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2018年5月14日
株式会社日立製作所
東レ株式会社
日本の先進技術で、約20%の省エネ化と、建設コスト低減をめざす
株式会社日立製作所(執行役社長兼CEO:東原 敏昭/以下、日立) と東レ株式会社(代表取締役社長:日覺 昭廣/以下、東レ)は、このたび、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(理事長:石塚 博昭/以下、NEDO)による「エネルギー消費の効率化等に資する我が国技術の国際実証事業」の枠組みにおける「省エネルギー型海水淡水化システムの実規模での性能実証事業(サウジアラビア王国)」を受託し、NEDOと委託契約を締結しました。日立と東レは、今後、サウジアラビア王国(以下、サウジアラビア)のウムルジにおいて、サウジアラビア海水淡水化公社(Saline Water Conversion Corporation/以下、SWCC)と連携して、省エネルギー型海水淡水化システムの実証設備の設計・建設・運転を行い、早期実用化に向けた性能検証とビジネスモデルの検討を進め、同国および周辺国への展開をめざします。実証事業期間は2018年4月から2023年3月の約5年間の予定です。
サウジアラビアは、国土の大部分が年間降水量100mm未満の乾燥地帯であり、水資源が不足しています。そのため、生活用水の多くは海水淡水化に依存しており、淡水生産量は世界最大規模である一方、海水淡水化を行うための消費エネルギーが大きいことが課題となっています。また、多くの海水淡水化プラントは、老朽化に伴う更新時期を迎えているとともに、長期政策方針「サウジアラビア・ビジョン2030」*1に基づく工業化の進展や人口増加により引き続き水需要が高まると予測されており、今後も大型海水淡水化プラントの新設・更新が計画されています。こうした中、SWCCが、日本の省エネルギー技術に関心を示し、日本政府関係機関の協力のもと、サウジアラビアにおいて実証事業を行うことになりました。
本実証事業では、サウジアラビアの紅海沿岸に位置する都市ウムルジに造水能力10,000m3/日*2の省エネルギー型海水淡水化システムの実規模実証設備を新設します。本実証設備には、2009年度から2013年度に内閣府の研究開発事業「最先端研究開発支援(FIRST)プログラム*3」で確立した「Mega-ton Water System」の成果をベースに、日立が開発した低圧多段高収率*4海水淡水化システムと、東レが開発した低圧海水淡水化RO*5膜を適用します。低圧多段高収率海水淡水化システムは、RO膜ベッセル(筒状の圧力容器)の配置を多段にし、供給水流量・圧力を制御して透過水量を平準化することにより、RO膜の性能を最大限に引き出して、高収率を実現するとともに、エネルギー回収装置を適用することで、ポンプの動力エネルギーを低減します。また、低圧海水淡水化RO膜は、低圧運転でも高い塩除去率を実現します。これらの技術により、従来のRO膜法の海水淡水化プラントと比較して約20%の省エネルギー化*6をめざします。さらに、原海水量の低減に伴う前処理設備の容量縮小により、建設コストの低減*7を図っていきます。
なお、日立と東レは、2016年12月から、小型プラントを用いた実証試験(造水能力:500m3/日)をアラビア湾沿岸に位置する都市アルジュベールのSWCC研究サイトにて、実施しています。
日立と東レは、日立の有する水処理エンジニアリング力と、東レが有する水処理膜技術の両社の強みを結集して省エネルギー型海水淡水化システムの実証・実用化に協力して取り組み、サウジアラビアをはじめ中東地域の水問題解決に貢献していきます。
以上