本文へジャンプ

Hitachi

このニュースリリース記載の情報(製品価格、製品仕様、サービスの内容、発売日、お問い合わせ先、URL等)は、発表日現在の情報です。予告なしに変更され、検索日と情報が異なる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。なお、最新のお問い合わせ先は、お問い合わせ一覧をご覧下さい。

2011年12月2日
株式会社日立製作所
株式会社日立プラントテクノロジー

日立が実証したデータセンタ冷却方式の選定基準が
ITU(国際電気通信連合)の国際規格として採用

  株式会社日立製作所(執行役社長 : 中西 宏明/以下、日立)と株式会社日立プラントテクノロジー(取締役社長 : 東原 敏昭/以下、日立プラントテクノロジー)は、2010年度(平成22年度)の総務省受託事業として、「電気通信事業者のデータセンタにおけるサーバ室冷却効率の最適化に係わる実証実験」を実施しました。その結果を元に総務省がデータセンタ冷却方式の選定基準に関する寄書提案を行ったところ、このたび、世界三大国際標準化機関の一つであるITU*1の国際規格に採用されました。

  近年、ICT*2機器の高性能化にともなう発熱量の高まりや、機器の高集積化などにより、データセンタにおける消費電力の増加が世界的な課題になっており、ITUにおいて電気通信に関する技術の標準化を担当するITU-T*3(国際電気通信連合 電気通信標準化部門)では、2012年までをめどに、環境配慮型データセンタのエネルギーの高効率化に向けた国際規格の策定に取り組んでいます。

  今回のITU国際規格への採用は、消費電力削減に寄与する日本の高い技術力が認められたもので、データセンタ分野における世界的なエネルギー効率向上に向けた重要な一歩です。WTO(世界貿易機構)の加盟国では、本規格に準拠した、空調効率の高いデータセンタの採用が進むこととなり、日本の提案に基づく本規格が、増加を続けるデータセンタの消費電力量抑制に貢献することが期待されます。なお、データセンタ冷却方式の選定基準において、日本からの提案がITUの国際規格として採用されたのは今回が初めてです。
  今回、採用された内容は以下のとおりです。

  1. 「スペース効率」を考慮すると、高集積のサーバラック(例えば5〜8kW/ラック以上)を収容するデータセンタでは、「天吊り型局所冷却」を選定すべきである。
  2. 「エネルギー効率」を考慮すると、外気湿球温度*4の高い(例えば15℃以上)地域に立地するデータセンタでは、「天吊り型局所冷却」を選定すべきである。外気湿球温度の低い(例えば15℃以下)地域に立地するデータセンタでは、「外気冷却」または「気化冷却」を選定すべきである。
  3. 「スペース効率」と「エネルギー効率」の両方を考慮すると、温暖な地域(例えば湿球温度15℃以上)に立地するデータセンタでは、「天吊り型局所冷却」を選定すべきである。

  日立や日立プラントテクノロジーをはじめとする日立グループは、社会イノベーション事業を軸にグローバル市場での成長をめざしており、「環境」「融合」「グローバル」を経営のフォーカスに掲げています。環境問題への対応は、世界各国が協調して取り組むべき重要な課題です。日立グループでは、より優れた技術を継続的に開発していくとともに、積極的に国際標準化に取り組むことで、課題解決に向けた貢献を続けていきます。

*1
ITU(International Telecommunication Union) : 国際連合の専門組織のひとつで、電気・無線通信分野の標準化活動の推進、電気通信技術の開発、通信周波数の管理などを目的としている。本部はスイス ジュネーブ。
*2
ICT (Information and Communication Technology) : 情報通信技術。
*3
ITU-T(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector) : ITUの一部門として、電気通信に関する技術の標準化を担当している。
*4
湿球温度 : 乾湿計(球分を水で濡らしたガーゼで包んで湿らせた温度計)で計測した温度。布の湿りはたえず蒸発するため、蒸発に必要な蒸発潜熱を奪い、温度は下がる。蒸発の度合いは、周囲の空気が乾燥していると多く、湿っていると少なく、飽和になると止まる。

今回の実証実験の詳細

  日立と日立プラントテクノロジーでは、総務省から受託された「電気通信事業者のデータセンタにおけるサーバ室冷却効率の最適化に係わる実証実験」に基づき、2011年1月から3月までの間、日立プラントテクノロジー松戸研究所(千葉県松戸市)において、「一般空調方式」、「外気冷却方式」、「気化式冷却方式」、「天吊り型局所冷却方式」の4つの冷却方式ごとに「エネルギー効率」と「スペース効率」を試算する空調効率評価実験*5を行いました。
  なお、実証実験における各方式の詳細は以下の通りです。

  1. 「一般空調方式」 : 空調機を用いて冷却する方式。データセンタにおいてはCRAC(Computer Room Air Conditioning)方式と呼ばれる。
  2. 「外気冷却方式」 : 冬季・中間期の温度が低い外気を室内の冷却に利用する方式。
  3. 「気化式冷却方式」 : 空気に水分を蒸発させると空気中の熱が奪われ温度が下がる現象を利用した冷却方式。
  4. 「天吊り型局所冷却方式」 : 発熱体の直近でその発熱を冷却する方式。
*5
試算条件 : ラック数500、ラック発熱量8kW/ラック、稼働時間24時間・365日、サーバ負荷率100%。

「冷媒自然循環式局所冷却システム『Ref Assist(*6)』」の概要

  日立プラントテクノロジーが開発した「冷媒自然循環式局所冷却システム『Ref Assist』」は、今回のITUの国際規格に採用された「局所冷却方式」に準拠する省エネ空調システムで、従来のデータセンタの空調消費電力を60%以上*7削減可能です。
  冷媒を気体と液体の比重差によって自然循環させる搬送動力を必要としない方式で、天吊型、スライド型、ドア型、ラック型の4タイプの局所冷却ユニットがあり、ユーザーの設備・条件に合わせて適切なシステムを選定できます。

特長*8

  1. 独自の冷媒自然循環システムおよびローカルリターン方式*9の採用により、搬送動力が低減され、大幅な省エネ運転が可能です。高効率熱源やフリークーリングシステムの併用で、COP*10がさらに向上します。
  2. 天吊型の採用により空調機設置スペースが不要となり、サーバラック設置スペースの有効活用が可能です。
  3. 空調用に二重床を構築することなく高密度・高発熱サーバに対応することができ、建築コスト削減(新築の場合)が可能です。
  4. サーバ排熱の冷却に冷媒(HFC-134a)を使用しているため、データセンタ内の水漏れリスクを回避できます。
  5. 既存サーバが稼働中でも設置することができます。

製品情報

*6
「Ref Assist(Refrigerant rack spot cooling assist)」は、株式会社日立プラントテクノロジーの日本における登録商標です。
*7
日立プラントテクノロジー試算値。基本システム(冷水-冷媒熱交換器(最大冷却能力60kW×1 台)、局所冷却ユニット(天吊型、最大冷却能力15kW×4台)およびオプション設備(高効率熱源、フリークーリングシステム)を組み合わせて使用した場合と、従来型(電算機用空調機)との比較。
*8
日立プラントテクノロジー試算値。従来型(電算機用空調機)との比較。
*9
ローカルリターン方式 : 室内全体の空気を循環させるのでなく、局所的な範囲で空気を循環させ空調する方式。
*10
COP(Coefficient Of Performance) : エネルギー消費効率。

お問い合わせ先

株式会社日立製作所

ITサービス事業部 データセンタ本部 [担当 : 藤本]
〒212-8567 神奈川県川崎市幸区鹿島田890 日立システムプラザ新川崎
電話 : 044-549-1322(ダイヤルイン)

株式会社日立プラントテクノロジー

空調システム事業本部 技術本部 [担当 : 大貫]
〒170-8466 東京都豊島区東池袋四丁目5番2号
電話 : 03-5928-8573(ダイヤルイン)

以上

Adobe Readerのダウンロード
PDF形式のファイルをご覧になるには、Adobe Systems Incorporated (アドビシステムズ社)のAdobe® Reader®が必要です。