立が特に重要と考える技術は以下になります。
制御システムからビッグデータ、AIを実現するクラウド環境にわたるシステム全体の堅ろう性、および、この上で処理されるデータの信憑性やリアルタイム性の保証を行うものです。技術要素としては以下の3点が重要です。
現場とクラウドをネットワークや5Gで繋ぎ、さらに異なるシステム間を連携させるために、異なる階層やシステム間のデータ理解、データ流通、データ活用を行います。
自ら適応するシステムを作るためには、制御システムを構成するエッジの高機能化や、ビッグデータ解析やAIの結果に応じて、制御システムの機能をオンラインで変更できることが求められ、これを可能とするシステム構成要素の柔軟性を実現します。