テープデバイスを接続しているシステムでIT Report Utility(システム情報採取ツール:以降ITRU)のsystoruコマンドを実行すると、その延長でscsimgr(1M)コマンドが動作し、テープデバイスに対してオープンとクローズが実行されます。このクローズ時にテープが巻き戻されるため、テープへのアクセス失敗や上書きによるデータ喪失などが発生するおそれがあります。
一方のサーバでテープを使用した業務中に、他方のサーバからITRUのsystoruコマンドの実行により巻き戻されると、業務中のテープデバイスに対するアクセスが失敗します。
このデバイススペシャルファイルを使用する運用は、次回のアクセス時のテープの位置は最後にアクセスした位置から変化しないことを期待していると想定されます。
ITRUのsystoruコマンドの実行によって巻き戻されるとテープ位置が先頭となり、期待した運用ができなくなるおそれがあります。
特に、テープ中のデータの終端に追加する形で書き込みをしていく運用の場合には、巻き戻しによりテープの開始位置が先頭になると、すでに書いたデータを上書きすることでデータが失われることになります。
AAA
次の条件のすべてに該当する場合に、本現象が発生することがあります。
テープデバイスの使用状況を確認し、発生条件に該当しないことが確認できた上で、ITRUのsystoruコマンドを実行してください。
scsimgr(1M)コマンドでnorewind_close_disabledパラメータを確認することができます。
次の実行例に従い、確認してください。
このscsimgr(1M)コマンドのオプションでは、テープが巻き戻されることはありません。
(実行例)
# /usr/sbin/scsimgr get_attr -d estape : name = norewind_close_disabled current = 0 default = 0 saved = :
current = の表示(現在の設定値)を確認します。
上記例では現在の設定値(current)は0であり、発生条件の4に該当します。
本ツールでは次の基準にしたがって重要度を記載します。
【重要度の定義】
該当する問題が発生した場合の業務へ与える影響度の目安を示します。
次に示した基準にしたがって5段階に分類しています。
AAA | 業務システムの運用が停止し、発生頻度が高い。 |
---|---|
AA | 業務システムの運用が停止するおそれがある。 |
A | 業務システムの運用が停止するおそれはほとんどない。 |
B | 業務システムの運用に与える影響が少ない。 |
C | 業務システムの運用に与える影響はほとんどない。 |