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2012年9月13日
株式会社日立製作所
レッドハット株式会社
日立のサーバ論理分割機構Virtage上で、レッドハットのLinux標準仮想化技術である
Kernel-based Virtual Machineを複数動作させ、
独立性が高く、高信頼・高効率なマルチテナントのクラウド環境を実現
株式会社日立製作所(執行役社長:中西 宏明/以下、日立)は、このたび、業界で初めて1台のPCサーバ上で複数のサーバ仮想化ソフトウェアを動作させる技術を開発し、レッドハット株式会社(代表取締役社長:廣川 裕司/以下、レッドハット)の協力のもと、クラウド(クラウドコンピューティング)向けのサーバ仮想化ソリューションとして提供を開始します。
具体的には、日立は、統合サービスプラットフォーム「BladeSymphony」*2に搭載されているサーバ論理分割機構Virtage(バタージュ)の機能を拡張し、論理的に分割したサーバの区画(LPAR*3)の上で複数のサーバ仮想化ソフトウェアを安定的に動作させる技術を開発しました。これにより、マルチテナント*4のクラウド環境において、テナントごとに割り当てたLPAR上でサーバ仮想化ソフトウェア(ハイパーバイザー*5)を動作させることで、各テナントにおける負荷変動や障害からの独立性を高めることができ、1台のサーバ上に複数のテナントを効率的に集約することが可能になります。
今回、日立はレッドハットと共同で、Virtage上において、Red Hat Enterprise Linuxの標準のサーバ仮想化ソフトウェアであるKernel-based Virtual Machine(以下、KVM)*6が複数動作することを検証しました。これにより、日立は、「BladeSymphony」のハイエンドモデル「BS2000」の標準サーバブレードに、Red Hat Enterprise Linux KVMの動作認証取得版のVirtageを搭載し、マルチテナントのクラウド環境をもつ一般企業やクラウド事業者向けに、9月14日から販売します。さらに、日立は、Virtage上のRed Hat Enterprise Linux KVMの動作の検証や導入のコンサルティングを行うことを目的とした「RHEL KVM on LPARソリューションセンター」を本日付で開設し、今後、本施設を通じて、VirtageとRed Hat Enterprise Linux KVMの組み合わせによる新たなサーバ仮想化ソリューションの提案を推進します。
近年、ITシステムのTCO(Total Cost of Ownership)削減に向けて、サーバの仮想化などにより、複数のシステムを集約・統合する動きが加速しており、急速に普及が進むクラウドにおいても、サーバの仮想化は不可欠な技術として利用されています。そのような中で、例えば、企業などのプライベートクラウドシステムにおいても、サーバ仮想化技術を活用し、1台のサーバ上に複数部門の仮想サーバが混在することが多くなっており、このような環境においては、隣接部門の負荷変動に伴う性能低下の防止や、部門間のセキュリティ確保、仮想サーバの管理、障害発生時の独立性の確保などが課題となっています。そのため、サーバのリソースにまだ余裕があるにも関わらず、部門間の独立性を重視して新たなサーバを設置するといった運用が行われる場合がありました。
日立は、2006年に、メインフレーム開発で培ってきた論理分割技術に、ハードウェアによるサーバ仮想化支援機構であるインテル® バーチャライゼーション・テクノロジーを組み合わせることで、「BladeSymphony」に搭載する独自のサーバ論理分割機構Virtageを開発しました。Virtageは、LPAR間の独立性を確保できるハードウェアベースのサーバ論理分割技術で、物理的なサーバと同等の信頼性を確保できることから、企業の基幹系システムなど、大規模なシステムにも幅広く利用されています。
同様に、レッドハットは、豊富なオープンソース技術を生かして、Red Hat Enterprise Linux KVMの開発をリードするとともに、クオリティの高い商用サポートを提供しています。Red Hat Enterprise Linux KVMは、カーネル*7の機能としてサーバ仮想化環境が提供されるため、ハードウェアへの対応やメモリの管理などのLinuxの最新機能を随時取り込むことで進化させています。また、追加の仮想化ソフトウェアなしで信頼性の高い仮想化基盤を構築することが可能で、サーバの統合におけるコストを低減できます。
今回、Red Hat Enterprise Linux KVMの稼働が可能な環境としてVirtageが認定されたことで、物理サーバと同等の信頼性や独立性をもつVirtageのLPARと、Linuxとの親和性が高く、高機能なサーバ仮想化を低コストで実現できるRed Hat Enterprise Linux KVMの双方の特長を生かしたサーバ仮想化環境の構築が可能となります。これにより、1台のサーバ上に複数部門の仮想サーバが混在する場合など、複数のテナント向けにサービスを提供する際の課題が解決でき、システム基盤の省スペース化、省電力化に貢献します。また、1つのRed Hat Enterprise Linux KVM環境に割り当てるサーバのリソースをVirtageによって任意のサイズに設定できるため、Red Hat Enterprise Linux KVMによるサーバ仮想化環境をユーザーの希望するサイズで提供する、従来にはない新たなクラウドサービスも可能になります。
さらに、日立は、「RHEL KVM on LPARソリューションセンター」を日立ハーモニアス・コンピテンス・センター(東京都港区)内に本日付で開設し、VirtageとRed Hat Enterprise Linux KVMとの組み合わせによる新たなソリューションの提案を促進します。本センターでは、クラウドサービス事業者を対象とした検証環境の貸出しやデモンストレーション環境の整備、コンサルティングを実施するとともに、ソフトウェアベンダーへの検証支援なども行い、高効率で集約度の高いクラウドシステム基盤の構築を支援します。
日立とレッドハットは、今後も両社製品の特長を生かしたソリューションやサービスの提供を進めていきます。また、日立は、今後、日立データシステムズ社(Hitachi Data Systems Corporation、本社:米国サンタクララ、CEO:ジャック・ドメ)と連携し、グローバル市場での需要に応えるべく、日立のLPAR技術とRed Hat Enterprise Linux KVMを用いたプラットフォーム製品やソリューションの開発を進めていきます。
インテルはこの度の日立製作所とレッドハットによる新たな仮想化ソリューションを歓迎いたします。また、この取り組みにインテルの仮想化支援技術、インテル® バーチャライゼーション・テクノロジーが貢献できたことを嬉しく思います。今回発表されたソリューションは、クラウドを支えるプラットフォームの進化において、新たな1ページを切り拓くものだと捉えております。今後もインテルは、効率性とセキュリティーを提供するクラウド環境の構築に注力していきます。
Virtageは、統合サービスプラットフォーム「BladeSymphony」に搭載されている日立独自のハードウェア論理分割機構です。日立がメインフレーム開発で培ってきた技術を生かして実現しています。オーバーヘッドを低減し物理サーバと同等の信頼性を保つことができるため、大規模な基幹系システムにも利用できます。詳細は、以下リンクをご覧ください。
Red Hat Enterprise Linux KVMは、Linuxカーネルに統合されたハイパーバイザーです。2006年10月に発表されてから2カ月でLinuxカーネルのソースコードに採用されたオープンソース技術で、2008年9月にRed Hatが買収したQumranet社が開発しました。以来Red Hat Enterprise Linux KVMは、プロセッサーやデバイスへの対応や大容量メモリ管理などのLinuxの最新機能を随時取り込みながら、仮想化ベンチマークであるSPECvirt_sc2010で世界新記録を更新し続けるなど大きな進化を遂げており、現在では数多くのパブリッククラウド・プライベートクラウドの基盤として採用されています。
RHEL KVM on LPARソリューションセンター
東京都港区港南二丁目16番1号 品川イーストワンタワー13階
(日立ハーモニアス・コンピテンス・センター内)
以上