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事例紹介

Casestudy
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株式会社エヌ・ケー・エクサ
(現 株式会社 エクサ)
 
NKKのUNIXで構築した基幹系システムの運用管理を「JP1」へと刷新。
約1万ジョブの安定稼働とジョブ処理時間の大幅短縮を実現。
 
統合型ソリューションプロバイダーの株式会社エヌ・ケー・エクサ(以降「エヌ・ケー・エクサ」と記述)は,1999年夏,日本鋼管株式会社(以降「NKK」と記述)のUNIX系システムの運用管理システムを一新。約1万ジョブに及ぶオンラインおよびバッチのジョブ運用を,日立製作所の統合システム運用管理ソフトウェアJP1で集中管理している。移行のきっかけは2000年対応だが,結果として,ジョブ処理時間の大幅短縮を実現した。
 

2000年対応がきっかけで運用管理システムを入れ替え

 

24時間365日稼働。溶鉱炉を止めることができない鉄鋼業界では,コンピュータ導入の初期から,この極めてミッション・クリティカルな要求が大前提となってきた。

エヌ・ケー・エクサは,NKKの情報システム部門が,長年にわたって「24時間365日稼働」を達成してきた技術とノウハウをベースにして発足。現在では,統合型ソリューションプロバイダーとして,幅広い顧客企業に高品質なソリューション・サービスを提供している。

NKKでは,1989年からUNIXシステムを導入し始め,メインフレームと連携させながら,基幹系システムを動かしてきた。複雑なシステム連携や膨大なジョブは,エヌ・ケー・エクサが責任を持って運用管理してきたのである。

「年々UNIXシステムが増えてきたので。1995年,統合型のUNIX運用管理ソフトウェアを導入して,全社レベルで集中管理をする体制を整えました」と,エヌ・ケー・エクサ 技術部 担当部長 大友 茂氏は説明する。

しかし,この運用管理ソフトウェアは,2000年対応が十分にできなかったことと,2000年対策版に入れ替えをしても,NKKが使用している国内メーカーのUNIXサーバに一部対応していない。つまり,システム全体を集中管理することができないことが判明したため,エヌ・ケー・エクサは,新しい運用管理システムの検討を開始した。

大友 茂 氏の写真
 
技術部
担当部長
大友 茂 氏
 
 

約1万ジョブのスケジュール情報の自動コンバートが焦点

 

選定にあたっては次の4つのポイントを重視した。
「第1に,監視コンソールに至るまで,完全にUNIXオンリーで構築できること。ミッション・クリティカルなシステムですから,これは必須の条件でした」と,エヌ・ケー・エクサ 技術部 技術開発・支援チーム 猪田 栄一氏は話す。

第2に,現状のジョブ・スケジュール情報を自動的に移行できること。
運用管理の対象は,生産管理システムをはじめ,7つものUNIX基幹系システムである。しかも,生産管理システムの中のたった1つのアプリケーションだけで,3,000ジョブが動いているというほど,ジョブ数は膨大だ。全体では1万ジョブにも及ぶスケジューリング情報を,またゼロから人手で入力し直すのはほとんど不可能である。

「他社の運用管理ソフトウェアとのコンバート・ソフトウェアを作ってくれる。そういうきめ細かい対応をしてくれるベンダーを求めたのです」

第3は,国内に開発部隊がいること。
「バグを1つ直すのに,海外とやりとりして,半年も1年もかかるシステムは避けたかったのです」

そして第4が,安定性だ。
「運用管理サーバ自体をクラスタ構成にしますから,ことに,クラスタ構成における安定稼働を重視しました。ミニマムのクラスタ構成でテスト環境を作って,途中でシステムがダウンしたときに,アプリケーションのスクリプトがなくなってしまったりしないか,細部に至るまで入念にテスト/評価をしました」(エヌ・ケー・エクサ 技術部 技術開発・支援チーム 大熊 一也氏)。

参考製品を含めて,比較検討した5種類の製品の中で,このすべての条件を十分に満足できたのは,日立の統合システム運用管理ソフトウェア「JP1」だけだったのである。

猪田 栄一 氏の写真
 
技術部
技術開発・
支援チーム
猪田 栄一 氏
 
大熊 一也 氏の写真
 
技術部
技術開発・
支援チーム
大熊 一也 氏
 
 

運用管理サーバのクラスタ構成にも高度に対応する「JP1」

 

1998年10月,「JP1」の採用を決めてから,7つのUNIX基幹系システムの移行を開始。1999年夏には,予定どおりに運用管理システムの移行が完了した。

スケジュール情報の移行については,日立がコンバート・ソフトウェアを開発して提供。約1万ジョブのスケジュールをほぼ完全に自動コンバートすることに成功した。

「いろいろ無理をいったところもありますが,日立はよく対応してくれました。自動コンバートのおかげで,入力の手間が省けただけでなく,ヒューマンエラーの心配がないのは大きなメリットです」

たとえば生産管理のあるアプリケーションでは,JP1によるジョブ運用は次のような流れになっている。

まず,メインフレ−ム側でのジョブ運用が終わると,MQ(Message Queue)でUNIXシステムにファイルを送ってくる。これをJP1が検知して,TPモニターにジョブの開始を指令。以降,TPモニターの動きをすべて,JP1が管理・監視する。

異常が起きた場合は,TPモニターのアラートをJP1が受け取り,管理コンソールに表示する。システムの自動運転には,JP1/Automatic Operation MonitorとJP1/System Event Service,JP1/Cm2/Extensible SNMP Agentというエージェントを使っている。

システム構築時の最大のポイントだったクラスタ構成にも,JP1はスムーズに対応している。

「運用サーバと通信サーバをクラスタ構成にしており,万一システムダウンした場合は,相互に代替してサービスを継続する仕組みにしています。つまり,運用サーバがダウンした場合には,JP1そのものもクラスタとして移行しなければならないのです」

システムダウン時にアプリケーションが動いていれば,JP1はそのアプリケーションのステイタスを維持しながら,通信サーバのほうに移行しなければならない。

「バックアップ体制としては一番むずかしい条件だと思いますが,JP1はこれに対応できる機能をきちんと備えていました」

 
JP1の運用管理対象システム
 
システム名 利用マシン
生産管理系システム RS-SP2X2台,GPX12台
経理システム RS6000X1台
人事システム HP9000X1台,RS-SP2X1台
原価管理システム RS6000X1台
設備メンテナンスシステム RS6000X1台
調達システム/経営支援システム RS6000X3台
 

ジョブ処理が速い。ピーク時には750ジョブを軽く1時間以内で処理

 

UNIXの運用管理ソフトウェアをJP1に代えたことによって,2つの大きな変化が生じた。

まず,1日のジョブの処理時間が目に見えて速くなった。

「目に見えるというのはおおげさではないのです。実際,監視コンソールに表示されるイベント情報が,以前は30秒単位ぐらいで変わっていたのに,JP1にしたら,もう人間の目で追えないほどスピーディに動くのです」

JP1は,統合システム運用管理ソフトウェアだが,システムに負荷をかけない「軽いソフトウェア」でもある。

電源を入れてから起動にかかる時間も,目に見えて速くなった。

さらに,他の分散システム運用管理ソフトウェアでは750ジョブの処理に1時間半以上を要していたものが,1時間を軽く切ることができた。

もうひとつの効果は,システムエラーで夜中に呼び出される回数が減ったということだ。

「これまでは,週に一度くらいは,呼び出されていましたが,その多くが,運用管理ソフトウェアのバグだったのです」

JP1は,バグが極めて少ないことでも定評がある。エヌ・ケー・エクサの運用管理者は,運用管理ソフトウェアのバグのために,コンピュータセンターへ急行しなければならない負担から解放された。

24時間365日のミッション・クリティカルなジョブ運用を,がっちりと支えることのできたJP1。エヌ・ケー・エクサでは,今後,NKK以外の顧客に対するシステム・インテグレーションでも,安定稼働が実績として証明されたJP1を,積極的に提案していくつもりだ。

 
NKKの生産管理システムのアプリケーションの1つを動かすシステム構成イメージの説明図
 
 

USER PROFILE

株式会社エヌ・ケー・エクサ
本社 神奈川県川崎市幸区堀川町580番地 ソリッドスクエア東館
設立 1987(昭和62)年10月1日
資本金 12億5,000万円
売上高 408億円 (1998年度)
従業員数 1,564名
事業内容 1987年10月,NKKの情報システム部門が分離独立して,総合情報サービス会社として誕生。その後,日本鋼管システムサービス株式会社,NKKのエレクトロニクス事業を統合し,ビジネス分野からエンジニアリング,科学技術分野,ネットワーク,マルチメディア分野まで,サービスの拡充強化を進めながら,統合型ソリューションプロバイダーとしての地位を固めている。
URL http://www.exa-corp.co.jp/
  * 2002年1月1日より社名を「株式会社 エクサ」に変更しております。

 
この記事は、「日経コンピュータ」に掲載されたものです。
 

JP1の詳細については,ホームページをご覧ください。
 
* 会社名,製品名は,各社の商標もしくは登録商標です。
 
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