KINDネットの運用管理システムを構築するにあたって,重要なポイントが3点あった。第1は,既存の監視システムとの連携である。
関西電力では,ネットワークセンターとコンピュータセンターの2ヶ所で通信と情報処理の状況を24時間365日,集中監視してきた。新しく導入するKINDネットの運用管理システムも,既存の監視システムと連携させたい。そうすれば,新たに監視のための人員を増やしたり,体制を変えることなく,KINDネットの24時間監視が可能になる。既存の監視システムとの連携をとることは,なかなか困難であったが,日立は,2系統の監視システムとのインタフェース用ソフトを開発,関西電力の期待にみごとに応えることができた。
「メインフレーム時代は,6,500台の端末を監視していました。現在は,これに1万8千台のクライアントと1,000台のサーバが加わり,4倍の規模になっているのに,監視人員はまったく増やしていません」と吉川氏は語る。
第2のポイントは,作業マスキングを実現したことだ。
「たとえば,プリンタの電源を切ったりしたときにいちいちアラーム表示されたら,ネットワーク全体はいつも警告だらけになってしまい本当の監視ができません。大規模なネットワークを集中監視するときには,末端まで見えるのはかえって困るのです」(情報通信室 情報企画グループ 副長 三辻一浩氏)。
対策は2つあった。まず,各端末の属性をIPアドレスで管理し,「このIPアドレスはプリンタだから監視情報を表示しない」といった端末ごとのマスキングを行う。また,計画工事や人事異動時の机の配置替えの場合は,作業エリアを定義して,一時的に指定したエリア内の監視情報を表示しないという作業マスキングも併用した。
「先日も,ネットワークセンターで検知した障害情報の分析により,PCサーバのBIOSの取り替えが必要だということを検知して,すぐに手を打てました。末端情報のマスキングがなければ,こうした重要な障害を早期発見することはできなかったでしょう」と三辻氏は強調する。
そして第3のポイントが,階層管理だ。ネットワークセンターおよびコンピュータセンターを頂点として,本・支店,営業所/発電所/電力所,さらには個別の事業所に至る下部レイヤを階層管理する。
「大規模ネットワークの監視には,階層管理が不可欠です。他の監視ソフトにはない機能ですが,日立は短期間でよく作り込んでくれました」(吉川氏)。
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