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2015年9月16日
高信頼な製品設計を支援する高度データ分析技術を搭載
株式会社日立製作所(執行役社長兼COO:東原 敏昭/以下、日立)は、風力発電設備や鉱山機械など現場で稼働しているインフラ製品の稼働状態や動作環境の計測データをもとに、量産機や次期開発機の信頼性向上を実現するアナリティクス基盤を開発しました。本アナリティクス基盤を用いて製品の故障に対する安全裕度*1や余寿命を分析し、分析結果を量産機や次期開発機の製品設計に反映することで、様々な環境において、安定して稼働する高信頼なインフラ製品の開発を実現します。
風力発電設備や鉱山機械など現場で稼働するインフラ製品は、風の強さや走行状況などによって製品に与える影響が現場ごとに異なるため、使用環境が製品の信頼性に大きく関わります。そのため、安定して稼働する高信頼な製品を開発するには、稼働状態や動作環境の計測データを大量に収集して分析し、製品設計に反映することが求められています。しかしながら、大量のデータを収集するには、計測に必要なセンサーを多数設置する必要や、センシングされたデータを収集するためのネットワーク回線を十分に確保する必要があり、高精度な分析を行うことはこれまで困難でした。また、高度なスキルを持った特定のエンジニアが分析を担当していたため、分析技術や分析結果の共有が難しいという課題がありました。
そこで日立は、設計時にエンジニアが使用する数式やシミュレーションなど、これまでのモノづくりで蓄積した知識を活用した高度データ分析技術を核にしたアナリティクス基盤を開発しました。今回開発したアナリティクス基盤を用いることで、未計測のデータを推定・分析することができ、安定して稼働する高信頼なインフラ製品の開発を実現します。また、高精度な分析を自動的に行うことができるため、従来よりも多くのエンジニアが分析業務を行うことができ、分析結果を速やかに製品設計に反映することを可能にします。
今回開発したアナリティクス基盤の特徴は以下の通りです。
設計時にエンジニアが使用する数式やシミュレーションを活用した高度データ分析技術を開発しました。現場で稼働しているインフラ製品から計測したデータを、高度データ分析技術をソフトウェアにした高度分析ライブラリと過去に様々な環境下で収集された計測データや分析結果が詰まったデータベースにアクセスして分析を行い、未計測のデータを推定し、安全裕度や余寿命を評価します。ベイズ統計*2を用いて、シミュレーションで得た値と実際に計測した値との誤差を明らかにし、その誤差とシミュレーションの計算結果を合算することで、未計測データの推定値を自動的に導き出します。
ユーザはWebブラウザのGUIを使用して分析を行います。したがって、本アナリティクス基盤を使用するために新たなデータ分析用アプリケーションをインストールする必要はありません。クラウド上で24時間稼働しているため、Webブラウザを介していつでも利用でき、一元管理で分析技術、分析結果の共有を可能にします。
開発したアナリティクス基盤の有効性を検証するため、実稼働する風力発電設備から計測データを収集し、分析しました。その結果、2か所に設置したセンサーで計測したデータから約30か所の安全裕度や余寿命を評価することができ、分析結果を量産機や次期開発機の設計に反映することができる見通しを得ました。
日立は、本アナリティクス基盤の活用範囲を広げ、安定して稼働する高信頼なインフラ製品の開発を実現し、安全、安心な社会インフラの構築に貢献していきます。
ビッグデータを設計に活用するためのアナリティクス基盤
株式会社日立製作所 研究開発グループ 技術統括センタ 情報企画部 [担当: 鈴木、黒澤]
〒319-1292 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号
電話 0294-52-7508 (直通)
以上