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2013年3月27日
大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 総合地球環境学研究所
国立大学法人長崎大学
株式会社日立製作所
地球研と長崎大学、日立が、ラオスにおけるヘルスケア関連知識の底上げを目指し、
講師の育成や指静脈認証を活用した住民健康調査の支援を実施
ラオス人民民主共和国(以下、ラオス)政府、ならびにラオスのサワナケート県保健局が中心となって進めてきた、住民向けヘルスケア教育の拠点となる「ヘルスケアトレーニングセンター」の建設計画が、このたび、日本の政府開発援助(以下、ODA)である「草の根・人間の安全保障無償資金協力」に官民連携案件として*採択されました。
この「ヘルスケアトレーニングセンター」建設計画の推進に、大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 総合地球環境学研究所(所長 : 立本 成文/以下、地球研)と国立大学法人長崎大学(学長 : 片峰 茂/以下、長崎大学)の熱帯医学研究所(所長 : 竹内 勤)、ならびに、株式会社日立製作所(執行役社長 : 中西 宏明/以下、日立)が参画しています。
今後、地球研と長崎大学は、「ヘルスケアトレーニングセンター」を基点に、住民にヘルスケア教育を行う講師の育成や地域住民の健康調査の支援、またセンター自体の運用支援を行います。そして日立は、地域住民の健康調査時の本人確認用に必要となる指静脈認証装置の提供や使用方法に関する教育の支援を行います。
ラオスの辺境地域では、医療機関が少ないこと、また住民の公衆衛生や感染症に関する知識が不十分なことから、乳幼児や妊産婦の死亡率、住民のマラリアなどの感染症の罹患率および死亡率が非常に高く、大きな社会問題となっています。こうした状況を改善するため、地球研と長崎大学、そして日立は、サワナケート県保健局と協力し、「草の根・人間の安全保障無償資金協力」の資金を活用した官民連携案件として、住民へのヘルスケア教育を進めていきます。
具体的には、2014年4月までに、サワナケート県セポン郡に「ヘルスケアトレーニングセンター」を開設し、その後4年間で約600名の住民に、公衆衛生や感染症、妊娠や出産などに関する基礎知識、指静脈認証装置を活用した健康調査の基礎技術などに関する教育を行います。教育の対象者は、「ヘルスセンタースタッフ」ならびに「ビレッジヘルスボランティア」と呼ばれる、サワナケート県の各村で選任された、地域の公衆衛生状況の改善や、医療機関との連携、健康調査などに携わる人員です。この中で、地球研と長崎大学は、住民にヘルスケア教育を行う講師の育成やセンター運用と地域住民への健康調査のサポートを、そして日立は地域住民の健康調査時の本人確認用に必要となる指静脈認証装置の提供や使用方法に関する教育の支援を行います。また、本事業の終了後も、地域住民自身による持続可能な健康改善への取り組みを可能にする仕組みを構築し、さらには、日本からの継続した支援が行える体制づくりを行っていきます。
地球研と長崎大学、ならびに日立は、2012年の7月と12月にラオスにおける指静脈認証を活用した地域住民の健康調査を実施するなど、熱帯地域でのヘルスケアに関する取り組みにおいて連携してきました。
今後も地球研と長崎大学は、感染症に関する予測、さらには、感染予防に向けての取り組みや環境改善に向けての提言をめざした研究・調査を継続していきます。
また、日立は、今後も地球研と長崎大学との連携を深めて行くほか、すでにグローバルでの利用が拡大している「指静脈認証」のさらなる活用範囲の拡大に向け、製品やサービスの開発を進めていきます。
現地での健康調査を実施する際に、調査対象者の本人情報(氏名、年齢など)や感染症の調査結果などの情報とあわせて、指静脈情報を取得しデータベースに登録します。これにより、2回目以降の調査の際に調査対象者が指静脈認証を行うことで、調査対象者と本人情報の正確なマッチングが可能となります。ラオスの一部地域では多くの住民が複数の名前や居住地を持っており、継続調査を行う際の本人特定が困難な場合がありましたが、この取り組みにより、本人特定精度の大幅な向上が実現されます。
指静脈認証技術は、日立が開発した生体認証技術で、指の静脈パターンで個人を認証するものです。近赤外線を指に透過させて得られる指の静脈パターンの画像から静脈の存在する部分を構造パターンとして検出し、あらかじめ登録した静脈の構造パターンと照合させて個人認証を行う技術です。指静脈は体内にある情報であるため、偽造や成りすましが極めて困難であり高いセキュリティレベルを実現します。日立では、2002年に指静脈認証装置を製品化して以来、ATMの本人認証やPCログイン、入退室管理など、さまざまな分野での適用を広げてきました。
総合地球環境学研究所は、地球環境学の総合的研究を行う大学共同利用機関として2001年4月に創設されました。「環境問題の根源は、人間文化の問題にある」という哲学に基づき、「人間と自然系の相互作用環」の解明と「未来設計のシナリオ」の検証を通して、既存の学問分野の枠組みを超えた総合地球環境学の構築を目的としています。
長崎大学熱帯医学研究所は1942年に長崎大学に設置された東亜風土病研究所を前身とします。1967年に熱帯医学研究所と改称され、アジア、アフリカなど、その研究活動を途上国へと拡大してきました。熱帯地域では、その複雑多様な自然・社会環境が、熱帯病をはじめとする錯綜した健康問題を引き起こし続けています。このような認識に基づき、熱帯病の中でも最も重要な領域を占める感染症を主とした疾病と、これに随伴する健康に関する諸問題を克服することを目指し、関連機関と協力して、熱帯医学及び国際保健における先導的研究と、その研究成果の応用による熱帯病の防圧ならびに健康増進への国際貢献、さらにこうした問題に関わる研究者と専門家の育成を進めています。
[担当 : 門司]
〒603-8047 京都市北区上賀茂本山457-4
TEL : 075-707-2215(ダイヤルイン)
熱帯医学研究所生態疫学分野 [担当 : 金子、中山]
〒852-8523 長崎県長崎市坂本一丁目12-4
TEL : 095-819-7866(ダイヤルイン)
情報・通信システム社 公共システム営業統括本部
カスタマ・リレーションズセンタ [担当 : 西本]
〒136-8632 東京都江東区新砂一丁目6-27 新砂プラザ
以上