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2015年7月30日
情報の可視化と業務の標準化により設備稼働率の向上とコスト低減を実現
株式会社日立製作所(執行役社長兼COO:東原 敏昭/以下、日立)は、このたび、企業の製造設備やプラントに関する保全管理業務の効率性を向上し、企業設備管理の最適化を実現するソリューション「Hitachi Enterprise Asset Management」(以下、Hitachi EAM)を、7月31日から販売開始します。
Hitachi EAMでは、企業の製造設備やプラントに対する予防保全業務における計画策定、意思決定ならびに点検作業を支援するソリューション「Hitachi EAM for Asset Reliability」と、火力発電プラントにおける設備管理システム導入を支援するソリューション「Hitachi EAM for Thermal Power Plant」を提供します。Hitachi EAMを導入することで、設備資産に関する情報をシステム上で一元的に可視化するとともに、熟練技術者の属人的な知見に依存しがちな予防保全業務を標準化し、漏れなく無駄のない正確かつ効率的な保全管理を行うことが可能となります。これにより、設備稼働率の向上とコスト低減を実現します。
近年、先進国の企業では製造設備、石油・化学プラントや発電プラントの老朽化が進み、増加する保全・補修コストの抑制や稼働率向上に向けた設備管理の効率化が、重要な経営課題となっています。
一方、IoT(Internet of Things)やM2M(Machine-to-Machine)などの技術革新に伴い、センサーを利用した設備稼働状況の監視や故障の予兆検知が普及し始めているものの、設備の予防保全業務の現場では、異臭・異音・サビの程度や補修の要否判定など、熟練技術者の長年の経験に基づく高度な判断が必要になります。しかし、特に日本国内では高度な能力を持つ技術者の高齢化が進む中、業務ノウハウの喪失が懸念されています。
こうした中、設備管理にかかるコストを抑制しながら予防保全業務を正確・効率的に遂行し、設備の稼働率を維持・向上するためのソリューションへのニーズが高まっています。
今回新たに販売を開始するHitachi EAMは、日立が長年にわたり培ってきた社会インフラや産業機器、ITに関する知識と経験、さらには設備管理業務に関するグローバルな動向を踏まえ、設備管理に関する情報の可視化と業務プロセスの標準化を行うことで、予防保全業務の正確かつ効率的な計画策定、意思決定ならびに点検作業を支援するものです。
製造設備および各種プラント向けの「Hitachi EAM for Asset Reliability」は、4つのツールからなります。既存の設備資産管理システムに追加するだけで、製造設備および各種プラントに関する予防保全業務の計画策定、意思決定、点検作業の高度化を実現します。各設備に適した保全作業の頻度や重要度の分類、補修の要否判定など、意思決定にあたって熟練技術者の知見が必要な要素をソリューションに組み込むとともに、タブレット端末を用いた作業結果の記録などを可能としました。火力発電プラント向けの「Hitachi EAM for Thermal Power Plant」では、企業の設備資産管理システムとして広く利用されている「SAP® EAM設備資産管理ソリューション」を活用し、発電プラントの設備管理業務に関する欧米の関連ガイドラインなどの内容を踏まえて開発したテンプレートにより、迅速な設備管理システム導入を支援します。
日立は、スマート情報分野における製品・サービス群をIntelligent Operations(インテリジェント オペレーションズ)として体系化しています。Hitachi EAMは、施設・設備向けソリューション「Intelligent Operations for Facilities」の中核となるソリューションとして機能拡充と製造業を中心としたお客さまへの提供を推進し、企業における設備資産管理の全体最適化に貢献していきます。
「Hitachi Enterprise Asset Management」の構成イメージ
既存の設備・資産管理システムに追加して利用する4つの個別ツールにより、製造設備および各種プラントに関する予防保全業務の計画策定、意思決定、点検作業を支援します。開発にあたっては、日立のプラント保全業務経験者の知見と外部有識者などに対する調査結果を踏まえ、予防保全業務に共通する課題を抽出するとともに、日立グループ内で使用してきた点検ツールを応用するなど、熟練技術者の知見が必要な要素をシステムに組み込みました。これにより、業務の可視化と標準化を実現しました。
個々の設備の重要度や予防保全の優先度に関する判断を支援するツールです。予防保全業務の現場では、各設備の重要性を分類し、点検の対象設備や必要な頻度を評価・判断する際、技術者の長年の経験に基づいて属人的に行うことが多く、その根拠の可視化と知見の蓄積が困難な状況にあります。本ツールでは、保全管理業務担当者がこのような評価・判断を正確かつ容易に行うことができるよう、質問シナリオを提供し、判断根拠の可視化を実現します。これにより、業務の属人性や思い込みを抑制するとともに、継続的な業務改善を行うことが可能になります。
保全計画の策定と継続的な最適化を支援するツールです。ある機器が故障した場合、類似した機器についても保全頻度を増やすなど、設備全体の保全計画を見直す必要があります。本ツールは、故障した機器の重要度や利用頻度などの設定を修正することで、類似した機器と合わせて保全作業の頻度やその内容に関する設定も半自動的に変更するなど、機動的な計画策定・変更を支援します。これにより、設備の保全計画全体を容易に最適な状態に調整することができます。
設備の信頼性に関する指標を算出・可視化することで、保全計画の策定・見直しに関する意思決定を支援するツールです。
各機器の信頼性(壊れやすさ)を適時に測定できれば、優先的に保全作業を行うなど適切な対応を取ることができます。しかし、作業員が膨大な機器のすべてについて正確な判断を行うことは困難であり、センサーなどを活用したリアルタイム監視も、その効果が期待できる機器は限られています。本ツールは、機器の重要度や法律で定められた定期点検の有無といった機器に固有の情報と、運転時間や予防保全結果といった日々変化する情報を分析し、設備信頼性指標(Asset Reliability Indicator : ARI)を算出します。
設備点検業務をタブレット端末の活用により支援するツールです。IoTやM2Mなど機器の点検の自動化を支援する技術が発達しても、異臭・異音・サビの確認など、作業員の五感に基づく点検は不可欠です。一方、手作業での点検にあたっては正確性の確保に加え、コスト低減の観点から効率的に行う必要があります。
本ツールは、日立グループ内の製造現場で実際に使用してきたタブレット端末専用の点検ツールを応用し、点検作業における対象機器の誤認識や作業漏れを防止するとともに、作業効率の向上を可能とします。具体的には、機器に貼り付けたバーコードで点検対象機器の情報を読み取り、作業計画や具体的な手順、過去の履歴などをアプリケーション上に表示するとともに、作業結果を記録することができます。
火力発電プラントにおける設備管理システムの迅速な導入を支援します。今回、企業の基幹システムとしてグローバルに利用されているSAP® ERPのプラント保全向けモジュール上で動作する、業務プロセスのテンプレートを開発しました。このテンプレートは、欧米の原子力分野を中心とした発電プラント業界で策定されたガイドラインや設備管理モデルを活用したもので、導入の際には既存の業務プロセスに適合するよう、追加のカスタマイズを行うことが可能です。これにより、設備管理、作業管理、契約管理、在庫管理、調達管理といった各業務機能の統合管理を実現します。
名称 | 価格*1 | 提供開始時期 | |
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Hitachi EAM for Asset Reliability | |||
設備データメンテナンスツール:ADM | 10万円/ユーザー・年 | 2015年8月5日 | |
設備保全計画ツール:ASM | 30万円/ユーザー・年 (ASMとARMのセット提供) | 2015年10月 | |
設備状態管理ツール:ARM | |||
設備点検管理ツール:AIM | 5万円/ユーザー・年 | 2015年8月5日 | |
Hitachi EAM for Thermal Power Plant | 26万円/ユーザー・年*2 | 2015年10月 |
株式会社日立製作所 情報・通信システム社 スマート情報システム統括本部
サービスプラットフォーム本部 [担当:嵩]
〒108-8250 東京都港区港南2-18-1 JR品川イーストビル
以上