マルスの中心である座席在庫管理システム「SRS」に、何月何日何時にどの列車をどのように走らせるかというデータを入力するために、これまでJR各社は、紙の表に記入してJRシステムへ連絡していた。このデータを集約し手配書データベースを構築して「SRS」へ渡すのが、列車データ作成管理システム「ASTD」の重要な役目である。
従来は、台風などでダイヤに変更があると、JR各社からの発券保留依頼が集中し、JRシステムではメインフレーム接続端末への入力に追われることもあった。今回のシステム刷新により、JR各社はWebブラウザを搭載したパソコンからも入力できるようになり、さらにスピーディかつ正確な対応が今後可能となってくる。
新しい「ASTD」の中核となる手配書データベースには、日立のスケーラブルデータベース「HiRDB」が採用された。
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HiRDBは、ミッションクリティカルな分野で必要とされる信頼性、運用性、拡張性に大きな特長をもつ並列データベースである。「ASTD」では、この堅牢なデータベースを2台のホットスタンバイ構成にし、さらに可用性を高めている。
「増加の一途をたどるトランザクション量と、多様化するニーズに応えるために、優れた拡張性と柔軟性を有しつつも、高い信頼性を兼ね備えたHiRDBは強い味方です。また、既存のほかのシステムにおいて実績があり安心して導入できました」と古川氏は強調する。
さらにHiRDBは、64ビットアドレッシング対応を実現した最新のOSであるAIX 5Lを搭載したEP8000シリーズ、HAモニタ、Hitachi HA Booster Pack for AIXと組み合わせることにより業界最高レベルの可用性を実現した。万一システムダウンが生じても、わずか十数秒で高速にリカバリできるのである。 |