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三井住友海上プライマリー生命保険株式会社

先進技術の活用で企業競争力を高めるIT基盤を構築

三井住友海上プライマリー生命保険株式会社(以下、三井住友海上プライマリー生命)は2019年1月、全システムを搭載するIT基盤を日立とともに全面刷新。NutanixやActifioといった先進技術の採用により、コスト低減と拡張性、開発力の強化を兼ね備えた、新たなインフラ構築を実現しました。

経営に資するITインフラを構築

2002年に営業を開始した三井住友海上プライマリー生命は、MS&ADインシュアランスグループにおける国内生命保険事業の一翼を担い、少子高齢社会を迎えている日本において、成長分野といわれている個人年金保険や終身保険の領域に特化した事業を展開。2019年3月には保有契約件数が114万件を突破するなど、順調に業績を伸ばしています。

三井住友海上プライマリー生命は、IT基盤を更改するタイミングで競争力を継続的に高めていくための新技術の採用を決断しました。

「当社ではIT基盤のハードウェアを約6年ごとに入れ替えてきましたが、開業して16年が経ち、システム数やデータ容量の増加にともなって増える運用コストを、いかに低減していくかが大きな課題となっていました。また当初は外資系が中心だったコンペティターが国内大手生保へと変化していくなかで、よりタイムリーで高品質な商品開発が求められるようになってきました。そこで今回は単純な基盤更改ではなく、経営に資するベネフィットの高い、新たなITインフラを構築しようと考えたのです」と、その経緯をIT推進部長沖元 宏樹氏は語ります。

そのための技術要件となったのが、運用負担が小さく拡張も容易なHCIと、開発用データを本番環境から容易に抽出できるデータ仮想化ソリューションでした。

「IT基盤を将来にわたり最適なコストで継続的に拡張していくには、ストレージも含めたシステム全体を仮想化できるHCIが最適だと判断しました。また、開発スピードを上げるためには、疑似的な本番環境を業務に支障を来さず迅速に用意できるソリューションも必要でした。この二つの要件を盛り込んだRFP(提案依頼書)には3社から提案がありました。その中から日立をパートナーに選んだのは、まだ日本での適用事例が少なかった新技術にもかかわらず、社内に豊富な知識を持つエンジニアが存在し、構築後の運用についても早い段階から具体的な提案があったことで、大きな信頼と安心感を持つことができたからです」と話すのは、システム構築を担当するMS&ADシステムズ株式会社(以下、MS&ADシステムズ)MSプライマリー基盤運用グループ長の上野 紀久氏です。

柔軟性と信頼性を併せ持つシステムを実現

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日立とMS&ADシステムズは、新IT基盤の中核製品にNutanixのHCIアプライアンスと、データの効率的な保護・複製・利活用を支援するデータ仮想化ソフトウェア ActifioSkyを適用。契約管理システムをはじめとする大半の業務システムの本番・開発・検証環境をNutanixで集約したほか、基幹系システムのDBなど、重要データの一元管理には日立のアドバンストサーバ HA8000(10年保守モデル)とオールフラッシュアレイ Hitachi Virtual Storage Platform F400を採用するなど、各社製品を適材適所に組み合わせ、柔軟性と信頼性を兼ね備えたシステム構成を実現しました。

「当初われわれは、すべてのシステム基盤をNutanixのみで構築するつもりでした。しかし、当時は基幹系への採用実績が少なく、システムリスクを検討した結果、ミッションクリティカルなDBには実績のあるHA8000を採用しました。稼働時にはHA8000とNutanixのハイブリッド構成とし、稼働状況の評価に問題がなければHCIの比重を増やしていくという提案を受けました。こうした先を見据えた実効性ある提案は、非常に評価できるものでした」と、MS&ADシステムズ MSプライマリー基盤運用グループ プランナーの小林 猛氏は語ります。

また日立は、構築プロジェクトがスタートする前の設計段階からNutanixとActifioの技術検証に力を注ぎ、単体・結合・総合テストを常に前倒しで行うなど、問題点を先送りしないプロジェクト体制を最後まで維持しました。

「先進技術を使いながら稼働後もトラブルのない高品質なシステムを構築できた背景には、こうした地道な努力の積み重ねがあったのです。これだけ大規模なプロジェクトではなかなかできないことを日立はやってくれました」と上野氏は評価します。

バックアップ・災害対策・データ二次利用を一元管理

新基盤はNutanixの採用で、サーバ群を従来の14ラックから6ラックへと大幅に削減。将来のシステム拡張やリソース不足の際にも、コストを抑えた柔軟な対応を可能とします。また、複数システムに分散する本番データを仮想的にコピーして二次利用を可能とするActifioの技術により、データ準備にかかる工数と、物理コピーデータが不要となることによるストレージ容量の低減ができ、こちらも大幅な運用コストの削減が実現できています。

なお、Actifioによって日々のバックアップや災害対策環境へのデータ転送、開発・検証環境での二次利用を一元管理したのは、国内初の事例となりました。

「主要7システムについては、本番データをActifioで毎日自動的にマスク化して検証環境に置いています。これにより開発グループはデータ準備に手を煩わせることなく、本番リリース作業の検証や稼働確認などを容易に行えるようになり、システム開発の品質向上に大きく貢献しています。今後は、より上流の単体・結合テストなどにも本番データを活用し、開発生産性をさらに上げていきたいと思います」と、三井住友海上プライマリー生命 IT推進部 次長 岩中 雄次氏は語ります。

日立は今回のIT基盤と、基幹系の契約管理システムの担当ベンダーとして、データセンターにSEを24時間常駐させ、日々の運用をトータルに支援、三井住友海上プライマリー生命の経営戦略を力強いパートナーシップで支え続けていきます。

三井住友海上プライマリー生命保険株式会社

所在地  東京都中央区八重洲1-3-7 八重洲ファーストフィナンシャルビル
設立   2001年9月7日
資本金  657.95億円(資本準備金 247.35億円を含む)
従業員数 400名(2019年3月31日現在)
事業内容 生命保険業

MS&ADシステムズ株式会社

所在地  東京都新宿区大久保3-8-2 (住友不動産新宿ガーデンタワー15階〜19階)
設立   1986年7月
資本金  1億円
従業員数 1,562名(2019年4月1日現在 出向者含む)
事業内容 MS&ADインシュアランス グループ内の保険システム全般にわたる
     企画・設計・開発・運用

  • この記事は、はいたっく2019年11月号に掲載されたものです。