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2014年6月9日
インメモリ型分散KVS技術を活用し、システムの「無停止化」、「高速化」、「シンプル化」を実現
株式会社日立製作所(執行役社長兼COO:東原 敏昭/以下、日立)は、このたび、通信事業者や、証券会社をはじめとした金融機関、鉄道事業者や電力会社といったミッションクリティカルな社会インフラ企業向けの通信システムにおいて、ビッグデータのリアルタイム高速処理を実現する「拡張型メッセージキューソリューション」を開発し、これらのユーザー企業およびシステム開発ベンダー向けに、2014年6月10日から提供を開始します。
近年、通信速度の向上やスマートデバイスの急激な普及、映像などリッチコンテンツの利用拡大にともないデータ容量が増大する中、エンドユーザーの通信システム品質に対する要望、サービスの継続性、高速性へのニーズがますます高まっており、大量のメッセージを超高速に処理できるメッセージ配信性能の向上が求められています。
従来、基盤となる通信システムにおいては、相手先の処理終了を待つことなく次の処理を開始できるデータ交換方式「メッセージ・キューイング」を採用し、メッセージの配信処理を担うメッセージングサーバが、受信したメッセージを一度「キュー」と呼ばれる格納領域に蓄積してから順次配信処理を行うことで、システムへ流れる情報量の平準化や、即時応答を実現してきました。一方で、現状の「メッセージ・キューイング」を採用した既存システムにおいては、「キュー」へ情報を蓄積する際に、外部ストレージを利用する形態が主流となっており、外部ストレージへの大量のアクセスが、さらなる配信性能向上を図る上でのボトルネックとなっていました。
これらの課題に対し、今回、日立は、インメモリ型分散KVS*1技術*2を採用して、社会インフラ企業などのミッションクリティカルな通信システムにおけるビッグデータのリアルタイム高速処理を実現する「拡張型メッセージキューソリューション」を開発しました。本ソリューションでは、外部ストレージを介さず、内蔵メモリ上に「キュー」を配置して処理を行うことで、高速メッセージ処理基盤を実現します。また、今回新たに開発した、KVS冗長化制御やインメモリキュー管理の効率化を図るミドルウェア「拡張型メッセージキュー(Advanced Message Queue/以下、AMQ)」の活用により、高い信頼性を確保しつつ大量トラフィックを高速処理する超高速メッセージ処理基盤の構築が可能です。
本ソリューションにより、膨大なデータを処理するミッションクリティカルな社会インフラ向けの通信システムにおいて、通信データ量の増加によるサービス停止やスローダウンを回避する「無停止化」、データのインメモリ分散配置によるテラバイト(TB)やペタバイト(PB)級の大量データ処理の「高速化」を図ります。また、サービスの多様化にともなうシステムの複雑化や運用コスト増大、システム拡張性にも対応したシステムの「シンプル化」を実現します。
日立は、本ソリューションを通信事業者や、証券会社をはじめとした金融機関、鉄道事業者や電力会社といったミッションクリティカルな社会インフラ企業向けの通信システムとして提供するとともに、今後、M2M(Machine to Machine)に代表されるビッグデータ処理基盤への活用を図るなど、ソリューションを強化していきます。
本ソリューションでは、消失できないメッセージやデータの複製を複数サーバのメモリ上に分散して格納するKVS構成(KVSデータクラスタ)とすることで、障害時の稼働系から待機系への切り替えに起こりうるデータ引継ぎ失敗や、データ引継ぎ時のサービス中断によるリスクを排除し、サーバ障害やネットワーク障害の影響を受けない耐障害性・高信頼性によるシステムの無停止化を実現します。
また、日立独自技術として複数のKVS構成を冗長化制御する「マルチKVSデータクラスタ制御」機能により、異なるネットワークやサーバ上に構築したKVSデータクラスタの監視・制御が可能であり、さらなる信頼性を高めています。例えば、複数のKVSデータクラスタを東西のデータセンターに分散して構築することで、自然災害などにより一部のデータセンターと通信が途絶えた場合にも処理を継続することが可能となります。
本ソリューションは、インメモリ型分散KVSをベースにキューの構造をもたせたインメモリキューを採用し、従来構成で性能を求める上で課題であった外部ストレージを介さず、大量メッセージの高速処理を実現します。
また、独自開発の「高速キュートランザクション制御」機能により、メモリ上に配置された「キュー」を、KVSのKey-Valueデータ構造に最適化して効率的に管理することで同時アクセスの発生による遅延を回避することや、複製データの複数サーバへの格納の際にデータ圧縮を自動的に行いメモリ使用量とネットワーク帯域への圧迫を回避するなど、さらなる高速メッセージ処理を実現します。携帯電話メールやSNS、ITS(Intelligent Transport Systems)、スマートメーターのように膨大なクライアントからのデータを小規模システムで処理することが可能です。
本ソリューションの中核であるAMQは、クライアントとサーバ間のデータ中継を行うメッセージ指向ミドルウェアとして、各システム間を流れるデータのフォーマット変換やプロトコル変換などによる機能差分を吸収できるほか、バーストトラフィック時においても後段のサーバ性能に合わせてデータ処理制御を行い、通信速度を自動的に変換するなど、性能差分を吸収するための機能を提供可能です。さらに、流入したデータの後段システムへの配送を保証し、クライアントはサーバの障害発生時にもデータ到達状況を意識することなくデータの受け渡しができるため、異なるシステム間の統合・吸収によるシステムシンプル化を実現できます。
また、AMQは、ストレージレス構成で、かつ高性能処理が可能であるため、システムのシンプル化、省スペース化、省電力化を実現するとともに、システムの運用コスト低減が可能となります。
24時間365日サービス停止が許されない携帯電話のメールサービスは、例えば、年末年始に集中する挨拶メール等のバーストトラフィックにも耐える設備容量と、信頼性が必要です。本ソリューションを、携帯メール中継システムに適用することで、単一障害点(SPOF:Single Point of Failure)となる可能性のあるストレージを排除し、全稼動系としてシステムを無停止化するとともに、シンプルなシステム構成により構築コスト、運用コストの低減を実現します。
チケット予約・販売システムでは、直前の発券や、数週間先の予約・販売リクエストを同時に処理する必要があるほか、リクエストが殺到する時期には、システムの設備容量の不足を回避する必要があります。本ソリューションによるリクエスト中継システムを採用することで、殺到したリクエストを、一旦「キュー」に受け付けて優先度順に処理を行うことが可能となるため、エンドユーザーを待たせない即時応答が可能となります。
電力会社が推進するスマートメーター(自動検針)システムでは、各家庭や事業所等に設置された膨大でさまざまな種別のスマートメーターから送られる検針情報を、データセンターへ収集し、処理する必要があります。検針情報の受付や機種の違いによるデータの変換や、後段システムへの中継モジュールとして、本ソリューションを採用することで、検針情報収集の信頼性を担保しつつシステムサイズの縮小を可能とします。
名称 | 概要 | 価格 | 提供時期 |
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拡張型 メッセージキュー ソリューション |
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個別見積 | 6月10日 |
株式会社日立製作所 情報・通信システム社 通信ネットワーク事業部 TMS本部 [担当:神谷、小池]
〒212-8567 神奈川県川崎市幸区鹿島田890(日立システムプラザ新川崎)
電話:044-549-1519(ダイヤルイン)
以上