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2015年3月23日
従来比1/3となる可動部質量の大幅軽量化により、
加減速時の消費電力65%削減と加速度4.3倍化を達成*2
株式会社日立製作所(執行役社長兼COO:東原 敏昭/以下、日立)は、このたび、新方式の磁極対向型リニアモーターを開発し、モーターの加減速時に消費電力を65%削減するとともに、従来比4.3倍となる加速度1,670m/s2(170G、G:重力加速度)を達成しました。これは、モーターの駆動部分となる可動部の永久磁石を電磁石で挟み込む磁気回路構造を採用し、従来比1/3となる可動部質量の大幅な軽量化と磁力の有効利用により実現したものです。この技術を工作機械や半導体製造装置に適用し、消費電力の削減と生産性の向上につなげていきます。
近年、地球温暖化などの環境対策への取り組みとして、産業分野における機器の消費電力削減とともに、生産性向上に向けた駆動装置の高速・高加速化のニーズが拡大しています。特に、工作機械や半導体製造装置などにおいては、消費電力削減や高速・高加速駆動が望まれており、それらを実現するリニアモーターの採用が進んでいます。
リニアモーターは、可動部の永久磁石に向かい合っている電磁石のN極とS極を連続で切り替え、永久磁石が電磁石に対して反発と吸引を繰り返すことで、直線方向に運動します。従来のリニアモーターは、片側にある電磁石の磁力により可動部の動力となる推力*3を得ていました。リニアモーターの推力を向上するには、可動部の永久磁石と電磁石の対向面積の増加により、より多くの磁力が互いに作用することが必要です。しかし、可動部がより大きな磁力を受けるようになると、強度を確保しなければならず、可動部質量を増加する必要が生じるため、加速度性能の向上に限界がありました。また、可動部質量が増加すると、動作に必要となる推力を得るための、消費電力が大きくなる課題がありました。
そこで、日立は高加速・高速度化と省エネ化を実現する「磁極対向構造」と「多段可動部構造」を用いた新方式リニアモーターの試作機を開発しました。試作機では、可動部質量が従来比1/3となる大幅な軽量化を実現し、試作機による実証試験では、短ストローク(約200mm)駆動において、従来のリニアモーターと比べ、加減速時の消費電力65%削減、4.3倍の加速度1,670m/s2(170G、G:重力加速度)と最大速度14.0m/sを達成しました。開発した技術の特長は以下の通りです。
今後は、さまざまな仕様に対応する駆動システムの構築を進め、産業機器への適用を推進していきます。なお本技術は、2015年3月24日に東京都市大学において開催される「平成27年 電気学会全国大会」にて発表予定です。
図1 開発したリニアモーター
図2 従来方式と新方式のリニアモーター比較図
株式会社日立製作所 日立研究所 企画室 [担当: 鈴木]
〒319-1292 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号
電話 0294-52-7508 (直通)
以上