ページの本文へ

Hitachi

仮想ワークスペース・VDI

将来的な環境変化も見据えた デスクトップ仮想化への挑戦

BCP(*1)強化や運用管理コスト削減などを目的にデスクトップ仮想化への動きが本格化しています。
製油業界の代表的メーカーである株式会社J-オイルミルズ(以下、J-オイルミルズ)は、グループ企業 約1,400ユーザーのクライアント環境更改にあたり、日立の「デスクトップ仮想化ソリューション」を導入。 モビリティの向上や将来のクラウド化も見据えた柔軟なIT環境の構築を実現しました。


*1 Business Continuity Plan

デスクトップ仮想化のさまざまな可能性に注目

鳴釜 良夫氏の写真
株式会社J-オイルミルズ
シニア・エグゼクティブ・
マネージャー
情報システム部長
鳴釜 良夫氏

J-オイルミルズは、長い歴史を持つホーネンコーポレーション、味の素製油、吉原製油が2004年に合併し、誕生した製油メーカーです。「AJINOMOTO さらさら®キャノーラ油」をはじめとした家庭用油脂や、レストランなどの厨房を支える業務用油脂をはじめ、加工油脂、油糧、スターチ、健康食品など多岐にわたる事業を展開しています。

同社は2011年、間近に迫っていたWindows® XPのサポート終了を契機に、グループ企業 約1,400ユーザーのクライアント環境の更改プロジェクトに着手。その検討段階で重要なキーワードとして浮上してきたのが「デスクトップ仮想化」だったと、シニア・エグゼクティブ・マネージャーで情報システム部長の鳴釜 良夫氏は振り返ります。

「クライアントの更改は4〜5年に一度のタイミングでやってきます。言い替えれば、このチャンスを逃すと、仮想化やクラウドといった新しいIT環境へのチャレンジはできにくくなる。そこで、かねてから災害対応やセキュリティ強化、モビリティの高いデバイス活用につながる施策として注目していたデスクトップ仮想化に挑戦してみようと考えました。とはいえ、最初から全ユーザーにシンクライアントを導入するのは現実的ではありません。まずは一定数のユーザー向けに実システムを構築し、業務や運用面での課題、新たなニーズの吸い上げを行いながら、本格導入していく流れを作ることにしました」と鳴釜氏は語ります。

プロビジョニング方式を採用した仮想PC環境を採用

複数ベンダーの提案の中から、同社がSIパートナーに選んだのは日立でした。

「導入前の検証フェーズで日立さんのシステムを試してみましたが、レスポンス、操作性、業務アプリケーションの動作、すべてにおいて既存PCと遜色のない性能を示していました。専用のシンクライアントやサーバ、VDI(*2)アプリケーション、さらには基盤を運用する高信頼のデータセンターから保守サービスまで、ワンストップで提供していただける安心感、これまでの大規模システムの構築実績も大きなポイントとなりました」と、鳴釜氏は選定理由を語ります。

日立が提案したのは、VDIでは業界標準ともいえるCitrix® XenDesktop とProvisioning Services(PVS)を採用したプロビジョニング方式の仮想PCシステムでした。シンクライアントには日立の「FLORA Seシリーズ」、サーバには拡張性の高い統合サービスプラットフォーム「BladeSymphony」と、仮想化機能Hyper-V® を適用。同システムでは一つのOSイメージをvDiskと呼ばれるファイルに格納し、ユーザー環境をマスター化できるため、ストレージ容量の削減につながります。ユーザーのデスクトップ環境と実データをすべてサーバ側に集約した運用管理の一元化により、運用工数とストレージ容量を大幅に低減しながら、場所を選ばないセキュアなアクセスを実現することができます。

*2
Virtual Desktop Infrastructure

これまでと違和感のない使い心地と利便性の向上

宮前 重幸氏
株式会社J-オイルミルズ
情報システム部
次長
宮前 重幸氏

「本番導入では、まず万一の災害時に初動対策の指揮をとり、重要な意思決定を行う、当社のBCP対策本部のメンバーを対象にシンクライアントを配備しました。メンバーとしては、社長をはじめ、部門長、拠点長など、上層部の役職が多いのですが、いざというとき場所や時間を問わずネットワーク経由で通常業務を遂行できるかどうかを試すには、最も適切だと判断したからです」と語るのは、情報システム部 次長の宮前 重幸氏です。

渡辺 恵一氏の写真
株式会社J-オイルミルズ
情報システム部
課長代理
渡辺 恵一氏

オフィス内でのVDI活用は、これまでのPCとまったく違和感のない使い心地とレスポンスのため、「デスクトップが仮想化されていることに気づかず、“今までと何が変わったの?”と質問されたほどです」と笑うのは、情報システム部 課長代理の渡辺 恵一氏です。
「さらに出張で地方の支店に行った際、そこにあるシンクライアントを借りて自分のデスクトップが現れた時は、“なるほど、これは便利だ”と感嘆されました」と渡辺氏は続けます。

場所や端末に依存せず、どこからでもセキュアに自分のデスクトップ環境が利用できること、移動中でもWiMAXやLTE(*3)などを経由して社内環境をフル活用できることが証明され、「BCPとセキュリティ強化の目的は達成されました」と鳴釜氏は高く評価します。

「これまで外出先でのPC活用は、特定のアプリケーションやデータ閲覧などに制限を設けていました。しかしVDIならデータそのものが端末側に存在しないため、そのような心配がありません。運用過程では、いくつかトラブルも発生しましたが、日立さんの迅速なサポートのおかげで、現在は高いレベルで安定稼働しています」と宮前氏は喜びます。

*3
Long Term Evolution:携帯電話の高速通信規格

マルチデバイス活用に向け、さらなる進化を追求

「これからシンクライアントを段階的に増やし、VDIの活用が定着していくと、しだいにシンクライアントだけでなくタブレットやスマートフォンといったマルチデバイスで使いたいという要求が出てきます。実際に最近も役員から“タブレットで使いたい”という要望を受けて対応したばかりです。XenDesktop®はそういった要求に柔軟に応えられる特徴を持っていますので、これからは社員が個人で所有する多様なデバイスでも業務が行えるBYOD(*4)にも対応できるよう、さらなる利便性や機動性の向上を日立さんと一緒に実現していきたいですね」と鳴釜氏は語ります。

「さらにその先には、業務アプリケーションのWeb化とあわせたDaaS(*5)の活用や、本格的なクラウド化もJ-オイルミルズのロードマップでは構想しています。BCPやセキュリティの強化、TCO(*6)の削減といった経営的観点からのメリットだけでなく、多様な働き方を実現するワークライフバランスやオフィス改革も追求することで、社員の生産性や満足度はさらに向上していくでしょう」と鳴釜氏は強調します。

付加価値の高いビジネス環境の構築に向けたJ-オイルミルズの挑戦を、これからも日立は高信頼なデスクトップ仮想化ソリューションによって力強く支援していきます。

*4
Bring your own device:個人保有のデバイスを業務に使用する仕組み
*5
Desktop as a Service
*6
Total Cost of Ownership

J-オイルミルズに導入したシステムの概要
J-オイルミルズに導入したシステムの概要

USER PROFILE

株式会社J-オイルミルズ

株式会社J-オイルミルズ

[本店] 東京都中央区明石町8-1 聖路加タワー
[設立] 2003年4月
[資本金] 100億円(2012年3月31日現在)
[事業内容]
油脂・油粕・澱粉の製造、加工、販売、各種食品の製造、加工、販売、食品製造機器の販売など

特記事項

  • この記事は、はいたっく(2013年11月)に掲載されたものです。
  • 記載されている会社名、製品名は、それぞれの会社の商標または登録商標です。
Adobe Readerのダウンロード
PDF形式のファイルをご覧になるには、Adobe Systems Incorporated (アドビシステムズ社)のAdobe® Reader®が必要です。