「JP1/PFM」は、次のような機能を持ったサーバ稼働管理ソフトウェアである。
まず、OSやアプリケーションの稼働情報を収集し、分析する。つまりUNIXやWindows(R)で構築された分散システム上のサーバ、データベース、各種アプリケーションのパフォーマンスを統合的に管理するのである。また、危険な状態になる前に、あらかじめ設定したしきい値を超えると、システム管理者へメールやアラームで通知したり、適切な対処を自動実行するコマンドを発行することもできる。そのため、問題を未然に防止し、ダウンタイムを最小限に抑えることができるのである。
また、稼働状況は自動的に記録され、サーバ、データベース、各種アプリケーションの稼働状況データを、分、時間、日、週、月、年単位で自動集計し、ログとして蓄積しておくことができる。
さらに、記録した稼働状況データは、分単位、時系列、日次、週次、月次、年次のレポートとして、HTML形式ファイルやCSV形式ファイルで出力できる。これらのレポートは、チューニングやシステムリソースの増設など、システムを快適に保つ対策を講じるうえで、欠かせない資料となる。長期的な稼働状況データを利用すれば、将来のシステムリソースの需要を予測したキャパシティプランニングが可能になり、現在のチューニングから将来の適切な投資計画・予算立案まで、的確に行えるのである。
アシストが、「JP1/PFM」を評価したポイントは3点挙げられる。
第1に、システム全体を多様な側面から監視して、総合的な可用性管理ができることだ。
「Oracleには専用のパフォーマンス管理ソフトがありますが、データベースだけ管理しても、システム全体の可用性を向上させるには不十分です」と、株式会社アシスト 情報システム部 主任 岡本 貴史氏は言う。
JP1/PFMは、稼働性能分析、サーバのパフォーマンス分析、サーバのシステムリソース管理、プロセス管理、サーバアプリケーション管理のほか、グループウェア連携部分の性能管理などの機能があり、多彩な視点でシステム全体の可用性を管理できるのである。
第2に、機能が豊富であるにもかかわらず、導入しやすく、運用も容易である。
「操作がシンプルでわかりやすいうえ、CPU負荷が低くて基幹サーバ自身に影響を与える心配がないのも大事なポイントでした」と岡本氏は言う。
また、JP1/PFMには、インストールしてすぐに監視が始められるテンプレートも豊富に用意されている。収集したパフォーマンス情報の中に、危険域や警告域のしきい値に達した情報を発見した際にシステム管理者へ通知する方法や、管理レポートの表示形式など、定義済みのテンプレートを利用すると、スピーディに設定できる。もちろん、テンプレートのカスタマイズも容易にできる。
アシストでは、日常的にJP1/PFMを立ち上げておいて、リアルタイムな状況をチェックしつつ、月単位と4ヵ月単位の長期的な分析にもログデータを活用している。
「日常の監視では、警告のメールが来た時点で直近のレポートをチェックしています。原因をすばやく特定することができますから、問題点がデータベースにあればチューニングし、問題点がアプリケーション側にあれば対策を施して、システムダウンやレスポンス低下を未然に防いでいるのです」(岡本氏)。
1ヵ月単位、4ヵ月単位のレポート分析では、年間を通じてのピーク状況をチェックし、今後の方針を見直している。現在では、日常は負荷30〜35%で推移し、ピーク時には60〜70%の日々が続くという正常値の範囲が把握できているため、問題が起きればすぐにわかるし、原因の特定も容易であるという。
「JP1/PFMがなければ、利用者から『レスポンスが悪い』といったクレームを受けて初めて問題が起きたことを知ることになるため、対策も後手後手になっていたでしょう。先手先手で対策を講じられるため、サービスレベルの向上につながっています」と石田氏は語る。
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