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2012年11月26日
株式会社日立製作所
日立化成工業株式会社
金スズ半田並みの低温化に成功
株式会社日立製作所(執行役社長:中西 宏明/以下、日立)と日立化成工業株式会社(執行役社長:田中 一行/以下、日立化成)は、このたび共同で、220〜300℃で融ける低融点ガラスの開発に成功しました。このガラスは、環境負荷の大きな鉛等の規制物質*1や揮発しやすいフッ素やヨウ素等のハロゲンを含まない低温気密接着材として開発したものです。
本開発ガラスは、日立化成の「環境適合バナジウム系低融点ガラス『Vaneetect』」をさらに低温化したもので、これまで接着材として使用されてきた金スズ半田に比べて低コストで、接着樹脂に比べて気密性や耐湿性に優れるという特長があります。さらに、開発した低融点ガラスは、金属やセラミックスのほか樹脂への接着が可能であること、またホットプレートや赤外線ランプ、レーザー等のさまざまな光源による加熱溶融も可能であることから、従来にないデバイス構造やプロセス技術を実現できる可能性があります。なお、本開発ガラスは、本日より日立化成からサンプル提供を開始します。
日立と日立化成は、2009年12月に、環境負荷の大きなフッ素含有鉛系の低融点ガラスや高価な金スズ半田の代替として、接着温度が350〜400℃の「環境適合バナジウム系低融点ガラス『Vaneetect』」の開発に成功しました。その後、2012年2月より日立化成が量産を開始し、水晶振動子*2やMEMS*3等の電子デバイスの一部へ適用が開始されています。しかし、高品質の電子デバイスにおいては、300℃前後での真空接着が必要であるため、接着材には金スズ半田が使用されています。また近年、接着樹脂が使用される電子デバイスの一部では、その信頼性を上げるため、気密性や耐湿性の高い低温接着材の開発が要求されるようになりました。そこで今回、日立と日立化成は、これまでよりも低温で接着することのできる低融点ガラスの開発に着手し、ガラス構造の制御を可能とする技術を見出しました。その結果、従来350〜400℃だったガラスの接着温度を、220〜300℃まで低温化することに成功し、さらに優れた耐湿性、耐水性も実現しました。
開発技術および開発ガラスの特長は以下の通りです。
以上の特長から、本開発ガラスは、金スズ半田や接着樹脂への代替可能性があり、従来にないデバイス構造やプロセス技術を実現する新たな低温気密接着材として期待されます。日立グループは、今後も地球環境への負荷を低減する新しい技術の開発や、その実用化に向けた取り組みを積極的に推進していきます。
株式会社日立製作所 日立研究所 企画室 [担当:影山]
〒319-1292 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号
TEL : 0294-52-7508(直通)
日立化成工業株式会社 無機材料事業部 無機材料開発部 [担当:立薗、吉村]
〒289-2247 千葉県香取郡多古町水戸1番地
TEL : 0479-76-5571(直通)
以上