大学ではマーケティングを学び、その実践の場としてデータ分析のビジネスコンテストにチャレンジしました。ビジネスコンテストでは、主催者から提供されるPOSデータをもとに消費者の購入傾向を予測していました。マーケティングのさまざまな理論を実践するだけでなく、最も重要な課題に向かうマインドを培った貴重な経験でした。この経験をきっかけに、データを利活用し新たな価値を創造することに興味を持つようになりました。特にSEであれば「自分のアイデアを形にして提供する仕事」ができると考えました。
当時はスマートフォンが普及し始めた頃でした。通信環境の変化により、利用者のライフスタイルも変わると確信していました。そこで、通信分野のデータ利活用により、世の中をよくしていく仕事に関わりたいと思い、現在の社会システム事業部を希望しました。
希望通り通信分野の部署に配属され、最初に大規模システムの開発プロジェクトに参画しました。これは10年に1度のような大規模システム開発であり、さまざまな課題を解決していく中で開発のイロハを学ぶことができました。特に苦労した点として、このシステムは接続する外部システムがとても多くインターフェースの調整が大変でしたが、課題を一つ一つクリアして無事につながった時の感動は忘れられません。
その後、新規事業のプロジェクトに参画し、AIや位置情報のデータを利活用する新しいシステムを開発しました。こちらは半年から1年間程度の短いサイクルで提案から要件定義、基本設計、開発、テストを進めていました。これらのプロジェクトには立ち上げ当初からリーダーとして参画しプロジェクト全体を俯瞰するスキルを身に付けることができました。
また、通信事業のプロフェッショナルであるお客さまと、システム開発のプロフェッショナルである日立が組み、互いの強みを掛け合わせることで、これまでになかった価値を作り上げました。データ利活用は直感的に理解が難しい内容もありますが、お客さまとのコミュニケーションを通じて、お客さまが求めておられるものを理解し、かつご提供する技術をわかりやすく言語化することで、お客さまのご要望と技術を繋げるスキルを身に付けたことがその後の業務にも役立っています。
位置情報のシステムは、当初は商業利用を目的に開発してきましたが、新型コロナウィルスの感染防止対策にも使われることになりました。データは生鮮食品のように鮮度が重要で、世の中が求めるスピードに合わせてデータを利活用しないといけない。そのため、社会の1歩先をお客さまと考えていかないといけません。そのためには、「お客さまが何を考え、何を求めているか」に加え「社会が何を求めているか」を、自分が所属する組織やお客さまの立場を超えたフラットな視点で突き詰めることが重要です。
こうした場面で、学生時代に培った「課題に挑戦するマインド」が役立っていると感じます。また、世の中が求めていることを読み取り真の目的を追求するために、マーケットインの視点で、常に世の中の動きを追うことが必要と考えます。
データ利活用による新しい価値を生み出してきたSEの立場から、業務をシステム化するSystems of Record (SoR)や、顧客視点を取り入れたITシステム設計やビジネス創出を行うSystem of Engagement (SoE)に限らず、SoRやSoEを組み合わせ、蓄積された情報を分析し、社会のニーズを洞察するSystem of Insight(SoI)で通信分野だけではなく、他の業界も含めて生活を快適にすることに関わりたいです。
現在は社会システム事業部だけではなく、他ビジネスユニットとも連携しながら不動産ディベロッパー様向けのプロジェクトを推進しております。
このプロジェクトではビルの利用者が快適な時間を過ごせるよう、お客さまとの協創を進めています。担当する業界が変わったことで、お客さまが価値を見出されるポイントや企業文化の違いを感じることがありますが、これまでと変わらず、お客さまが求められるものを理解し、真の目的を追求することが大切だと考えております。真の目的を達成するために、幅広い分野での知見や技術を持つ日立が提供できる価値を伝え、協創パートナーとして挑戦を続けたいです。
仕事以外では、最近は英会話の勉強にはまっています。楽しくコミュニケーションを取るポリシーで勉強を継続しており、将来的には海外の方と自由にコミュニケーションを取れるようになることで、自分の成長につなげたいと考えています。
私は、仕事では大義を感じられることが重要だと思っています。
大義があるから情熱を持て、情熱があるからお客さまが納得できる仕事を完遂することができ、お客さまと共に社会をよりよくすることができると考えます。例えば、機器の交換という一見するとエンドユーザーとの繋がりを感じにくい作業であっても、その真の目的を考えることで、新たな社会価値を生み出す活動につながる可能性があります。
日立の仕事は大義を感じられる、社会に役立つ仕事が多いと思っています。さまざまな分野のお客さまと日々価値を創出しているため、日立には多様なノウハウが集まっています。それらを掛け合わせ、日立が一丸となることで、大きな未来を描くことができると考えます。
(社員の所属は取材当時のものです)