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東京海上日動ベターライフサービス株式会社殿

多拠点訪問介護事業における全社システム構築のご紹介

背景

これまで訪問介護事業に取り組んできた東京海上日動ベターライフサービス殿は、このたびサービス拠点を大幅に拡大して、本格的に訪問介護事業を展開することになりました。この事業拡大にあわせ、訪問介護業務をはじめ、業務の効率化を目指して全社システムを構築し、2004年8月より順次本番稼動させました。

概要

本システムは、大部分にパッケージを活用したシステムで、本部や各拠点のPCからの要求を、日立iDC(*1)で管理・運用しているサーバが受け付け処理します。その機能は、企業として必要な財務・人事・給与などの機能と、訪問介護業務を支援する機能に大別されます。特に、訪問介護業務を支援するシステムには、日立プラントシステムエンジニアリング(株)の以下のパッケージを採用しました。

 1. スターフレンド

要介護者の状態を、社会環境面・身体機能面・精神心理面などの視点から評価し、生活課題にもとづいたケアプランの作成を支援します。

 2. サービスフレンド

利用者へのサービス予定・実績情報を管理し、利用者ごとの介護報酬請求書を作成します。

 3. マザーフレンド

各拠点で提供したサービスの請求情報を本部システムに集約し、国民健康保険団体連合会や各利用者への請求処理を実施します。

[イメージ]システム概要図
【図】システム概要図

特徴と効果

本システムの特徴と効果は、次の通りです。

 1. サーバ処理による情報漏洩の防止と高い柔軟性

アプリケーションサーバソフトウェア「MetaFrame XP Presentation Server」を採用し、すべてのアプリケーションをサーバ側で管理・処理しています。各クライアントには画面描画情報のみを送信してデータを保持させず、ネットワークにもデータを流さないため、外部への情報漏洩を防止できます。また、制度改定やシステム変更時にもサーバ側の改変だけで対応できるため、すばやく対応でき、運用・保守コストも大幅に削減できます。

 2. パッケージ活用によるコスト削減

訪問介護業務支援のために採用したパッケージは、これまでに1,000法人をこえるユーザに導入いただきました。パッケージの活用は、システム導入コストを低く抑えるだけでなく、頻繁に実施される制度改正により発生する保守コストも大幅に削減できます。

 3. 複数台サーバの負荷分散による高い信頼性

本システムでは、アプリケーションサーバとして現在6台のブレードサーバが稼動しており、それぞれのサーバにかかる負荷がなるべく均等になるように処理を分散して割り当てています。また、サーバ障害発生時には自動的に他のサーバに切り替えます。これにより、システム障害リスクを軽減するとともにシステム障害による業務への影響を最小限に抑えることができます。

企画者・開発者へのインタビュー

[写真]中村 壽夫 氏
東京海上日動ベターライフサービス(株)
業務企画部
中村 壽夫 氏

[写真]澁谷 尚樹 氏
東京海上日動ベターライフサービス(株)
在宅事業開発部
澁谷 尚樹 氏

日本における高齢化は、確実に進行しており、大きな社会問題となっています。特に、居宅における要支援・要介護高齢者数は2000年度の約200万人から2004年度には約225万人に増加するといわれており、在宅介護サービスに対する需要が急速に高まっています。

このような状況の中、グループ会社の中で高齢福祉サービスの提供という役割を担っている当社は、2003年12月、拠点を大幅に拡大して本格的に介護事業に取り組むことにいたしました。具体的には、今後2005年度末までに、一都三県に100拠点を展開し、サービスを提供する予定です。拠点の拡大には、高品質なサービスを提供するための人材確保や、ヘルパーの研修カリキュラムの開発・実施はもちろん、効率を高めるためにシステムを導入することも必要不可欠でした。そこで、人事・給与・財務などの企業として必要なシステムと、介護事業者として必要なケアプラン作成や予実績管理、請求処理などを実現できるシステムを同時に構築することになりました。

システム構築にあたっては、パッケージを極力活用することにしました。そのため、実際の業務とパッケージの機能をそれぞれ詳細に分析し、できるだけ業務をパッケージにあわせるようにしました。ただし、提供サービスの品質に関わる部分など、業務の根幹をなす部分については、パッケージの機能にあわせるのではなく、独自に開発することにしました。

また当社は、介護事業者として、要介護者のセンシティブ情報を取り扱うため、情報漏洩の防止に特に配慮しました。具体的には、MetaFrameを採用し、アプリケーションやデータをすべてサーバ側で処理してクライアントPCには情報を残さないようにしました。このMetaFrameの採用を決定した当初は、レスポンスが遅いのではないかと懸念しておりましたが、実際に稼動してみると想像以上にレスポンスが速く、非常に使いやすいと実感しています。また介護事業は、制度改定の影響を多分に受けるため、サーバのアプリケーションを修正するだけで、制度対応にも迅速に対応できるのも大きなメリットです。

システム運用については、社内に専門家がおらず、また本業である介護事業に経営資源を集中させるため、当初よりアウトソーシングすることに決めておりました。今回、日立iDCに運用をお願いしましたが、今後の拠点拡大時におけるサーバ負荷の増大にも迅速に対応いただけると期待しています。

今後も、社名が示す通り、“高齢者とその家族がよりよい生活を送れるように”提供サービスの質をさらに高め、利用者の方々のニーズにお応えしていきます。またITサービスだけでなく、介護福祉事業にも取り組んでいる日立様にもご支援いただきながら、社会的使命を全うするよう鋭意取り組んでまいります。

  • * 本稿は、東京海上日動ベターライフサービス 業務企画部 中村部長、在宅事業開発部 澁谷次長のインタビューを編集部でまとめたものです。

[お客さまプロフィール] 東京海上日動ベターライフサービス株式会社

(2005年3月末現在)

東京海上日動ベターライフサービス株式会社
会社名東京海上日動ベターライフサービス株式会社
本社東京都渋谷区初台1-34-14 初台TNビル2階
代表者井上 義夫
設立1996年6月
資本金4億9,900万円
従業員数約150名
拠点数31拠点(今後も順次拡大予定)
沿革1996年 6月  東京海上ベターライフサービス株式会社設立
1999年 9月  東京都の居宅介護支援事業者の指定取得
2000年 4月  東京都の訪問介護事業者の指定取得
2001年12月  ミレアベターライフサービス株式会社に社名変更
2004年 4月  東京海上日動ベターライフサービス株式会社に社名変更
事業内容東京海上日動のグループ会社として、高齢者福祉関連サービス(在宅介護サービスと介護・生活関連情報サービス)を提供
*1
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