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2012年7月2日

データセンター向けネットワーク仮想化ソリューションを提供開始

米国ニシラ社のネットワーク仮想化ソフトウェアを活用し、
柔軟かつ効率的な運用管理を実現する仮想ネットワーク環境を提供

  株式会社日立製作所(執行役社長:中西 宏明/以下、日立)は、データセンター事業者や通信事業者、データセンターを有する企業や大学、官公庁向けに、物理的なネットワーク構成に依存せず、柔軟かつ効率的なネットワーク環境の構築を実現するネットワーク仮想化ソリューション(以下、本ソリューション)を、2012年7月3日から提供開始します。本ソリューションにより、データセンターにおけるネットワーク環境の一元的、自律的な運用管理が可能となるなど、運用効率の大幅な向上を実現します。
  なお、本ソリューションの提供にあたり、ネットワーク仮想化ソフトウェアを開発・販売する米国Nicira, Inc. (本社:米国カリフォルニア州 パロアルト市、CEO:スティーブ・ムレイニー/以下、ニシラ社)と、同社のネットワーク仮想化ソフトウェア「ネットワーク仮想化プラットフォーム(Network Virtualization Platform)」(以下、「Nicira NVP」)*1に関する販売代理店契約を締結しました。日立は、米国の大手通信事業者や大規模データセンター事業者で採用実績がある「Nicira NVP」を、本ソリューションに活用します。

*1
「Nicira NVP」:制御コントローラである「コントローラクラスタ」、仮想スイッチ「Open vSwitch(OVS)」、物理サーバーや物理ネットワークをOVS上の仮想マシンや仮想ネットワークに接続させるための「ゲートウェイ」、物理ネットワークなどのロケーション情報を管理するための「サービスノード」で構成されるネットワーク仮想化のためのソフトウェア。

  近年、データセンター事業者や通信事業者、クラウドサービス事業者、大規模なデータセンターを有する企業・官公庁などでは、サーバやストレージといったハードウェアリソースについて、仮想化技術を用いた統合的な管理・運用が普及しています。
  一方、ネットワークについては、データセンターではテナントやユーザーごとに通信帯域を分離して利用する必要があるため、スイッチやルータといった物理ネットワークを構成する機器の複雑な設定作業を要します。このため、ネットワークの管理・運用は、データセンターを効率的に運用する上で、大きな課題となっています。
  こうした中、「Software-Defined Networking」(以下、SDN)*2を実現する要素技術やソフトウェアの開発が進展しつつあり、既存の物理的なネットワーク構成を変更せずに、ソフトウェアを用いてネットワークの構成や機能の自動的な管理・制御を行う、ネットワーク仮想化への期待が高まりつつあります。

*2
Software-Defined Networking(SDN):既存の物理的なネットワーク構成を変更せず、ソフトウェアを用いたネットワークの構成や機能の自動的な管理・制御の実現を目的とする概念

  本ソリューションに活用する「Nicira NVP」は、SDNに基づくネットワーク仮想化を実現する方法としてオーバレイ*3方式を採用し、物理的なネットワーク構成に依存せずにネットワークの論理構成の柔軟な変更を可能にするソフトウェアです。今回、日立は、「Nicira NVP」を活用したネットワーク仮想化ソリューションを提供し、データセンターの運用効率の大幅な向上を実現します。
  具体的には、データセンター向けに導入コンサルティングからシステム構築、保守サポートまで、ネットワーク仮想化環境の構築を支援するトータルソリューションを提供します。また、「Nicira NVP」を活用した論理ネットワーク構築のほか、ルータやスイッチなどの物理ネットワークやサーバ、ネットワーク運用管理のためのミドルウェア製品など、日立グループの提供するネットワーク関連製品をトータルに提供し、データセンターにおける最適な仮想ネットワーク環境構築を支援します。

*3
オーバーレイ(overlay)方式:仮想スイッチをトンネルで結び、通信する端点同士で制御する方式。ネットワーク機器を変更することなく経路は従来のルーティングの仕組みを流用できる。

  なお、2012年7月3日に六本木アカデミーヒルズで開催されるセミナー「Enterprise Cloud Management Forum〜「クラウド+」を支えるネットワーク仮想化ソリューション〜」(主催:株式会社日経BP)において本ソリューションを紹介します。

データセンター向けネットワーク仮想化ソリューションの特長

(1)ニシラ社のネットワーク仮想化ソフトウェア「NVP」を活用

  日立は、ニシラ社と同社のネットワーク仮想化ソフトウェア「Nicira NVP」に関する販売代理店契約を締結し、本ソリューションに活用します。「Nicira NVP」は、SDNを実現する方式として、物理ネットワーク上に仮想ネットワークを重ねるオーバーレイ方式を採用しており、物理ネットワークの設定を変更せずに論理ネットワークを構築することが可能です。具体的には、「Nicira NVP」の構成要素であるコントローラクラスタが、仮想サーバのハイパーバイザ*4と連携することにより、仮想サーバ間を論理的に接続して容易に論理ネットワークを構築するほか、仮想アドレス管理などネットワークの設定管理を一元的に行うことが可能です。さらに、ライブマイグレーション*5の際にも、物理ネットワークの設定を変更せずに、自動的なネットワーク接続変更が可能となるなど、効率的な運用管理を実現します。

*4
ハイパーバイザ:サーバ仮想化ソフトウェア。コンピュータの上で複数のVM(仮想サーバ)を並列に実行できるようにするソフトウェア
*5
ライブマイグレーション:あるVM(仮想サーバ)で動作中のOSやアプリケーションを、停止させずに丸ごと他のVMに移し変えること

(2)ネットワーク仮想化向けに最適化された物理ネットワークの提供

  ネットワーク仮想化システムの物理ネットワークを最適化する要素として、小規模から大規模システムまでのスケールアウトによる拡張性、低コスト、高い信頼性、省電力、効率の良い運用管理などがあげられ、これらを実現するソリューションとして日立グループの製品群を活用します。具体的には、物理ネットワークシステムのスイッチに、日立電線株式会社(以下、日立電線)のイーサネットスイッチ「Apresia15000」を用いた「BoxCore Fabric System」(以下、「BFS」)*6を採用しました。小規模システムから大規模システムまで、システムの規模に応じて増設できるため、高い拡張性があると同時に初期コストを抑制することが可能です。
  また、日立電線はニシラ社と共同で、BFSを構成する各スイッチに効率よくトラフィックを分散させるマルチパス技術を開発しました。これにより、システムの経路変更やスイッチの故障時にもサービスを停止することなくパスを切り替え、分散制御することが可能です。さらに、日立の統合システム運用管理「JP1」を組み合わせることにより、実際のトラフィックの統計や装置障害箇所の特定など物理ネットワークの管理も行います。
  さらに、ルータには、省電力技術を用いたアラクサラネットワークス株式会社(以下、アラクサラ)の「AX8600Rシリーズ」などをあわせて提供し、ネットワーク仮想化に最適化された物理ネットワーク環境をトータルに提供します。

*6
BoxCore Fabric System:「Apresia15000シリーズ」スイッチで構成され、スケールアウトに柔軟に対応可能なイーサネットスイッチファブリックシステム。小型のボックス型スイッチを多数、織物(ファブリック)の様に縦横に接続して大規模シャーシタイプスイッチと同等のバックプレーン帯域、ポート数を提供し、クラウドデータセンタのバックボーンネットワークで求められる拡張性、運用効率、信頼性、低コストを実現する

(3)豊富な通信事業者向けSIノウハウに基づくシステム構築・保守サポートサービスを提供

  本ソリューションでは、これまでの通信事業者などへの大規模システムインテグレーション(SI)サービスで培ったノウハウを活かし、高い信頼性が要求されるミッションクリティカルなシステム構築や、既存ネットワークとのスムーズな統合など、さまざまなニーズに対応するシステム導入支援、構築サービスを提供します。さらに、今回提携したニシラ社のほか、日立電線やアラクサラなどのネットワーク機器ベンダと連携し、問題解析や機能改善を含むワンストップの保守サポートを提供します。

データセンター向けネットワーク仮想化ソリューションシステム構成例

[図]データセンター向けネットワーク仮想化ソリューションシステム構成

*7
OVS:Open vSwitchの略で、マルチハイパーバイザ環境下で動作するソフトウェアスイッチ
*8
「JP1」:日立の統合システム運用管理ソフトウェア製品
*9
「HA8000シリーズ」:日立アドバンストサーバ「HA8000シリーズ」。中小規模のオフィス・部門サーバから、大規模のデータベース

データセンター向けネットワーク仮想化ソリューションの価格および提供開始時期

製品名 概要 価格(税込) 提供開始
データ
センター
向け
ネット
ワーク
仮想化
ソリューション
<論理ネットワークシステム>
  • 「Nicira NVP」
※Nicira OVS/コントローラクラスタ/
ゲートウェイ/サービスノードの
ソフトウェアで構成されます。
個別
見積
7月
3日
<物理ネットワークシステム>
  • スイッチ/ルータ/ネットワーク管理システム
  • その他(ファイアウォール/ロードバランサ等)
<サーバシステム>
  • 「Nicira NVP」を搭載するサーバ装置
  • サーバ仮想化ソフトウェア(ハイパーバイザ)
<システムインテグレーション>
  • システム導入支援
  • システム構築
  • 保守サポート

本発表に関するコメント

ニシラ社 共同設立者/最高技術責任者(CTO) マーティン・カサド

  日立の豊富なデータセンターにおけるSIノウハウとニシラ社の「NVP」のシナジー効果を発揮してくれることに非常に期待しています。日立のような経験豊富で信頼できるパートナーと価値のある高信頼データセンターネットワークを構築できることを楽しみにしています。

Nicira, Inc.について

  米国スタンフォード大学とカリフォルニア大学バークレイ校の共同研究を端緒に2007年6月に設立された、ネットワーク仮想化技術のパイオニアであるベンチャー・カンパニーです。同研究からはSoftware-Defined Networking (SDN)やそのプロトコルであるOpenFlow*10の技術が発展し、現在盛んに議論されています。

*10
OpenFlow: SDNにおいてコントローラによりネットワークを制御する技術。ONF(Open Networking Foundation)で標準化が進められている。

関連情報

他社商標注記

  • Apresia、BoxCoreは日立電線株式会社の登録商標です。
  • 記載の会社名は、各社の商標もしくは登録商標です。

お問い合わせ先

株式会社日立製作所 情報・通信システム社
通信ネットワーク事業部 ネットワークソリューション第二本部 [担当:浅井、桝川]
〒212-8567 神奈川県川崎市幸区鹿島田890 (日立システムプラザ新川崎)
TEL : 044-549-4954 (ダイヤルイン)

以上

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