JP1の導入は、2000年8月、ソフトウェア配布から始まった。おりしも業務アプリケーションの一部を、UNIX からWindows(R)へ移行しており、格好のトライアルプロジェクトとなった。UNIX時代は開発者が配布ツールを自製していたのだが、JP1 の導入によりもはやそのような必要はなくなり、開発者の負担は激減した。結果、開発者は本来の業務である業務アプリケーションの開発に専念できる環境が整ったのである。
「ソフトウェア配布の際、対象クライアントの電源がOFF であっても、次回の電源ON時にインストールを開始している機能は高く評価しています。対象クライアントの数が数百台を超えると、ユーザー全員に配布時期を連絡し電源ON を徹底することは難しい。JP1は企業情報システムの運用実情に即した設計になっていると実感しました」と宇野義明氏(デンソーアイセム運用サービス部)は語る。
また、障害検知についても、JP1のイベント監視機能により何か異常が発生した際には、障害発生を自動検知し、監視要員へ自動通知するようになった。
監視要員は、即座にサーバ管理者、アプリケーション担当者に連絡し調査対応を依頼し、ユーザーから問合せがあったときには、その状況を説明するという体制が確立している。
同社では、管理を委託したいサーバをWeb 上で登録できるワークフローシステムを構築。続々とサーバの管理依頼の申請が管理センターに届いている。
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運用管理センター
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「開発者がサーバ管理にわずらわされず、本業に専念できる体制が整備できた」と小出氏は満足げにうなずく。
性能管理では、サーバのCPU、ディスクの使用状況をデータベース化し分析を行っている。
「サーバ・リソースのしきい値監視により、ディスク・オーバーフローの発生を“警戒レベル”で検知し、事前に対策を行うことで、システムダウンを未然に防止することができました。常に最新状況を把握することは、障害の未然防止、ハードウェアの最適利用を考えるうえでも重要です」と羽飼氏。 |