テレビ番組や出版物、イベントなど、劇映画の一部やスチール写真が利用されることは少なくない。たとえば過去の作品を紹介する特集番組や、著名な映画関係者の冠婚葬祭などのニュース番組で、“劇映画の部分使用”を目にしたことは誰でもあるはずだ。このような“劇映画の部分使用”に関する版権管理や問い合わせへの対応を行う業務が、映像版権管理と呼ばれる仕事である。
映像版権管理を行う部署には、社内はもちろんのこと、テレビ局や出版社、イベント制作会社、広告代理店など、さまざまなところから毎日のように問い合わせが舞い込んでくる。
「特に著名な映画人が亡くなられた場合には、依頼が集中します」と東映 映像版権管理部 係長 川井 恵美子氏。多いときには1日に50件もの問い合わせが殺到することもあるという。
これらの依頼にいかに迅速に対応できるか。これは版権管理業務で最も重要なポイントのひとつだといえるだろう。映像版権管理部への依頼のほとんどは、使用許諾や素材の提供を早急に求めているからだ。
しかし以前は必要な情報を探し出すのに多くの時間が費やされ、迅速な対応を行うには他の業務を犠牲にせざるを得なかったと川井氏は振り返る。
「たとえばひとつの写真を探すためには、劇映画データベースを見て封切り年月日を調べて、その年月日に対応するアルバムを出して探さなければなりません。場合によっては探すのに1日がかりということも珍しくありませんでした」
しかし東映では、その状況が1999年12月から大きく改善された。新たに構築されたマルチメディア・データベースが、本番稼働を開始したからである。
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