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2014年11月4日
工期の短縮や作業の安全性向上に貢献
株式会社日立製作所(執行役社長兼COO:東原 敏昭/以下、日立)は、大規模なプラントの施工や保守工事において、配管や機器などの大型部品をプラント建屋内へクレーンで搬送するための経路を、高速に自動計画するシステムを開発しました。本システムは、大規模プラント建屋の3Dモデル上で、搬入開始地点と部品の設置・交換場所となる搬送終了地点を指定するだけで、搬送する部品と建物との衝突を回避し、クレーンでの作業効率に配慮した、搬送に最適な経路を1分以内に自動探索します。本システムにより、搬送経路を計画する時間を大幅に短縮でき、工期の短縮に貢献するとともに、建物や障害物との衝突リスクを低減することで、作業の安全性向上に寄与します。
今後は、台車を使った搬送など、本システムで対応できる搬送方式を増やすなど、システムの拡充を図り、原子力発電所の廃炉作業における部品搬出経路の計画策定に適用する予定です。
これまで、火力発電所などの大規模なプラントの施工や保守工事において、配管や機器などの大型部品をクレーンを使ってプラント建屋内に搬送するための経路計画は、設計者がプラントの設計図となる3D-CADを参照しつつ手作業で策定していました。60万点におよぶ大量の構造物が複雑に配置されている大規模プラントでは、1つの搬送部品の経路計画に半日以上の時間がかかっていました。また、実際の作業現場では、搬送中に大型部品の姿勢を変える際、障害物との衝突を起こすことが多く、大型部品を分割する作業など手戻りが多く発生することが課題となっていました。
そこで、日立は、CADなどで作成したプラント建屋の3Dモデル上から、搬入開始地点と搬送終了地点を指定するだけで、搬送する部品と建物との衝突を回避し、大型部品の搬送に最適な経路を高速に探索できるシステムを開発しました。プラント建屋内での部品の方向転換やクレーンの吊り上げによる姿勢変化を考慮した経路探索技術に、画像処理などに使われ、高速演算が可能なGPGPU*1(General-Purpose computing on Graphics Processing Units)を組み合わることで、部品点数60万点に及ぶ大規模プラント建屋内へ大型部品を搬送する経路を1分以内に探索することを実現しました。この経路探索技術は、プラント建屋の3Dモデルの中で、部品を方向転換する際などの姿勢変化による建物との干渉を考慮し、大型部品が通過することができる空間をすべて探索した上で、クレーンの乗り換え回数を減らすなど、大型部品を最も効率よく搬送できる経路を見つけ出します。
本システムは、現場における作業支援として、搬送経路計画時には3Dモデル上になかった予期せぬ障害物に対応するため、作業効率が低下しないルートで複数の代替経路を算出することができます。また、算出した経路は、動画や地図形式の作業指示書として現場へ提供できます。
日立は、本システムを実際のプラント部品交換作業で試行し、搬送作業工数を手作業による従来方式に比べて、25%低減できることを確認しました。
今後、台車を使った移動など、本システムで対応できる搬送方式を増やすなど、システムの拡充を図り、今後実施が見込まれる原子力発電所の廃炉作業での搬出経路の計画策定に適用していきます。
本システムに関する技術は11月4日に英国で開催されるTESCONF(Through-life Engineering Services Conference)で発表します。
株式会社日立製作所 横浜研究所 企画室 [担当:吉田]
〒244-0817 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地
電話:050-3135-3409 (直通)
以上