2002年10月、ERPの第一弾として会計システムが稼働を開始すると同時に、DWHへの情報蓄積もスタートした。
DWHの構築にあたっては、日立のデータ統合管理基盤「DataStage」を活用して、開発工数の削減を図っている。
DataStageは、異なるシステムからデータを抽出しマージ/変換/集約を行ったうえで、DWHのローディングを行う。複数のソースからデータを取り込んで統合したり、実行パラメータとして変数を持たせてその値によってジョブの内容を切り替えるなど、複雑なジョブ設計がノンプログラミングでできる。計算/フォーマット編集/文字列操作など、200以上の変換関数群をGUI操作で選択して利用できるため、開発生産性が高いのも特長である。
ゼンリンでは、GEMPLANETによる会計、人事・労務、債権管理、自社開発の原価管理、予算管理、販売管理、在庫管理、そして他のパッケージを利用した就業管理という各種システム混在環境で、データの統合と一元管理を実現するために、DataStageを採用した。
GEMPLANETは基本的にOracleデータベースにデータを出力するが、例えば人事システムでは、個人情報のセキュリティを守るため、人事部が情報の集約を行ったCSVデータのみをDWHに渡している。こうした多様なデータ形式の統合にも、DataStageは柔軟に対応している。
さらに、目的別のデータマート生成においてもDataStageは活用されている。エンドユーザーは、日立の多次元データ分析ツール「HITSENSER」を使って、データマートの情報をさまざまな角度から分析する。また、基幹システムからのデータ収集、DWHおよびデータマートの構築は、日立の統合システム運用管理ソフトウェア「JP1」でジョブスケジューリングを行い、夜間バッチの自動処理を実現している。
「自社開発である予算システムの予算データと、GEMPLANETの会計システムから実績データを抽出して『予実比較表』を作り、各部門へフィードバックするといった作業が容易にできます」と、ゼンリン管理本部情報システム部マネージャー小森孝史氏は現段階での成果を語る。
従来は、会計システムの一部として予実管理システムがあったため、会計の月締め処理が完了した後、つまり月の半ば過ぎでないと予実比較表を現場に配布することができなかった。しかも出力帳票として配布されるため、ほとんどの現場では手作業でExcelなどに再入力していた。DWHを構築したことによって、月締めから数日後にデータとして予実比較表が配布されるようになったため、すばやく決断し、すばやく行動することが可能になったのである。
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