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事例紹介

Casestudy
  
 


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日本テレビ放送網株式会社
 
スケーラブルデータベース「HiRDB」でデータウェアハウスを構築。
リアルタイム・シミュレーションで,より効果的なスポットCM枠取りができる。
 
データウェアハウスの魅力は,メインフレーム上の情報を簡単な手順で,エンドユーザーに公開できることだ。日本テレビ放送網(株)(以降,「日本テレビ」と記述)では,日立のスケーラブルデータベースHiRDBを中核に営業支援用のデータウェアハウスを構築。リアルタイムなシミュレーションを駆使して,効果的にスポットCMの枠取りのできる環境を実現した。メインフレームからのデータ・レプリケーションの仕組み,およびOLAPを含めた自由なデータ分析環境の開発には,日立のオープンミドルウェア製品を組み合わせて利用し,短期開発とコスト抑制を実現した。
 

効果的なスポットCM枠取りには
リアルタイムなシミュレーション機能が必要
42週平均視聴率トップ。

 
テレビ番組の視聴率は,6時〜24時の「全日」,19時〜23時の「プライム」,19時〜22時の「ゴールデン」,全日からプライムを除いた「ノンプライム」の4つの時間帯ごとに集計される。日本テレビは,1998年の52週のうちなんと42週も,すべての時間帯における平均視聴率トップの記録を達成した。

視聴率は,テレビ局の活動を支える広告収入に直結する重要な指標だ。しかし,1日の放送に組み込むことのできるCM量は限られており,視聴率の高さに頼っているだけでは,広告収入を伸ばすことはできない。CM枠ごとに異なる視聴率と料金を勘案しながら,最終的に最も売上げを上げられる形へと,効果的な「枠取り」を工夫することが大切になる。

「ことにスポットCMは,申し込みがあった順に単純に枠を埋めていくと,大量注文があったときに対応できません。かといって,慎重にしすぎて,ゴールデンタイムに空きができても困ります。枠取りをする営業担当者には,「相場師」のようなカンと経験が要求されます」と,日本テレビ 総務局システム部 主事 半田淳治氏は説明する。

もちろん,「相場師」というのは言葉のあやであり,実際には,膨大な資料を参照し,数字的な裏付けのもとに枠取りを進めている。日本テレビではこれまでも日立のメインフレーム上で営業から放送までをカバーした「営放システム」を構築し,その中の数値情報を活用してきた。

しかし,メインフレームからの情報は紙で配布しているため,「この部分にこのCMを入れたら,月全体の売上げはどう変わるか」といったリアルタイムなシミュレーションができない。営業担当者が自分なりの工夫をするために,データを加工・分析するにも不便だ。そこで求められたのが,リアルタイムなシミュレーションのできる,新しい営業支援システムだった。
半田 淳治 氏の写真
 
総務局システム部
主事 半田 淳治 氏
 
 

オープンミドルウェア群の採用で
短期開発を実現

 
最初に検討したのは,日立メインフレーム上での作り込みだ。しかし,現場では1日も早い利用を望んでおり,システム部門としても開発コストを抑えたい。また,営業担当者は,Excelの扱いには慣れている。そこで,メインフレーム上のデータベースのレプリカ(複製)を作ってデータウェアハウスを構築し,営業担当者に自由な情報加工の道を提供することにした。

データウェアハウスの中核となるデータベース・エンジンとしては,日立のスケーラブルデータベースHiRDBを選択した。選択理由は2つある。

「第1に,メインフレームからのデータ・レプリケーションの仕組みがすでに完成していることを評価しました。用意されているオープンミドルウェア製品を組み合わせれば実現できるため,この部分を新規開発したり,検証したりする時間を省略することができたのです」と半田氏は言う。

第2に評価したのは,並列データベースならではの高速検索機能だ。「いまはまだ2万件くらいのデータしか蓄積していませんが,これからずっと契約データを蓄積し続けていくつもりですから,大量データの高速検索は重要なポイントです」と,日本テレビ 総務局システム部 足立美香氏。HiRDBは,高性能を実現する各種方式を採用しているため,パフォーマンスが極めて高い。また,シェアードナッシングを特長としているため,これからのデータ拡張も安心だ。

データ分析ツールとしては,多次元データ分析ツールHolosを採用した。「各製品が当社の要求仕様を満たしていて,さすが日立の製品は,豊富な実績で磨かれていると感じました」と足立氏は言葉を添えた。
足立 美香 氏の写真
 
総務局システム部 足立 美香 氏
 
 

活用形態に合わせて
2通りのレプリケーションの仕組みを構築

 
HiRDBをはじめとするオープンミドルウェア群を採用することによって,データウェアハウスは計画どおり,短期間で開発することができた。1997年12月に開発を始めて,1998年の2月には,一部の機能をリリース。1998年4月には,本格稼働させることができたのである。

データウェアハウスの利用形態は,定型的な多次元分析と,非定型的な検索の2通りがある。前者は,前日までのデータを利用すれば良いが,後者は,リアルタイムなデータに対して,リアルタイムなシミュレーションをすることが要求される。したがって,メインフレームからのデータ・レプリケーションの仕組みも2通り構築した。

多次元分析用のデータは,1日1回,メインフレームMP5500から,データベース抽出プログラムXDM/XTおよびHiRDB Dataextractorを使って,UNIXサーバ3500シリーズ上のHiRDBに抽出。さらに,自動的に多次元集計を行って,Holosデータベースに格納する。
リアルタイム分析用のHiRDBデータは,データ連動機能XDM/DSおよびHiRDB Datareplicatorによって,1分間隔で自動更新される。

営業担当者は,Holosで実績分析をしたり,開発ツールAPPGALLERYで作り込んだメニュー画面を使ってリアルタイムなデータ抽出を行い,最終的にExcelで自由な情報分析をする。また,エンドユーザー・レポーティングツールEURで印刷することもある。

多彩なオープンミドルウェア製品を組み合わせることによって,目的別データ抽出とリアルタイムなデータ連動,さらに自在な情報活用の仕組みを,短期間で作り上げることができたのである。
 
営業支援システム構成の説明図
 
 営業支援システム構成図
 

情報共有によって部内改革も進展

 
データウェアハウスの構築によって,営業担当者は,より高度な分析を手間をかけずに実行できるようになった。

「枠を途中まで埋めた状態で,「いま現在の売上げ」をボタンクリックひとつで確認できます。別の枠に入れてみたらどうなるかも,すぐにシミュレーションできる。より効果的な枠取りをするための強力な武器ができたと思います」と半田氏は胸を張る。

会議資料の作成もすばやくできるようになった。
「以前は,毎週の営業部会用の資料作りは「1日仕事」でした。今では,マウスのボタンをクリックするだけ。残業が減ったと喜ばれています」と足立氏はにっこりする。

予想外の大きな成果は,部内改革が大きく進んだことだ。
「売上実績に応じて,営業部内の班編成を変えるといったときに,誰もが納得できる数字を元に,スピーディに実行できます。広告主ごとの戦略立案も,データの裏付けに基づいてできるようになりました」と半田氏は言う。

従来の作業がすばやく手間をかけずにできるようになったことに加えて,これまでは見えなかったものが見えてきたのも,データウェアハウス構築の大きな成果である。

今後は,スポットCMだけでなく,番組単位の契約情報もデータウェアハウスに取り込んだり,番組ごとのCM効果の評価分析なども行っていきたいと,半田氏は語る。

民放最高の視聴率を,より大きな売上げに結びつけていくために,HiRDBを中核としたデータウェアハウスは,さらなる活躍が期待されている。
 
 

USER PROFILE(1998年3月末時点)

日本テレビ放送網株式会社
本社 東京都千代田区二番町14番地
設立 1952(昭和27)年10月
代表者 代表取締役社長 氏家齊一郎
資本金 185億7,599万144円(1998年9月30日現在)
年商 2,830億4,800万円(1998年3月期)
社員数 1,333名(1998年12月1日現在)
事業内容 1994〜98年の5年間,すべての時間帯で民放各局中トップの平均視聴率を獲得して,「5年連続4冠王(グランドスラム)」の記録を達成した。

 
 

HiRDB の詳細は,製品ホームページでご覧ください。
オープンミドルウェア製品の詳細については,ホームページをご覧ください。
 
* 会社名,製品名は,各社の商標もしくは登録商標です。
 
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