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Casestudy
(PDF版:79KB)
株式会社マイスターエンジニアリング
グループの企業戦略を支える新基幹システムを構築
業務の安定的な稼働をJP1で支える
施設メンテナンス事業、半導体製造装置関連事業、人材派遣業などを手がける株式会社マイスターエンジニアリング(以下、マイスターエンジニアリング)では、グループ全体のビジネス基盤を支える新基幹システムを構築した。関連各社の基幹情報を一元的に集約し、必要な情報を容易に引き出せる環境を提供することで、より戦略的なビジネスを推進するのが狙いである。重要な基幹業務を支えるだけに、新システムには万全の信頼が要求される。そこでグループのIT戦略を担う株式会社マイスターソリューション(以下、マイスターソリューション)では、日立の統合運用管理ソフトウェア「JP1」を導入。エンドユーザーの支援やサーバ/ネットワークの安定稼働などに役立てている。
独創的な事業展開で飛躍的な成長を遂げる
「M&E(メンテナンス&エンジニアリング)アウトソーシング」をコンセプトに、ビル・商業施設や半導体製造装置などのメンテナンス事業を手がけるマイスターエンジニアリング。高度な技術力と充実したサービスを背景に、数多くの顧客を獲得している。マイスターエンジニアリング営業本部取締役事業企画室長延近廣俊氏は「特に半導体製造装置の分野では、組み立てなど単純作業のアウトソーシングを行う企業がほとんどです。しかし当社では、持ち前の技術力を活かしてエンジニアリング業務を受託。この分野のリーディングカンパニー的な立場にあると自負しています」と力強く語る。
また同社は、独自の企業哲学に基づくユニークなビジネス展開を行っていることでも知られている。たとえば、グループの一翼を担う株式会社マイスター60(以下、マイスター60)の入社資格は、「年齢が60歳以上」であること。卓越した技術を持っているにもかかわらず、定年後に働く場所が見つからないという人も多い。マイスター60は、こうしたベテランの人材がもつ知識やノウハウを、もっと有効に活かすべきとのコンセプトから設立された。事業の社会的意義を高く評価され、大阪中小企業投資育成株式会社より設立投資第1号にも認定されている。
これまで施設や設備装置のメンテナンス事業は、その企業の保全部門や関連会社に任されるケースが一般的であった。そのため、採算性を考慮せず業務委託を行う傾向があった。しかし経済状況が厳しさを増す中で、サービスの内容とコストを冷静に見直す気運が次第に高まってきている。「市場での競争が激しくなるということは、当社にとっては逆に大きなチャンス。高品質なサービスとリーズナブルなコストを武器に、さらなる飛躍を目指したい」と延近氏は意気込みを語る。
株式会社マイスターエンジニアリング 営業本部
取締役 事業企画室長 延近 廣俊 氏
グループの基幹システムを全面的に再構築
同社では1999年に、グループ全体のビジネス基盤を支える基幹システムの再構築プロジェクトに着手した。その背景を、延近氏は「当社は東京・大阪の両本社制を採用しており、国内に100カ所以上の事業所を展開しています。ところが従来は本社・拠点のシステムがバラバラに稼働しており、重要な基幹情報がスムーズに集約できませんでした。このままでは連結決算やIR情報の迅速開示、会計情報の有効活用といった、今後のビジネス要件に対応することは不可能。そう考えて、基幹システムの再構築に着手したのです」と説明する。
たとえば従来の会計システムでは、各拠点で発行した伝票類を一度経理部門に集約。そこで仕訳などを行った後に、システムへの入力が行われていた。この方式では業務処理に長い時間がかかる上、人によって処理の判断基準が異なるという問題もある。そこで新システムでは、会計伝票の入力をすべて拠点で行い、経理部門では最終チェックだけを行う方式に変更。また人事システムのデータなどと連携させることで、決算に必要な財務会計のデータと、事業損益を判断する材料となる管理会計のデータの両方を、正確かつ迅速に出力できる環境を目指した。
システム構築を担当したのは、グループのIT戦略の企画・立案を担当するマイスターソリューションである。マイスターソリューション情報システム部係長末宗健一郎氏は「いくら機能的に素晴らしいものでも、エンドユーザーが使いにくいようなシステムでは意味がありません。新基幹システムの構築にあたっては、『これまでシステムに馴染みのなかったユーザーでも簡単に使えること』をテーマとして掲げました」と振り返る。
株式会社マイスターソリューション 情報システム部
係長 末宗 健一郎 氏
ユーザー支援に威力を発揮した「JP1」のリモート操作機能
新基幹システムでは、東京本社に主要な業務サーバを設置し、大阪本社や主要拠点とATMで接続。さらに約40カ所の拠点からは、INS 64によるダイヤルアップ接続でアクセスを行う構成が採られた。これほど大規模な基幹システムを、オープンシステムで構築するのはマイスターグループとしても初の経験。ここで特に問題となったのが、システムを利用するエンドユーザーをどうサポートするかということだ。「現場のスタッフがすべてパソコンやITに精通しているわけではないため、時には用語の説明からはじめなければならないこともありました」と末宗氏は語る。
少人数で効率的なシステム運用を行うためには、こうした問題を解消するツールが不可欠。そこで注目したのが「JP1/NETM/DM」のリモート操作機能である。同社ではSIパートナーである八洲電機株式会社の提案を受け、運用管理ソフトウェアとしてJP1を導入していたのだ。
末宗氏は「JP1/NETM/DMのリモート操作機能を利用すれば、ユーザーと画面を共有しながらサポートを行うことができる。専門用語の説明もいりませんし、ユーザーも即座に疑問を解消できます。サポート業務の効率を向上させる上で、非常に有効でしたね」と満足気に語る。
またもう一つ大きな効果を発揮したのが、JP1/NETM/DMの資源配布機能だ。マイスターソリューション情報システム部開発グループ佐々木和洋氏は「会計システムを利用する上では、取引先マスタや勘定科目など必要に応じて変更しなければならないデータが存在します。これを全拠点にCDROMなどで配布して、現地でインストールしてもらうのは大変です。しかしJP1/NETM/DMの配布機能によって、ボタン一つで更新が行える環境が実現しました」と説明する。
株式会社マイスターソリューション 情報システム部
開発グループ 佐々木 和洋 氏
拠点に設置されたサーバも一元的に監視
グループ全体の基幹業務を支える以上、システムダウンなどは絶対に許されない。そこで同社ではJP1/Cm2も積極的に活用。業務サーバ群やネットワークなどの異常を監視することで、システムの安定稼働を実現している。「運用管理専任のオペレータがいるわけではありませんから、ツールの使いやすさも大きな問題です。その点JP1はシステムの状態がGUIで簡単に確認できますので、少人数でも効率的な監視が行えます」と語る末宗氏。新基幹システムは本稼働以来大きなトラブルもなく、順調に稼働を続けているとのことだ。
2002年10月には、メンテナンスやエンジニアリング業務の研修・教育などを行う「ME技術センター」が新たにオープンしたが、ここに設置されるサーバも本社の運用管理サーバ上のJP1から一元的に監視している。
佐々木氏も「頻繁に行う作業はマクロ化して登録しておけるので、専門知識のないスタッフでも容易に作業が行えます。業務の標準化を図るという意味でも、JP1を導入した効果は大きかったですね。またJP1の資源配布機能にはファイルを自動的に圧縮する機能が備わっていますが、これも回線の細い拠点とデータをやりとりする上で大いに役立っています」とJP1のメリットを語る。
新基幹システムは無事カットオーバーを迎えたが、今後も給与系システムや情報系システム、各種の管理システムなど、さまざまな業務システムが構築される予定である。マイスターソリューションの役員も兼務する延近氏は「将来的には、当グループのノウハウを活かしたシステムを、外販できるようにしていきたい。もちろん基幹システムの安定稼働を支えるのも我々の重要な役目ですから、JP1にも大いに期待しています」と抱負を語った。
USER PROFILE
株式会社マイスターエンジニアリング
設立
1974年6月
資本金
5億3200万円
従業員数
576名
売上高
68億4500万円(2002年3月期実績)
事業概要
産業インフラ技術分野、都市インフラ技術分野、国際貢献技術分野の3分野において、メンテナンス&エンジニアリングに関わる総合アウトソーシング事業を展開。「至る処に主体となり、企業が担う使命に応え、善き家庭をつくり、善き会社をつくり、善き社会をつくる」を企業理念とする。
URL
http://
www.
mystar.
co.
jp/
株式会社マイスターソリューション
設立
2000年2月
資本金
1000万円
事業概要
マイスターグループのIT戦略を担う企業として2000年に設立。システム構築、運用管理、ソフトウェア開発などの受託業務を行っている。
PARTNER PROFILE
日立特約店
八洲電機株式会社
設立
1946年8月
資本金
8億円
売上高
850億円
事業概要
各種電機設備・産業用機器などの販売や、システムインテグレーション事業を手がける。今回のシステム構築ではマイスターグループのITパートナーとして多大な貢献を果たした。
URL
http://
www.
yashimadenki.
co.
jp/
この記事は、「日経コンピュータ」2002年12月16日号に掲載されたものです。
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JP1
の詳細は,製品ホームページでご覧ください。
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会社名,製品名は,各社の商標もしくは登録商標です。
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