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Casestudy
日産火災海上保険株式会社
(現 株式会社損害保険ジャパン)
損害調査業務に使用する多様な帳票をEURで作成し業務の大幅な効率化を実現
日産火災海上保険株式会社(以下日産火災)では,自動車事故に関する保険金支払いの迅速化や事故処理情報のタイムリーな提供などを目的とした自動車新損害調査システム「ニックス」を平成11年6月から稼働させた。事故の場合に高品質なクレームサービスを提供することで,顧客満足度の向上を図るのがねらいである。このシステムを効率的に運用する上で役立っているのが,日立のエンドユーザー帳票作成機能
EUR(イーユーアール)
だ。多様な帳票類を自動作成することで,業務の大幅なスピードアップを実現している。
大競争時代を生き抜くために
新損調システムを構築
リスク細分型自動車保険の認可や外資系企業の相次ぐ参入など,自動車保険業界にも自由化・規制緩和の荒波が押し寄せている。コストやサービスに対する顧客の意識が高まる中で,生き残りを賭ける保険会社には「次の一手」が要求されている。
こうした状況に対応すべく,日産火災では「自動車新損調システム」の構築に着手した。
日産火災 自動車損害業務部 システム開発グループ課長 江澤 寿夫氏は「高品質なクレームサービスを提供し,顧客満足度の向上を図ることが重要な課題となっていました。そのためには損調業務の抜本的なBPRと,現場の業務を支援できるシステムが必要だったのです」とその背景を語る。
保険金支払いの迅速化や様々な情報の提供,そして現場スタッフのスキルを均質化できるようなシステムを構築することで,競争力の強化を図ったわけである。
約一年半の構築期間を経た自動車新損調システムは,「ニックス(Nissan Insurance Claim Service System)」と名付けられ,平成11年6月14日から運用を開始した。ニックスには社内ネットワークであるNiconetのPCが活用され,37台のサーバと約1,200台のクライアントで構成される大規模なクライアント/サーバシステムとなった。
システムが整備された結果,全国の拠点で顧客や代理店に対して事故処理の進捗状況などの情報を的確に提供できるようになった。また併せて事故保険金を迅速に支払うことも可能になっている。厳しい市場での競争を勝ち抜いて行く上で,このような環境がもたらす効果は計り知れないと言える。
自動車損害業務部 システム開発グループ 課長 江澤 寿夫 氏
EURで開発期間の短縮を実現
複雑な帳票も自由に作成可能
こうした損調業務の効率化を実現する上で,有効に利用されているのが日立のエンドユーザー帳票作成機能
EUR
である。
もともと損調業務には大量の帳票を利用するという特性がある。しかし従来の帳票はほとんど手書きであり,このことが業務の合理化・効率化を推進する上で大きな障害となっていた。事故に関する詳細情報なども担当者個人の属人的な情報となっており,有効に利用することが困難であった。しかも手書きの帳票では,単純な計算ミスなどがあった場合もチェックがしにくい。そこでこうした課題を解決すべく,EURを利用した帳票の自動作成に踏み切ったわけである。
EURが採用された理由はいくつかあるが,その一つには複雑な帳票をプログラムレスで作成できることが挙げられる。
システム部 システム課 副部長 半沢和紀氏は「項目や罫線の追加・変更作業が発生した場合も,EURなら即座に対応できます。メインフレーム系の帳票システムではこうした柔軟な対応は不可能でした。帳票設計の工程も大幅に短縮できますから,仕事のレスポンスも速くなっていますね」と満足げに語る。
ニックスのアプリケーションはVisual Basicで構築されており,帳票機能をVisual Basicで同時に開発することも可能であった。しかし損調業務に使用する帳票には,複雑な罫線やフォントが用いられる。これを逐一Visual Basicで開発するのは現実的ではない。これはCOBOLなどの言語を使用した場合も同様である。
その点GUIを使って帳票が作成できるEURなら,帳票作成に要する時間を大幅に短縮できる。しかも帳票のレイアウトやデザインに変更があった場合にも,プログラム本体を変えることなく即座に対応することが可能だ。
またシステム本体に帳票作成機能を組み込んでしまうと,バージョンアップなどの際に作業が煩雑になるという欠点がある。しかしシステムに外付けできるEURなら,システムの柔軟性を確保する上でも大きなメリットを発揮できる。
EURには動作に必要なリソースが少ないという特長があるが,このことも有効に働いた。業務を行っている最中には,ニックスを利用しつつさらに帳票業務を行うといったケースも想定される。しかし動作の軽いEURなら,こうした場合にも実行速度に影響を及ぼさずに済むというわけだ。
これ以外にデータ修飾機能が備わっているのでアプリケーション側でデータ修飾をする必要がない,サンプルデータを自動生成できるのでデータが準備されない段階からでも帳票定義が行えるといった点も,EURを利用するメリットとして挙げられている。
システム部 システム課 副部長 半沢 和紀 氏
帳票の電子化により手作業に
つきまといがちなミスを一掃
EURは全国110拠点・約800台のクライアントに導入されている。今回作成された帳票は全部で68種類。その内容も広範な領域にわたっており,社内外への報告業務に使用するもの,保険金の支払いに使用するものなどとバラエティに富んでいる。
帳票を作成する上で必要なデータは,仙台センターの部店サーバ・損調サーバで稼働するデータベースから引き出され,同じく日立のTPモニタ
OpenTP1
を利用してクライアントとの連携を行っている。またこれらのサーバは,日立の統合システム運用管理ソフトウェア
JP1
で管理されている。
このような環境を利用することで,帳票業務の大幅な効率化が実現した。自動車損害業務部 システム開発グループ 課次長 青柳 清一氏は「これまでの帳票はほとんどが手書きでしたから,帳票作成に要する時間が業務全体の進捗に大きな影響を及ぼしていました。しかしEURなら必要な情報だけを入力するだけで済みます。おかげで大幅なスピードアップが実現しました」と導入効果を高く評価する。
これまで属人的であった情報が,広く活用できるようになったという点でもメリットは大きい。かつては他人が書いた帳票を見ても内容がよくわからないというケースもあった。しかし現在では,記述内容が統一され,過去の事例を参考にしたい場合も容易に情報を検索し入手できる。帳票の電子化を図ったことで,ナレッジの共有化も果たせたのである。
自動車損害業務部 システム開発グループ 課次長 青柳 清一 氏
作成した帳票のFAX送信や
画像データの活用も可能に
代理店との情報交換を緊密にする上でも,EURは効果的に利用されている。例えば「事故受付票」などの帳票はFAXで自動送付することが可能であり,タイムリーな情報提供を行う上で役立っている。この点について青柳氏は「業務フローの効率化を推進する上で,非常に大きな効果を生んでいます」と説明する。
図版なども従来は手書きしたものをFAXしていたため,受け取った側が読みにくい場合があった。しかし現在ではこうした図版に関しても,スキャナで読み込んだデータを使用できるようになっている。
EURを導入したことで,従来業務の効率化に加えてこのような新たな試みも可能になったというわけだ。
システム構築に際しては,日立のサポートも大きな役割を果たした。
半沢氏は「当社のシステムはメインフレーム系も含めて日立中心で構築しています。これは日立の信頼性を高く評価しているからです。今回のシステム構築に関しても,日立のSEの底力を感じましたね」と語る。
江澤氏も「時代の流れに対応していくためには,システムに様々な改良を加えていく必要があるでしょう。日立には今後も先を見据えた提案をして欲しいと思っています」と期待を語る。
顧客満足度の向上を果たすためには,顧客への対応をどれだけ素早くできるかが重要になってくる。
日産火災はニックスとEURを活用することで,高品質なクレームサービスと迅速な対応を可能にするインフラの構築を実現したのである。
例:内払明細書
例:事故受付票
USER PROFILE
(1999年9月 現在)
日産火災海上保険株式会社
本社
〒107-8654 東京都港区北青山二丁目9番5号
創立
明治44年5月15日(1911年)
資本金
214.9億円(平成11年3月31日現在)
従業員数
4,116名 (平成11年3月末日現在)
代理店数
24,187店(平成11年3月末日現在)
営業網
部・室・支店89(部/48,室/3,支店/38)
支社・営業オフィス・事務所203(平成11年6月末日現在)
海外駐在員事務所17 (平成11年6月末日現在)
URL
http://www.sompo-japan.co.jp/
(日産火災海上保険株式会社は、2002年7月に株式会社損害保険ジャパンとなりました。)
■
EUR
,
OpenTP1
,
JP1
の詳細は,製品ホームページでご覧ください。
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会社名,製品名は,各社の商標もしくは登録商標です。
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