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コラム・インタビュー

Fit to Standardアプローチを基本とし、理想の業務フローを短期間で構築

工場DXやSAP S/4HANAの導入を検討している製造業にこのテンプレートを適用することで、ECMとSCMの連携を実現するシステムの検討や要件定義などを円滑に実施できる。「システム導入に際してアドオン開発やカスタマイズを前提とせず、業務内容を標準機能に合わせる“Fit to Standardアプローチ”を基本としてベースとなるプロセスもあらかじめ整理しているため、理想の業務フローを短期間で検討できます」(廣氏)

「日立 設計・製造テンプレート」を活用したFit to Standardアプローチの進め方「日立 設計・製造テンプレート」を活用したFit to Standardアプローチの進め方

「日立 設計・製造テンプレート」を活用したFit to Standardアプローチの進め方「日立 設計・製造テンプレート」を活用したFit to Standardアプローチの進め方(クリックで拡大)

高原氏も「これまで改善を積み重ねてきた現場で、『世の中の動きから見て、自分たちのやり方は適切になっているのか』という疑問が生じています。そうした中で広がり始めた『TO-BEを描くことで自分たちが進むべき業務の在り方を見直したい』というニーズに応えるベースになるのがこのテンプレートです」と続ける。

日立 設計・製造テンプレートは4つのコンテンツで構成されている。

1つ目の「業務フロー」は各部門の業務を定義し、SAP S/4HANA以外の業務も含めたプロセスの流れと情報の流れを整理する。2つ目は「業務シナリオ」で、業務フローの中でSAP S/4HANAを活用する業務で使う画面と入出力情報を整理する。3つ目は「Walk Throughシナリオ」だ。設計から製造までの業務の流れについて検証に必要な画面と操作手順、入力項目を整理する。4つ目の「カスタマイズ定義書」は、業務シナリオとWalk Throughシナリオの実現に必要なパラメーター値を記載している。

日立 設計・製造テンプレートの主な対象は、中量生産品を扱っている製造業だ。廣氏は「これまで個別受注生産を手掛けてきた製造業は、熟練工の減少や市場の成熟化などに伴ってモジュラー設計などを採用した生産に次第にシフトしていくと想定しています。大量生産を行ってきた製造業も、顧客の嗜好(しこう)の多様化に対応すべくセミオーダー化し始めました。こうした時代の流れにあって、今後ボリュームが大きく膨らんでいくと予想しているのが中量生産品の領域です」とねらいを示す。



個別受注生産品向けテンプレートの提供も検討中

日立 設計・製造テンプレートを活用したDXコンサルティングは着実に広がっている。国内のある産業機器メーカーは、ERP導入に向けた構想検討段階のコンサルティングで日立 設計・製造テンプレートを活用。必要な業務フローやプロセスをFit to Standardアプローチで満たせるのかどうか、ギャップ分析と擦り合わせを行った。

SAP S/4HANAの新規導入に当たっては、Walk Throughシナリオに基づいて業務の変化を事前に体験してみるといった形で検討するというニーズも高まっているという。設計から製造までの各部門を横断した業務フローに沿ったSAPソリューションの導入プロセスや要件を確認できるため利用イメージがつかみやすく、実業務に導入した際の具体的な課題を把握することが可能なのだ。

日立 設計・製造テンプレートのバリエーションを広げる計画もある。現時点では中量生産品を手掛ける製造業を主な対象としているが、廣氏は「個別受注生産品向けのテンプレートも検討中で、適用業務範囲の拡大を図っていきます」と語っている。

日立の廣喜充氏(右)と高原佳菜氏(左)。「日立 設計・製造テンプレート」の展開を拡大する構えだ日立の廣喜充氏(右)と高原佳菜氏(左)。「日立 設計・製造テンプレート」の展開を拡大する構えだ

日立の廣喜充氏(右)と高原佳菜氏(左)。「日立 設計・製造テンプレート」の展開を拡大する構えだ日立の廣喜充氏(右)と高原佳菜氏(左)。「日立 設計・製造テンプレート」の展開を拡大する構えだ(クリックで拡大)

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「際(きわ)」は、株式会社日立製作所の日本における登録商標です


転載元:MONOist
MONOist 2024年1月31日掲載記事より転載
本記事はMONOistより許諾を得て掲載しています。

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