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2013年2月20日
4地域に分散する1,000台の仮想サーバで約20〜30%の
省電力化を実現できるサーバ負荷の配置を6分で決定
株式会社日立製作所(執行役社長 : 中西 宏明/以下、日立)は、複数のデータセンタを広域ネットワークで結んで運用する大規模なクラウドシステムを対象として、深夜や早朝などサービスの利用が減少する時間帯に、サービスの質を落とすことなく不必要なサーバを決定する技術を開発しました。本技術は、必要なサーバのみに負荷を集約(片寄せ)して省電力化を実現するために、複数のデータセンタに配置されている膨大な台数のサーバの中から、サービス品質を維持するために必要なサーバを、ネットワークの通信容量も考慮した上で短時間に決定する技術です。通信容量を考慮することで、必要なサーバを決定した後で、通信容量が足りなることによるサービス品質の劣化を防ぐことができます。
今回、4地域に分散するデータセンタを模擬した大規模クラウドシステムを試作し、各データセンタに模擬的に配置された合計1,000台の仮想的なサーバを対象とした検証を行った結果、所要時間6分で、20〜30%の省電力化を実現するサーバ負荷の片寄せパターンを決定できることを実証しました。
インターネット経由でソフトウェアやサービスを提供するクラウドコンピューティングの普及に伴い、クラウドシステムでは、今後、大規模化が進展し、複数のデータセンタを跨いで構成される大規模なクラウドシステムの利用が進むと予想されます。近年、データセンタでは、地球温暖化問題への配慮から、サービス提供負荷に応じてサーバを片寄せし、不必要なサーバの電源を落とすことなどによって省電力化が進められています。大規模クラウドシステムでも、深夜や早朝などのサービスの利用が減少する時間帯に、データセンタ間でサーバの負荷を片寄せすることによって、省電力化が期待できますが、サーバにかかる負荷量のみに着目して利用サーバを片寄せすると、ネットワークの通信容量を超過したテータの送受信が発生し、サービス品質の低下を招くという懸念があります。さらに、広域に分散する膨大な数のサーバを対象に、ネットワークの通信容量を考慮して、適正なサーバの片寄せパターンを求めようとすると、その計算に膨大な時間がかかり、実用的な運用が困難になるという課題がありました。
このような課題に対応するため、日立では、ネットワークの通信量を考慮するとともに、省電力効果の高い片寄せ先のサーバを、膨大な台数の中から効率的に決定する基本技術を開発し、その効果を検証しました。本技術を利用した、サーバ負荷の片寄せの手順は以下の通りです。
今回、実験室内において4地域に分散したデータセンタを模擬した構成の大規模クラウドシステムを試作し、各データセンタに均等配置された合計1,000台の仮想的なサーバを対象に、省電力化を達成する適正な配置を、所要時間6分で決定することができました。
本技術は、省電力化だけでなく、災害発生時に、ITリソースを有効活用して、重要なサービスを優先的に提供するシステムの構築にも活用が可能です。日立は、今後、さらなる大規模クラウドシステムに対して、サービス品質を維持した省電力化技術の実用化をめざし、技術開発および評価を進めていきます。
なお、本成果の一部は総務省「広域災害対応型クラウド基盤構築に向けた研究開発」受託機関主催、グローバルクラウド基盤連携技術フォーラム(GICTF)協力によって2013年2月20日に日本、秋葉原UDXで開催されるシンポジウム「クラウドネットワークシンポジウム2013」*にて展示発表する予定です。
また、本研究の一部は、総務省委託研究「広域災害対応型クラウド基盤構築に向けた研究開発(環境対応型ネットワーク構成シグナリング技術)」により、得られたものです。
株式会社日立製作所 中央研究所 情報企画部 [担当 : 木下]
〒185-8601 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地
Tel : 042-327-7777(直通)
以上