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2021年7月1日
事故リスク、漏水率の低減など、安全でレジリエントな社会インフラに貢献
本実証で活用する「漏水検知サービス」の概念図
株式会社日立製作所(以下、日立)は、このたび、福岡市において、日立独自の超高感度振動センサーを活用した水道管の漏水検知に関する実証実験(以下、本実証)に参画します。本実証は、福岡市が実施する、民間事業者のアイデアやIoT などの先端技術を活用して社会課題の解決をめざす「インフラテック(インフラ×テクノロジー)実証プロジェクト」*1において、そのテーマの一つである「IoTセンサ等を活用した水道管漏水調査」に日立が採用されたもので、2021年7月から実証を行い、成果を2022年3月までにまとめる予定です。
重要な社会インフラ基盤である上水道は全国的に高度経済成長期に集中的に整備されたものが多く、近年、水道管の老朽化に起因した漏水の発生が増加傾向にあり、断水や道路の陥没などの重大事故につながる可能性があります。こうした事故リスクや漏水率の低減を目的に、漏水の有無や場所を特定する漏水調査が行われますが、現在は熟練調査員が公道上の制水弁などに音聴機材を当てて漏水音を聞き分けて特定する方法が多く用いられています。しかし、今後経年劣化した水道管が増加する一方で、少子高齢化により熟練調査員は年々減少傾向にあり、従来の漏水調査方法では給水エリア全域の漏水調査には時間を要することから、IoTやデータ解析などの先進のデジタル技術を活用し、漏水検知の高度化・効率化を図るとともに、管路の更新計画を効率的に立案していく必要性が高まっています。
このような背景から、日立では、地中埋設インフラをデジタル技術により効率的に保守管理する「社会インフラ保守プラットフォーム」*2を用いたサービスの一つとして「漏水検知サービス」を開発し、このたび福岡市が募集する「インフラテック実証プロジェクト」に採用され、7月から実証実験を開始します。
「漏水検知サービス」は、漏水時に発生する微小な振動を日立独自開発の超高感度振動センサーで検知し、その振動データから漏水を判定する解析アルゴリズムを用いて漏水エリアを高い精度で迅速に特定するとともに、IoT通信*3を活用して遠隔監視が可能なサービスです。また、センサーは、低電力化を実現する回路技術により、内蔵バッテリーのみで約5年間稼働するほか、センサーに磁石が内蔵されており、容易に設置可能です。これにより、熟練技能に依存しない漏水判定の均質化と継続的な遠隔監視が可能となり、漏水の早期発見による事故リスクと漏水率の低減、管路の維持管理業務の高度化・効率化を支援します。
本実証では、福岡市内の地下街周辺や線路・幹線道路に跨る管路にセンサーを設置し、都市部における性能検証を行うとともに、地元の漏水調査会社と連携し、「漏水検知サービス」による漏水エリアの絞り込みから漏水確定までのプロセスや精度について従来手法との比較・検証を行います。
また、「漏水検知サービス」で得たデータに加え、管路属性データ(管種、口径、敷設年数など)、漏水実績データなどのデータを活用した管路状態評価のシミュレーションを実施して、漏水調査の重点エリアを選定するなど、維持管理業務の高度化・効率化に向けた検証も行います。
日立では今後、本実証で培ったノウハウを活用し、「漏水検知サービス」を水道事業者向けLumada*4ソリューションとして早期実用化を図るとともに他自治体に展開することで、安心・安全かつレジリエントな社会インフラの実現に貢献していきます。そして、水総合サービスプロバイダーとして、長年培った水事業におけるOT*5およびプロダクトの実績・ノウハウに、多様な分野での豊富な実績と知見を持つITを組み合わせて、上下水道事業を担うお客さまが抱える課題解決への貢献を通じて、社会価値、環境価値、経済価値の向上をめざしていきます。
日立は、IT(Information Technology)、OT(Operational Technology)およびプロダクトを組み合わせた社会イノベーション事業に注力しています。2020年度(2021年3月期)の連結売上収益は8兆7,291億円、2021年3月末時点で連結子会社は871社、全世界で約35万人の従業員を擁しています。日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション/サービス/テクノロジーであるLumadaを通じて、IT、エネルギー、インダストリー、モビリティ、ライフ、オートモティブシステムの6分野でお客さまのデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速することで、社会価値・環境価値・経済価値の3つの価値向上に貢献します。
株式会社日立製作所 水・環境ビジネスユニット
以上