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2014年4月24日
株式会社日立製作所
シャープ株式会社
三井不動産株式会社
株式会社日建設計
省エネ・災害対応・コミュニティ活動を"街"と"住まい"でサポート
株式会社日立製作所(以下:日立)とシャープ株式会社(以下:シャープ)、三井不動産株式会社(以下:三井不動産)、株式会社日建設計(以下:日建設計)は、このたび、柏の葉スマートシティ(千葉県柏市)の省エネ、災害対応、コミュニティ活動を支える中核システムとして、街全体のエネルギーを運用・監視・制御する「柏の葉AEMS*1」と住戸内のエネルギーを管理する「柏の葉HEMS*2」を開発し、2014年5月中旬より段階的に運用を開始します。
日立が三井不動産および日建設計と共同開発した「柏の葉AEMS」(特許出願中*3)は、エリア一帯に分散するオフィスや商業施設、ホテル、住宅などの各施設と、太陽光発電や蓄電池などの電源設備をネットワークでつなぐことで、地域エネルギーの一元管理を行うシステムです。各施設のエネルギー使用状況や気象情報などの把握・分析に基づいて、街全体で効率的な発電・蓄電・電力融通の制御を行い、電気料金やCO2排出量の低減、災害時の電力維持を実現します。また、今後「柏の葉AEMS」は、柏の葉スマートシティで運用されている交通システム*4などと連携する予定で、街の情報を丸ごと管理する地域情報連携基盤となります。
シャープは三井不動産とともに、「柏の葉AEMS」と連携する「柏の葉HEMS」を開発しました。本システムでは住戸内のエネルギー使用状況を見える化するだけでなく、家電機器の制御や生活スタイルに適した省エネアドバイスを提供します。またAEMSとの連携により、他世帯や街全体との省エネ状況の比較、省エネ達成度合いに応じて地域ポイントが貯まる「柏の葉ポイント*5」、地域のイベント情報や交通情報、災害発生時の防災情報などをHEMS専用のタブレット端末で確認できるようになります。
「柏の葉AEMS」は、三井不動産が柏の葉スマートシティにおいて開発を進める複合施設「ゲートスクエア」内に設置する「柏の葉スマートセンター」(2014年6月より試験稼働、2014年7月より本格稼働予定)を中央管理拠点とし、周辺街区を含めた約12.7haのエリア一帯に導入されます。ゲートスクエアのオフィスと商業のテナントには、「柏の葉AEMS」を通じて年間省CO2と電力ピークカットの寄与度合いに応じたポイントを付与する制度(ダイナミック・インセンティブ)を行います。また「柏の葉HEMS」は、「ゲートスクエア」内の賃貸住宅「パークアクシス柏の葉」(総戸数145戸、2014年5月入居開始予定)に導入されます。今回開発したAEMSとHEMSを活用して、柏の葉スマートシティでは大規模導入されている太陽光発電やガス発電、蓄電池など分散電源設備の地域エネルギーと電力会社からの系統電力を組み合わせたスマートグリッドを運用していく予定です。
「柏の葉AEMS」のシステム構築と運用サポートおよびリチウムイオン蓄電池システム、電力融通設備、受変電設備、大型マルチビジョンの設計・製作
「柏の葉HEMS」のシステム構築と運用サポート
柏の葉スマートシティの全体構想の策定・推進およびエネルギーマネジメントの要件設定、「柏の葉AEMS」「柏の葉HEMS」の導入・運用
株式会社日建設計総合研究所と共同にて、環境、エネルギー、BCP*6・LCP*7、ICTに関するコンセプト提案、技術的助言、システムの具現化など、スマートシティ構想の実現に向けたコンサルティングを実施
「柏の葉AEMS」と「柏の葉HEMS」はともにデザイン性が高く評価され、公益財団法人日本デザイン振興会主催の「2013年度グッドデザイン賞」を受賞しました。
従来のエネルギー管理は施設単位で行われていましたが、AEMSはエリア一帯のエネルギー使用状況や太陽光発電、蓄電池、電力融通設備などを一元管理して各施設の電力需要を予測し、地域エネルギーの最適な運用・制御を行います。オフィスや商業施設など電力需要ピークが異なる施設間で、電力融通を行うことにより電力ピークカットを実現し、契約電力量を抑えることで電気料金の低減や地域全体の低炭素化に貢献します。またオフィス・商業テナントには、エネルギー使用状況に応じた具体的な省エネ施策を提案していきます。
気象状況によって発電量が変動する太陽光発電を蓄電池と組み合わせ、AEMSによって制御することで、再生可能エネルギーを安定的に運用します。万が一大規模停電が発生した際は、地域全体の保有するエネルギーを、各施設に計画的に融通することでビジネス継続や生活のためのライフライン設備を維持すると同時に、避難誘導などの緊急情報を発信して街の安心・安全を支えます。
柏の葉スマートシティで現在運用されている電気自動車や電動バイクなどのマルチ交通シェアリングシステムと連携し、電気自動車の蓄電量や現在位置をAEMSで管理していく予定です。停電時には、電気自動車のバッテリーを街の非常用電源として有効活用するなど、地域防災計画にも寄与していきます。また、地域情報システムなど柏の葉スマートシティで運用される多様なシステムとも連携を図る予定で、街全体の活動を支える地域情報連携基盤としてAEMSを活用していきます。
<エネルギー管理者(スマートセンター)向け画面イメージ><オフィス・商業テナントユーザー向け画面イメージ>
タブレット端末やスマートフォン、パソコンで住戸内の電気・水・給湯の使用量を見える化します。電気は住戸全体だけでなく家電別の使用量も確認でき、各家電の節電状況が分かります。またAI(人工知能)機能の搭載により、利用者の生活パターンに応じて快適さを損なわずに省エネを実現するための具体的なアドバイス提供や家電コントロールが行えます。家電制御は各機器を個別に調整するだけでなく、部屋単位、住戸全体など複数をまとめて調整することも可能で、利用者の負担にならない簡単操作を追求しました。
自宅の電気使用量やCO2排出量を他世帯や街全体と比較することができ、省エネに向けた取り組みが楽しみながら進みます。居住者には省エネによるCO2排出量の削減分に応じて、地域のイベント参加や買い物などに使える「柏の葉ポイント*5」が付与されます。HEMS端末ではこのポイント獲得状況とあわせて、柏の葉スマートシティのイベント情報や低炭素型の交通サービス情報*4、ららぽーと柏の葉のセール情報なども確認でき、「コミュニティ参加(外出)による自宅の省エネ」の循環を創り出します。
災害などによる電力ひっ迫時に、「柏の葉スマートセンター」よりAEMSを通じて発信される緊急情報を受信して節電要請などを行います。停電時にはスマートグリッドを通じて住戸内へ電力融通される地域エネルギーの供給量にあわせ、使いたい家電の選択利用や電気使用量の調整・制御機能を搭載し、地域の電源喪失リスクを低減させます。
外出先でもインターネット経由でスマートフォンなどで自宅のエネルギー状況が確認でき、家電の遠隔操作も可能となります。例えば、「消し忘れの際は照明をオフ」「帰宅直前にエアコンをオン」「防犯用に照明をオン」などの操作を外出先から簡単に行うことができます。
三井不動産は「世界の未来像をつくる街」をコンセプトとした柏の葉スマートシティの都市開発を手がけており、当地域で環境共生・健康長寿・新産業創造を実現する課題解決型の街づくりを公・民・学の連携で進めています。特にエネルギー分野は街の安心・安全・快適な生活を支える重要テーマと捉え、2009年より住戸内のエネルギー使用量やCO2排出量を見える化する社会実験を展開し、2012年にはスマートメーターを全戸標準装備した集合住宅「パークシティ柏の葉キャンパス二番街」(総戸数880戸)が全体竣工しました。これらの取り組みを通じて培った市民のエネルギーシステムに対するニーズや利用傾向、省エネ施策の有効性データなどを、今回の「柏の葉AEMS」「柏の葉HEMS」の開発に活用しました。
また当地域では停電リスクに備えて分散電源によるエネルギー網の複線化を進めており、商業施設「ららぽーと柏の葉」に太陽光発電(発電出力:約500kW)と大規模蓄電池(蓄電容量:約11,850 kWh、出力:約1,800kW(予定))を設置し、また現在開発中の複合施設「ゲートスクエア」には太陽光発電(発電出力:約220kW)と大規模リチウム蓄電池(蓄電容量:約3,800kWh、出力:約500kW)、非常用ガス発電機(発電出力:約2,000kW)を設置する計画です。
三井不動産は今後、電力融通を行うための自営送電線の構築と、「柏の葉AEMS」を利用した地域エネルギーの中央管理拠点となる「柏の葉スマートセンター」の開発を行い、電力融通を含むスマートグリッドの運用を行ってまいります。「柏の葉AEMS」は日立とともにより広域のエリアへ拡張させていくことをめざし、また「柏の葉HEMS」は既存住宅にも簡易設置できるタイプのシステム開発をシャープとともにめざしてまいります。
以上