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事例紹介

Casestudy
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株式会社ゼンリン
 
DWH構築から各種システムのデータ統合まで。スピード経営実現に向け日立の情報資産管理基盤『DataStage(R)』をフル活用
 
住宅地図情報を基盤に事業展開する株式会社ゼンリン(以下、ゼンリン)は、スピード経営によって経営基盤の安定と株主利益の増大を実現するため、ERP導入とDWH(データウェアハウス)構築を併行して推進している。基幹システムは、日立の統合業務パッケージ「GEMPLANET」と自社開発システムを連携させて構築。各種混在システムのデータ統合には、日立のデータ統合のための情報資産管理基盤「DataStage」を採用した。DataStageは、データマート生成、商品マスターの転記、新旧システムのデータ移行などにも活用しており、開発生産性を高め、スピード経営を推し進める原動力となっている。
 

ERPとDWHの両輪でスピード経営を推進

 

「ERPとDWHは、スピード経営を実現するための不可分システムとして、同時にスケジュールを組み、同期をとって導入を進めてきました」と、ゼンリン管理本部情報システム部部長津留義信氏は言う。

インターネット上の地図検索サービス、カーナビゲーションシステムなどデジタル化することで、地図情報の用途は大きく広がった。その先駆けとなったのがゼンリンである。

全国住宅地図データベースを持ち、年間延べ28万人日の調査を現在も継続しているゼンリン。同社が、コンピュータで地図を製作するシステムを開発、実用稼働したのは、1984年のことだ。その後、カーナビ用地図ソフト、パソコン用地図ソフトを次々に開発し、日本の地図情報システムの草分けとなった。会社も順調に成長して、海外にも拠点を拡大しており、1996年には、東証および大証第二部に株式を上場するに至った。

2003年、創業55周年を迎えたゼンリンは、経営基盤を安定させ、株主利益を増大させるため、「Drastic Change」をキャッチフレーズにした経営改革を推進している。

そのひとつが「ERP導入プロジェクト」である。ゼンリンは、2002年4月から、日立の統合業務パッケージ「GEMPLANET」の導入を進めており、すでに、会計システムと人事・労務システムが稼働している。独自に構築した原価管理・予算管理・就業管理システムも、GEMPLANETと連携しながら動いている。2004年1月を目標にGEMPLANETによる債権管理システムと、自社開発の販売管理・在庫管理システムが稼働開始すれば、ERP導入プロジェクトの第一段階が完了する。

「経営トップが欲しい情報を瞬時に入手できてこそ、事業の現状を的確に把握し、利益率の高い経営ができます。基幹システムを刷新するのは、経営に役立つ情報を一元管理するためであり、蓄積した情報をスピーディに活用する仕組みがDWHです。ERPとDWHは、経営改革の車の両輪なのです」と津留氏は強調する。

津留 義信 氏の写真
 
ゼンリン管理本部
情報システム部 部長
津留 義信 氏
 
 

DWH構築とデータマート生成にDataStageを採用

 

2002年10月、ERPの第一弾として会計システムが稼働を開始すると同時に、DWHへの情報蓄積もスタートした。

DWHの構築にあたっては、日立のデータ統合管理基盤「DataStage」を活用して、開発工数の削減を図っている。

DataStageは、異なるシステムからデータを抽出しマージ/変換/集約を行ったうえで、DWHのローディングを行う。複数のソースからデータを取り込んで統合したり、実行パラメータとして変数を持たせてその値によってジョブの内容を切り替えるなど、複雑なジョブ設計がノンプログラミングでできる。計算/フォーマット編集/文字列操作など、200以上の変換関数群をGUI操作で選択して利用できるため、開発生産性が高いのも特長である。

ゼンリンでは、GEMPLANETによる会計、人事・労務、債権管理、自社開発の原価管理、予算管理、販売管理、在庫管理、そして他のパッケージを利用した就業管理という各種システム混在環境で、データの統合と一元管理を実現するために、DataStageを採用した。

GEMPLANETは基本的にOracleデータベースにデータを出力するが、例えば人事システムでは、個人情報のセキュリティを守るため、人事部が情報の集約を行ったCSVデータのみをDWHに渡している。こうした多様なデータ形式の統合にも、DataStageは柔軟に対応している。

さらに、目的別のデータマート生成においてもDataStageは活用されている。エンドユーザーは、日立の多次元データ分析ツール「HITSENSER」を使って、データマートの情報をさまざまな角度から分析する。また、基幹システムからのデータ収集、DWHおよびデータマートの構築は、日立の統合システム運用管理ソフトウェア「JP1」でジョブスケジューリングを行い、夜間バッチの自動処理を実現している。

「自社開発である予算システムの予算データと、GEMPLANETの会計システムから実績データを抽出して『予実比較表』を作り、各部門へフィードバックするといった作業が容易にできます」と、ゼンリン管理本部情報システム部マネージャー小森孝史氏は現段階での成果を語る。

従来は、会計システムの一部として予実管理システムがあったため、会計の月締め処理が完了した後、つまり月の半ば過ぎでないと予実比較表を現場に配布することができなかった。しかも出力帳票として配布されるため、ほとんどの現場では手作業でExcelなどに再入力していた。DWHを構築したことによって、月締めから数日後にデータとして予実比較表が配布されるようになったため、すばやく決断し、すばやく行動することが可能になったのである。

小森 孝史 氏の写真
 
ゼンリン管理本部
情報システム部マネージャー
小森 孝史 氏
 
 

新旧システムの移行ツールとしても活用

 

ゼンリンではDWH構築だけでなく、さらにさまざまなシステムの開発ツールとしても、DataStageを活用しようとしている。

きっかけとなったのは、コールセンターシステムへのデータ取り込みである。ゼンリンでは、お客さまからの問い合わせにスピーディで的確な対応をするために、CTI/CRMパッケージから成る「お客さま相談室システム」を構築していた。ところが今回の基幹システム刷新によって、商品情報については新規開発した原価管理システムの商品マスターから抽出して、「お客さま相談室システム」へ取り込む仕組みを作らなければならなくなった。

「DataStageを使ってみたところ、プログラミング不要で、大変スムーズにデータ連携の仕組みを作ることができました」と小森氏は喜ぶ。

DataStageは、データのマッピング設定やマッチング処理/集約/抽出/書き出しなどがわかりやすいアイコンとして用意されており、このアイコンをマウスでドラッグ&ドロップしながらジョブを開発できる。プログラミングが不要であるため生産性が高く、データの流れがビジュアルに理解できるためデバッグも容易だ。さらには、今回のケースのような仕様変更にも各アイコンに設定するパラメータを修正するだけで、スピーディに対応できる。ゼンリンでは、原価管理システム情報と会計システムの元帳データを照合するなど、さらなるDWHの使いこなしにも、DataStageを積極的に活用していく予定だ。

また、2004年1月に本番稼働が予定されている販売管理システムでは、旧システムからの移行ツールとしてもDataStageを利用する。従来の販売管理システムは、各営業所で個別に運用しているスタンドアロンシステムから、毎月MOでデータを収集し、本社で集計処理を行う仕組みだった。営業所ごとにシステムへ手を加えていることもあるため、新旧データ移行が容易ではない。移行ツールを自前でプログラミングすると、かなり複雑な作業になると予想された。

ところがDataStageを使うと、こうした例外処理の多いデータ統合も容易にできる。プログラミングを行わないため、バグが発生する心配が要らない。当然、テストの時間も短縮できる。このような利点から、ゼンリンでは販売管理/在庫管理の帳票作成のためのデータの事前編集にもDataStageを利用していく計画だ。

「DataStageは、さまざまな局面で活用できて非常に便利です。また、日立の開発者はDataStageを扱う技術力が高く、安心してシステム構築を任せることが出来ます」と津留氏は語る。日立はDataStageの日本語化を始めとする開発を行っており、サポートの面でも安心できる。

また、津留氏は今後の目標について、「四半期決算、月次決算の早期化を目指し、同時に、営業所単位、プロジェクト単位のリアルタイムな利益率なども把握していきたい。経営トップが求める情報をタイムリーに提供できる体制を作りたい」と語る。ネットワークでの地図配信といった新しいASPビジネスモデルを開発するうえでも、DWHを活用して、最適な料金回収形態をシミュレーションしてみたいという期待は大きいのだ。ゼンリンは、DataStageのフル活用によるERPとDWHの相乗効果を得て、さらなるスピード経営を実現しようとしている。

 
ゼンリンDWHシステム概念図
 
 

USER PROFILE 

株式会社ゼンリン
本社 福岡県北九州市小倉北区室町1-1-1 リバーウォーク北九州
創業 1948年4月
設立 1961年4月
資本金 59億6,516万8千円(2003年3月末現在)
従業員数 1,824名(2003年3月末現在)
URL http://www.zenrin.co.jp/
事業概要 住宅地図情報を基盤として各種地図の企画・出版および各種電子地図データベースの企画・制作を主な事業とし、かつ、これに付帯または関連するソフトウェア開発・情報サービス事業。

 
 

DataStageの詳細については,ホームページをご覧ください。
 
* DataStageは、Ascential Software,Corp.またはその関連会社の、米国またはその他の国における登録商標です。
* その他記載されている会社名、製品名は、各社の商標もしくは登録商標です。
 
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