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2017年3月7日
IoT社会における大規模システムでの活用をめざす
株式会社日立製作所(執行役社長兼CEO:東原 敏昭/以下、日立)は、システム同士をリアルタイムに協調させ、自律的に行動を調整し決定することを繰り返すことで全体最適を実現する、自律分散制御技術を開発しました。本技術は、データを一箇所に集約し、システム全体を最適化するための計算を行う中央制御方式(図1)と異なり、最適化の処理を個々のシステムに分散させる方式のため、制御対象の増加や、想定外の環境変動にも柔軟に対応可能です。今回、本技術を生産管理システムに適用した工場群のプロトタイプ環境を構築し、工場全体の総利益の変化を測定したところ、中央制御方式の場合と同等の利益を50倍速く達成できることを確認しました。
今後、日立は本技術をさらに発展させ、IoT社会における大規模システムでの活用をめざします。
近年、電力や交通、物流などの社会インフラシステムは、IoTの進展に伴い、大規模化、複雑化が進んでいます。現状、例えば多数の発電所や変電所からなる大規模な電力インフラでは、発電量などのデータを集中制御センターに集約して計算を行い、各所に送電や配電指示を戻す、中央制御型システムで運用されています。しかし、今後スマートグリッド(次世代電力送電網)の普及や電力自由化の施行に伴い運用が複雑化すると、中央制御型システムによる全体最適化には非常に大きな計算負荷がかかり、リアルタイムな対応が困難になる可能性があります。
そこで日立は、中央制御方式ではなく、個々のシステム同士で行動を調整し、決定することで全体最適を実現する、自律分散制御技術を開発しました。本技術では、以下の行動を繰り返し行うアルゴリズムを、個々のシステムに導入します。
今回、本技術の効果を検証するため、生産管理システムを導入した16個の工場を模擬したプロトタイプ環境を構築しました。この生産管理システムでは、連携する工場同士が生産効率についてのデータを交換した上で、生産性の高い工場に対し増産、低い工場に対し減産を行うように要求し合い、生産計画を決定します(図2)。本プロトタイプ環境で、工場全体の利益の変化を測定したところ、中央制御方式の場合と同等の利益を50倍速く達成できることを確認しました。
今後、日立はAI(人工知能)の活用やオープンイノベーションなどを通じて本技術をさらに発展させ、人や環境に合わせて自律的に動作する社会システムを構築することで、IoT社会の実現に貢献していきます。
本成果の一部は、2017年3月6日〜9日に岡山大学で開催される「SICE International Symposium on Control Systems」で発表予定です。
株式会社日立製作所 研究開発グループ 研究管理部 [担当:小平、安井]
〒185-8601 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地
電話 : 042-323-1111(代表)
以上