商業手形は、日本、韓国でおもに普及している決済手段である。現金化する前に割引や譲渡などが柔軟にできる手形は、中小企業にとって、資金調達のライフラインだと言っても過言ではない。
しかし手形は、紙の券面を扱うだけに不便な点もある。金融機関は、他行が支払人となっている手形を受け取ると、手形交換所へ現物を持参して交換するが、手形交換所は都道府県によっては1ヵ所しかないところもある。信用金庫では、手数料を支払って地方銀行に手形交換を依頼するなど、事務作業やコストの負担が大きい。
インターネットを使った電子手形による手形レス取引。この世界で初めてのビジネスモデルの構築にチャレンジしたのは、全国326信用金庫のセントラルバンクである信金中金である。
「手形を電子化することで、金融機関の手間が省けますし、企業にとっては遠隔地の相手とも信用取引がしやすくなります」と、信金中金 総合企画部 電子手形企画室長 高橋 秀充氏は言う。
電子手形は、電子商取引における企業間決済の手段として大きな可能性を持っている。
「企業間の電子商取引は、企業の信用力が厳しくチェックされるため、中小企業が参加しにくくなっています。電子手形は、手形決済の堅実性を継承しつつ、さまざまな決済の仕組みを柔軟に取り込むことが可能。電子手形を電子商取引の共通決済基盤に据えることで、中小企業も電子商取引でビジネスチャンスをつかみやすくなります」と高橋氏は語る。
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