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2017年4月17日
マテリアルズ・インフォマティクスに基づく材料開発の効率化に貢献
株式会社日立製作所(執行役社長兼CEO:東原 敏昭/以下、日立)は、このたび、大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構(機構長:山内 正則/以下、KEK)向けに、磁性材料内部の磁気構造に関する大量のシミュレーションデータや量子ビーム実験*1データをナノメートル*2レベルの精度で詳細に解析およびWebブラウザ上で3次元表示が可能な「磁性材料データベース可視化システム」の開発を支援しました。本システムはKEKにおいて3月上旬から利用開始されました。
本システムは、一種類の材料あたり約150億件、7テラバイトにものぼる磁性材料内部の磁気構造のシミュレーションデータを高速に解析・可視化します。これにより、磁性材料の高性能化につながる要因の予測や特定が可能となるなど、材料特性の向上につなげることができます。実際の材料を用いた実験を行う前に予備的な分析ができるため、実験回数や関連コストを削減するなど、材料開発の効率化に貢献します。
従来、新たな材料の開発は、専門家の知見・経験や理論に基づき作製と実験を繰り返す手法が一般的でしたが、近年では、コンピュータ解析により材料開発の指針を見出すマテリアルズ・インフォマティクス(Materials Informatics)が注目されています。KEKは、さまざまな磁性材料の特性を把握する手がかりとなる、磁性材料の磁気構造に関する放射光*3や中性子*4などの量子ビーム実験データおよびシミュレーションデータなどを蓄積しており、これを活用して革新的な材料開発を加速すべく、マテリアルズ・インフォマティクスに注力しています。
本システムは、磁性材料の内部の磁気構造をスーパーコンピュータなどでシミュレートした大量のデータを読み込み、時系列順に3次元画像で表示します。磁性材料開発では、マイクロメートル*5サイズの材料組織構造をナノメートルのレベルで解析する必要があるため、これらのデータは、一種類の材料あたり約150億件、7テラバイトにものぼります。従来のシステムでは、これらの大量データを解析・可視化するのに多くの時間がかかるため、約150億件のデータの平均値など大まかな統計量を利用していました。本システムには、日立の高速データアクセス基盤「Hitachi Advanced Data Binderプラットフォーム」*6、データ統合・分析基盤「Pentahoソフトウェア」、「GeoMation 地理情報システム」*7やOSS*8を活用したことで、すべての大量データを迅速に処理・可視化することを可能としました。
また、本システムでは、量子ビーム実験で得られたデータについても可視化・解析できるため、ある磁性材料がそのシミュレーションデータと同様の磁気構造を持っているか否かを評価することができます。同様の磁気構造を持つ場合、実験を行う前にシミュレーションデータを活用して材料開発の検討を行うことができます。これにより、電気自動車やハイブリッド自動車など次世代自動車向けのモーターに用いられる高性能磁石といった、新たな磁性材料の開発の効率化に貢献します。
日立は、今回のプロジェクトで培ったノウハウをIoTプラットフォーム「Lumada」のユースケースとして、マテリアルズ・インフォマティクスによる先進的な材料開発を支援するソリューションの開発を加速するとともに、素材メーカーなどへの提供を推進していきます。
株式会社日立製作所 公共社会ビジネスユニット 公共システム営業統括本部
カスタマ・リレーションズセンタ [担当:西本]
〒140-8512 東京都品川区南大井六丁目23番1号 日立大森ビル
以上