社会
考え方・方針
日立は、仕事とプライベートの調和を図る「ワーク・ライフ・バランス」を進化させ、従業員一人一人が主体的に仕事とプライベートのクオリティをともに高めていく「ワーク・ライフ・マネジメント」を推進しています。働き方改革や仕事とプライベートの両立を支援する制度を導入し、一人一人のプロフェッショナルとしての生き方や人間としての魅力を高め、個人と組織の持続的な成長につなげます。
活動・実績
日立は、多様な人財がいきいきと働き成果を発揮できるよう、働き方改革を推進しています。日立製作所では、場所や時間に捉われない働き方であるタイム&ロケーションフリーワーク推進の観点から、全従業員の約95%を対象に「在宅勤務・サテライトオフィス勤務制度」を導入しています。本制度は、一定時間の出社義務や実施回数の制限なく利用でき、自宅やサテライトオフィスのほかに、育児・介護・看護などのために必要な場所や親族の居住地での勤務が可能です。また、管理職や裁量労働勤務適用者を対象に会社が認める場合はどこでも勤務できる「スポットリモートワーク」を導入しています。その他、フレックスタイム制勤務や裁量労働勤務の1日の最低勤務時間撤廃により所定就業日を「非就業日」とすることも可能となっているほか、2023年4月からは多様な休暇ニーズへの対応を踏まえた「ライフサポート休暇」(多目的・100%有給の休暇制度)を導入し、休息・休暇の選択肢を拡充しています。
さらに、自律的で柔軟な働き方の実現に向けて、日本経済団体連合会や電気・電子・情報通信産業経営者連盟を通じて政策提言に取り組むとともに、厚生労働省労働政策審議会労働条件分科会など政府の会議体において経済団体を代表する立場から意見表明を行っています。
日立製作所の働き方改革の取り組み
項目 | 主な内容 |
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トップコミットメント |
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業務そのもの・プロセス見直し |
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職場マネジメント強化 |
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タイム&ロケーションフリーワーク推進 |
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全社運動浸透策 |
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活動・実績
日立は、仕事と育児の両立支援や働きやすい職場環境の整備を進めています。例えば、日立製作所では、育児・仕事両立支援金制度や子どもの保育所への入所を支援するサービスなどの整備、管理職の理解促進を目的としたeラーニングなどを実施しています。また、男性の育児休暇などについて、対象者全員の取得、取得日数の向上をめざし、セミナーの開催やワークフローシステムでの「育休取得宣言」を促すなど、取り組みを強化しています。
また日本では、少子高齢化の進展に伴い、介護の問題に直面する従業員が増加していることから、「仕事と介護の両立実現」と「介護離職の防止」を目的として支援制度の拡充を推進しています。
日立製作所および国内グループ会社は、定期的に介護に関する社内の意識・実態調査を行い、その結果を踏まえて仕事と介護の両立支援施策の強化を図っています。具体的には、必要な支援を(1)情報提供、(2)経済的支援、(3)働き方改革、(4)マネジメント改革の4つの観点で整理・検討し、具体的な支援策(研修・講演会、個別相談窓口の設置、必要費用の補助、勤務・休暇制度の柔軟化など)をトータルパッケージとして一体的に提供・推進しています。先行して取り組みを開始した日立製作所においては、国や会社の支援制度に関する従業員の認知度が8割を超え、介護による離職や長期休職の回避・抑制につながっています。
団塊の世代の後期高齢者化に伴ういわゆる2025年問題への対応として、2022年度にすべての国内グループ会社において「仕事・介護両立支援策推進計画」を策定し、2025年に向けて取り組みを推進しています。
仕事と育児・介護の両立支援制度(日立製作所の例)
近年の取り組み(日立製作所の例)
項目 | 主な内容 |
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プレパパ・プレママセミナー |
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育児休業に関する個別周知・取得意向確認に関するワークフローシステム、育休取得宣言 |
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育児と女性の健康コンシェルジュ |
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介護と仕事の両立に関する従業員意識実態調査 |
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介護コンシェルジュ(個別相談窓口)導入拡大 |
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管理職層に特化したセミナー・講演会などの実施 |
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活動・実績
日立製作所および国内グループ会社は、グループ標準の各種ライフサポート制度・施策(カフェテリアプラン、住宅支援制度、育児・介護両立支援制度、退職給付制度、見舞金制度、従業員持株制度、日立グループ専用団体保険、財形貯蓄、従業員向け日立製品割引販売制度、健康保険組合など)を推進しており、各社の事業環境、多様化するライフスタイルや個人のニーズに応じて必要なサポートを行っています。また、社員以外にも雇用形態を踏まえた制度を導入しています。
日立は、確定給付型年金制度、確定拠出型年金制度、退職一時金制度の全部または一部を各社で適用し、高齢期のライフスタイルの多様化や雇用形態の変化に対応しつつ、退職後の生活の安心・安定につなげています。なお、日立製作所では、すべての社員に確定給付型年金制度、確定拠出型年金制度、退職一時金制度を導入しています。また、社員以外にも雇用形態を踏まえた制度を導入しています。
日立製作所および一部の国内グループ会社は、従業員の資産形成の支援や経営参画意識の向上を図るため、従業員持株制度を導入しています。従業員持株制度では、日立製作所の株式取得にあたり、資産形成に関する教育を行うほか、従業員は日立製作所の業績に応じた奨励金の支給を得られるようになっており、会社の成長が従業員の資産形成につながる仕組みとしています。
なお、日立製作所の従業員持株制度を通じた保有株式は、大株主順位第9位(持株比率1.90%)となっています(2024年3月末時点)。
活動・実績
日立は、長時間労働・過重労働に関する各国・地域の法令を遵守しています。
日立製作所は、従業員の健康維持、生産性向上の観点から、年度ごとに日本国内での働き方改革の全社KPIを設定し(2023年度は「年次有給休暇完全取得」「残業時間の単月80時間超過者ゼロ化」などのKPIを設定)、職場マネジメントの強化や業務プロセスの見直しに取り組んでいます。労働時間・年次有給休暇取得に関する法令遵守の徹底を目的としたeラーニングの実施、長時間労働につながる可能性があるプロジェクトの個別管理を行っています。長時間労働・過重労働防止のための労働時間管理については、PCのON/OFF時刻に基づき、稼働時間の実態を確認する仕組みの導入や、労務管理に関する情報の提供・アラート発信により、上司が部下の労働状況をタイムリーに把握し適切なマネジメントができるよう支援しています。これらのITツールを活用した長時間労働・過重労働防止の取り組みは国内グループ会社にも展開しています。
また日立製作所は、従業員一人一人が働き方を振り返り自律的に生産性を高められるよう、全従業員を対象に各人の毎月の総実労働時間の実績値と行動変容を促進するメッセージを発信しています。前年度の総実労働時間が2,000時間以上の対象者には、毎月の目標値と具体的なアクションを個別に発信するなど、効率よく働き(より短い時間で成果を出す)、働いたら休む(チャージと次への準備を行い、高いパフォーマンスを維持する)文化への変革を進めています。
こうした取り組みの結果、日立製作所における2023年度の一人当たりの年間総実労働時間は前年度比で23時間減少しました。
なお、時間外労働、深夜労働、休日労働に対しては、法定を上回る割増賃金を支給するとともに(法定の割増率:時間外25%、深夜25%、休日35%に対し、日立製作所では時間外30%、深夜30%、休日45%の割増賃金を支給)、休日に所定労働時間労働した場合には代休を付与しています(代休を取得した場合でも割増部分の賃金は支給)。
活動・実績
日立は、従業員一人一人が能力を発揮できる働き方の実現を支援しています。グローバルの各地域でも統括会社を中心に施策を展開しています。
日立アメリカは、互いを思いやって働ける職場環境づくりに加え、従業員のウェルビーイングを向上するさまざまな制度や施策の整備に取り組んでいます。週に2度の出社を必須とし、後はリモートで仕事ができるハイブリッドな勤務制度を導入しており、柔軟な働き方を推進しています。また、月に一度「No
Meeting Day」を設定し、従業員が個々の仕事に集中できるよう取り組んでいます。
さらに、従業員の精神的、肉体的、そして経済的なウェルビーイングをサポートするウェビナーを毎月開催しているほか、従業員同士が交流できる場をより多く提供しています。DEI関連イベントや、公園での屋外交流会、新年会など、1年を通してより多く対面のイベントを開催し、従業員間のコラボレーションと交流を促進しています。また、オフィスも従業員のコラボレーションを促進するデザインとしています。
日立ヨーロッパでは、従業員のウェルビーイングを促進・向上するために、さまざまな制度や施策の拡充に取り組んでいます。柔軟な働き方を望む声がある一方、働く仲間とのつながりをつくり、協業を奨励して交流の機会を増やすことも重要であり、この両立のためにオフィスでも自宅でも柔軟に業務が可能なハイブリッド勤務制度を導入しています。これらのほか、日立ヨーロッパは、従業員の精神的、肉体的、経済的ウェルビーイングの支援を目的としたウェビナーを開催し、仕事とプライベートの両立を支援しています。
日立アジアをアジアで最高の職場とすることをめざし、すべての従業員に公平に機会を提供し、コンピテンシーに基づいた評価・報酬制度を導入しています。また、すべての従業員を平等に扱い、尊重し、能力を最大限に引き出すよう努めています。
職場環境の改善に向けたコミットメントと併せて、包括的な職場変革プロジェクトも立ち上げました。創造性を刺激し、協業を促し、安心感をもたらすダイナミックな場所へと職場を変革することを目的とした施策であり、イノベーションを促すとともに生産性を高める雰囲気をつくることで、年齢やジェンダー、国籍を問わない、インクルージョンと効率性の手本となる職場をめざしています。さらに、ワーク・ライフ・バランスを考慮し、柔軟な働き方をサポートする制度を導入しています。
生産性の向上と多様な働き方を支援するため、働き方改革を推進し、フレックスタイム制度や在宅勤務制度を導入しています。平均残業時間は法定基準上限を大幅に下回っており、年休の取得を促進するなど、ワーク・ライフ・バランスに取り組んでいます。また、幹部タウンホールミーティングや部門間業務交流会などを開催し、職場の縦横のコミュニケーションを継続的に強化しています。こうした活動を通じて構築されたネットワークは、会社の一体感の向上、働きやすい環境づくり、業務の円滑化にもつながっています。
日立インドは、従業員のコラボレーション、協調、継続的学習を促進する職場環境の醸成に努めており、従業員全員の成長につなげています。特に、従業員のウェルビーイングをさまざまな側面からサポートするための制度を多数、包括的に導入しています。具体的には、柔軟な働き方が可能となるリモートワークの導入、託児所手当などの産前・産後支援や、団体医療保険の提供などを行っています。また、社外パートナーによる24時間体制でのウェルネス支援を拡充し、育児・介護休暇を含めた休暇の付与も行っています。
従業員の健康とウェルネスに向けた取り組みをさらに強化するべく、ヘルスキャンプというイベントを定期的に開催しているほか、年次健康診断手当も支給しています。また、医療機関との連携のもと、肉体的、精神的、経済的、心理的ウェルビーイングなどに関連したウェビナーを開催し、豊富な知見を従業員に提供しています。
いきいきとしたインクルーシブな職場文化の醸成に向けて、従業員同士の交流の場を用意するとともに、企業文化関連イベント、ファミリーデイ(家族の職場への招待)、スポーツ行事を開催し、従業員同士の交流とつながりの強化を図っています。このような多面的施策を通じて、従業員を支援し、従業員に成長とウェルビーイングをもたらす職場環境を醸成していることが評価され、2024年にはGreat
Place To Workから「働きがいのある会社」に5年連続で認定されました。